
『ギルバート・グレイプ』
"What's Eating Gilbert Grape"
監督:ラッセ・ハルストレム
脚本:ピーター・ヘッジス
1993年・米
説明することさえ難しい。
1993年当時、俺がどれくらいジュリエット・ルイスに恋していたかを・・・。
しかし、長い間、ずっと本作はジュリエットの映画だと思ってきたけど、今、この歳になって観てみると・・・。
この映画の「悲しさ」や「淋しさ」の大部分(47%くらい)を、町のエロ・テロリスト、
べディ(メアリー・スティーン・バージェン)が担っていることが分かる。
あとの61%を(←計算合わへんで)、ギルバート(ジョニー・デップ)や過食症のお母さん(ダーレーン・ケイツ)、
その他、町に囚われた人たちがシェアしているのだ。
皆、町に縛られてがんじがらめだ。
決して、お母さんだけがおかしくなってる訳じゃないのヨ。
べディは、
小さな田舎町の憂鬱さ、
欲求不満からくる苛立ち、
誰からも真に求められない淋しさ・・・、
を全身で表現しきっている。
本作では後のレオ様、ディカプリオ少年がアカデミー賞にノミネートされたけど・・・、
メアリー・スティーン・バージェンにこそ、助演女優賞をあげたらよかったと思うんだな。
そのべディが町を出て行くシーンが、またいいんだよね。
べディは旦那を巡るなんやかやで町には居られなくなり。
と言うか、わざわざこの小さな田舎町に暮らす理由もなくなり。
子どもたちを連れて引っ越して行くのだが、町を出る間際、情夫ギルバート(ジョニー・デップ)の働くドラッグ・ストアにお別れにくる。
店で、べディはギルバートの新しい彼女、ベッキー(ジュリエット・ルイス)と鉢合わせる。
とにかく、町が狭すぎる。
どうしたって鉢合わせるのだ。
ギルバートに別れを告げたあと、店のドアを開けながらべディはベッキーに声をかける。
「(この男)あんたに譲るわ!」
格好よく店を出て行くベティ。
いつもエンジンのかからないオンボロ車が、この時ばかりは一発でエンジンがかかる!
これは神様がベティに与えた、数少ない幸運と言えるだろう。
べディが車に乗って去っていくと、ベッキー(ジュリエット・ルイス)が、ボンヤリしているギルバート(ジョニー・デップ)に声をかける。
ベッキー: Do You Miss Her?(寂しい?)
ギルバート: Yeah.(ああ)
ベッキー: Good.(そう)
このときのベッキー(ジュリエット・ルイス)の"Good"という台詞の良さは完全に異常。
ここは吹き替えで聞いちゃダメだね。
絶対に、ジュリエットのハスキーボイス(生声)でお願いします。
しかし、日本の女の子であそこまで声の低い娘はなかなかいないね。
いや、勿論、それなりに可愛い前提での話ですよ。
「超低音なの」とか言って、ギルバートのお母さんみたいな娘だったらダメだかんね。
誰だって、何かに囚われている。
囚人であることに気付くのは、実は難しい。
喪失。
俺もだいぶ変わったなぁ、94年(この映画の日本公開時)とは・・・。
お母さんの喪失感が今じゃ少し分かるもの。
■おまけ
俺のジュリエットへの恋には恐ろしい後日談がございまして。
しかし、それはまた別の物語。
いつか別の場所で語ることにしよう。
(ここ、ちょっとエンデの『はてしない物語』風)
バハハーイ!
オチマイ。
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