ナイキ最初期ラインナップのカタログにも記載がある、このフライトレギュラー、色々な面で面白いスニーカーです。
台湾製であり、他の日本製品とは比べ物にならないほど廉価な作りになっています。
アッパーこそ、光沢があり、一見すると贅沢な革を使用しているかの様に見えますが、細部はまだまだ技術が伴わない職人の姿が垣間見えます。
例えばこちら
左足ヒールのアッパー生地。
『寄せ』が甘く、シワシワになっているのがお分かりになるかと思います。
日本の職人さんなら、真っ先に直したくなるポイントではないでしょうか?
そして、タンとタグにも。
上記がフライトのタグ。
下記が同年代の日本製のタグになります。
素材自体も、かなり悪いのですが、縫い方がやはり粗雑になっています。
レジスターマークが、オレンジ色で刺繍されているのがお分かりになるかと思います。色味も、同期の日本製と比較すると淡くうすれた様なものになっています。
次に、インナーのアーチサポート。
ボンド跡がべっとり付いています。
これは、アーチサポートを糊付けするために付けられたボンドだということは、容易に想像できます。
出来たばかりの製品では、あまり目立たなかったであろうこの跡も、今となっては愛おしいかもしれません。
最後にインソール。
これもまた、他のモデルには見られない初期台湾製独特の仕様となっています。パイル生地でもなく、コットンメッシュの様でもなく。ただ、クッション性は、ある程度あり、そこまで悪くはありません。
ここからは、個人的な想像の域の話になりますが、私の所有するフライトは、スウォッシュが切りっぱなしになるものですが、カタログにはヒールに縫い込まれているであろうものが記載されています。
これが、最初期のラインナップカタログです。6モデルが写っている中で、写真中央がフライトレギュラー。
このラインナップ全てが日本製であることから、恐らくはレジスターマークの付かない日本製であっただろうと思います。
70年代初頭。ランニングブーム全盛のアメリカで。まだ、どこの工場に依頼すればコスト、製品、流通が満足いくものになるか手探りだったナイキ。恐らくは、複数の工場でこのフライトを作っていたのではないでしょうか。ただ、現存数が極めて少なく、その事実を確認することは、至難の業になることは間違いありません。
ただ、それができないからこそ生まれるロマンがあると思います。いつか、ヒールに縫い込まれた日本製のフライトと対面できる日を夢見る今日この頃です。
最後に余談ですが、、、
この'Flyte'というモデル名。
英語では、存在しません。
ノルウェー語で、『流れる』『浮く』の意味。それが、なまって英語の'Flight'になったようです。
正に、"流れる"ようなラインに艶やかさを感じます。
special thanx
Mr. Komori
Mr. Kurai
考察もたっぷり。初期のモデルになるほど当時に想いを馳せるだけのロマンが詰まっていて楽しいですよね。
タンの短さもビックリ(@_@)です。
ありがとうございます。
フライトからスタートすると決めていました。私のこれ、他と比べてはるかに短いんですよ。
これからゆっくりアップしますので、また覗いて下さい。