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『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』 平野啓一郎

2013-07-01 | Books(本):愛すべき活字

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』

平野啓一郎(日:1975-) 
2012年・講談社現代新書 



俺が新書ってのも非常にレアですが。

本書は芥川賞作家・平野啓一郎による、

「私(自分)って一体なーに?」

という考察書。


そういえば、2005年に同じく芥川賞作家である長島有のエッセイ集で

『いろんな気持ちが本当の気持ち』

という本が出たとき、

「上手いこと言うなぁ、そうだよなぁ」

と思ったのを覚えている。


と、いつもどおり、関係ない本の話から入っちゃった。

と見せかけて、実はちょっと関係あるかも。


俺は他人からお説教されるのが嫌いなので、新書の類を読まない人間ですが。

コレは良い本だと思いますね。


ここで平野啓一郎が言ってる「分人」(ぶんじん)という考え方はね・・・。



■例1)「分人」以前のオーソドックスな自分観

僕タンは、彼女とイチャイチャしてる時だけが本当の自分なんだヨね。

あとはさぁ、

会社でこき使われてる時も、

嫌いな同期と話してる時も、

新年に苦手な親戚と話してる時も、

本当の自分の上に、無理やりキャラ(偽モノの自分)を被せて、何とかやり過ごしとんジャイッ!!


■例2)「分人」後の自分観

僕タンという個人は、実はたくさんの「分人」に分かれてて、その集合体なんだヨね。

彼女とイチャイチャしてる時には、僕タンの中の「彼女といる時の分人」が顔を出している。

別に頭で考えてキャラを作り変えてる訳じゃなくて、彼女という相手の存在によって、自然に僕タンの「彼女といる時の分人」が引き出されるっていうかさ。


会社にいる時は「会社のオッサンといる時の分人」、

同期の自慢話を聞く時は「ヤな同期といる時の分人」、

新年にしつこい親戚と飲む時は、「苦手な親戚といる時の分人」、

が自然に顔を出してるってわけ。


だって、別に頭で考えて、相手によってキャラを変えてるわけじゃないでしょ。

相手によって自然に分人が引き出されてるんだよ。

勿論、個人的には「彼女といる時の分人」が一番好きだけど、「他の人といる時の分人」だって偽モノじゃない。

「本当の自分」なんてもんは、「偽モノの自分」が無いのと同様、どこにも無いんだわさ。

もしあるとすれば、実は、この全部の分人が寄せ集まったのが、僕タンという個人なんだヨ~ん。 



・・・いやはや。

↑書いてみたら、想像以上に要約が下手くそでビビりました。 

分かんないねぇ、これじゃ。

でも、書き直すのも面倒なので、興味を持った人は本を読んで頂くということで。

本書では、「分人」の考え方がきちんと分かりやすく解説されています。(当たり前か)


ところで、何故、今回唐突に「分人」かと言いますと。


俺は基本的に嫌いな人とは付き合わないし、人間関係の悩みは現在ほぼ皆無。

親戚もみな大好きだし、公私とも楽チンで生きてます。


でも、ここしばらく仕事が立て込んでおり。

先週は5日間、一秒も自宅に帰れず。

子どもとも会えない時間が続いている。


そんな中で、「本当の自分は家にいる時の自分」、「死ぬほど仕事してる時の俺は全部、偽の自分」、

・・・だとしたら、さすがに勿体ないわなぁと。



仕事なんでやるときゃやるわけだけど、自分がそれに使う膨大な時間や労力を、全部「仮面の自分」で済ますのって、何だかもう古い気がする。

それなりに仕事仲間たちとも、喜びをや苦労を分かち合っとるからね。


だから、仕事してる時は「仕事の仲間といる分人」が顔を出していて、その「分人」だって、本当の自分の大事な一部。 

っていう考え方、いいね!と。

さっそく、俺は乗りました。


どんなハードな時間であっても、「無駄な時間」と思いながら過ごしたくはない。

色んな自分が本当の自分ってわけ。


<Amazon>

(新書) 

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)
平野 啓一郎
講談社

(kindle)


私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)
平野啓一郎
講談社

(関係ないけど、おまけ) 

いろんな気持ちが本当の気持ち (ちくま文庫)
長嶋 有
筑摩書房

 


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