おさかな天国は各地で話題になりつつも、メジャーから出るなんて夢にも思っていなかった時期が何年もつづいた。それにともないプロデューサーから、やはりあの歌はいいよ。と事あるごとに言われ、ちょうど制作してから10年が経った頃に、このままで終わるなら自分たちで作りなおして仕掛けるか?という話になった。しかし二人して、ものぐさな性分なものでそんな思いを持ちつつも、もう一年ほったらかしにし2001年になり、やっぱりやってみようということで盛り上がり、初夏の頃その話は酒の席の戯言に終わらずに秘かに新たな歌い手でデモテープを録音することになった。とっても可愛らしい仕上がりで新しい血が流れたおさかな天国が誕生したのだが、そのテープは結果的に未発表になった。今でも僕の机の引き出しにベッキーが歌ったおさかな天国は眠っている。
おさかな天国が巷に流れ出し、毎年どこかで話題になっているという情報が僕のもとに届けられて来た。不思議なのだが、札幌で話題になってたかと思うと、次は広島、次は福岡と点々と話題になっていた。そんなことが数年続いていたある時、大阪の朝日放送から、明日会いに行きたいのだが時間を作って下さいという電話が入った。その時、丁度イベントの現場の仕事をしていたのだが、なんとか時間を作った。なにしろ僕が以前から好きだった番組「探偵!ナイトスクープ」だったのだから断るはずがない。大阪のスーパーで流れてる変な歌の歌手や作った人が、どんな人なのかを探して欲しいという大学生の男の子からの依頼で、石田靖さんが我々を探しあて東京まで来たのだ。その時、初めて僕自身も歌手の柴矢さんとご対面した。そして石田さんにお願いされ、僕までも歌って聞かせるはめになってしまった。でも探偵!ナイトスクープは大好きな番組だし、キダタロー氏には歌詞に対し、お褒めの言葉を頂けて、とてもいい思い出となった。ただ探偵手帳を貰えなかったのは、いまだに残念でしょうがない。またいつの日か、あの番組に依頼が来るような歌を作りたいと密かに思っているのである。なぜなら今度こそ、手帳をいただけないかとダメもとで交渉だけでもしてみたいと思っているからである。余談だが、僕とずっと仕事をしているミズリーこと不破ちゃんは、探偵!ナイトスクープからの電話で、おさかな天国を書いたのが僕だと初めて知って、びっくりするとともに少しだけ尊敬してくれたのであります。というのも、不破ちゃんが学生の頃から、買い物先で覚えたお母さんが、よく家で口ずさんでいたそうで、まさかその歌を書いた者がこんなに身近にいたなんて夢にも思っていなかったそうです。
レコーディングでの秘話は残念ながらない。というのもレコーディングには立ち合っていないからだ。当時、他の仕事があったのとプロデューサーから買い取りだし、あとは任せてよと言われたのでお言葉に甘えてスタジオには行かなかった。だから歌っている柴矢裕美さんにも後の探偵ナイトスクープで取材されるまでお会いすることもなかった。買い取りだからと言われたが、今から思えば当時の相場からしては待遇の良い金額だったのではないかと思う。それにそれプラス、何かあった際は、再契約として印税契約を結ぶという条件だった。その当時は誰も、その何かあったらばの、ナの字程度も何かが起こるなんて思っちゃいなかっただろうにね。そんな待遇の契約をプロデューサーは交わしてくれた。レコーディングから三日後に出来たての「おさかな天国」が入っているカセットを喫茶店で渡され、その場で聴いたのだが、今でも覚えているのは、テンポもいい感じで柴矢さんの歌声が一層楽しさのイメージを広げてくれたなあという第一印象だった。プロデューサーと、いいよね、いいよね、これいいじゃんと言い合い。三軒茶屋の居酒屋に乾杯をしに行った。その居酒屋は、そのプロデューサーと初めて飲んだ思い出の場所でもあった。北岡夢子というアイドルの詞をやっている際には、打ち合せと称し飲み、僕ひとりでビールの大ビンを1ケース、20本飲んでしまい、店の人からお客さん、まだビールでいいんですか?と言われた店だ。なんだか懐かしいなあ。でも、おさかな天国に乾杯した夜も、ただ美酒に酔うのではなく、すぐに次回は何を作る?という話に展開し盛り上がったのを覚えている。ほんとうに歌を作るのが好きな二人なのである。その時の話の流れで「ぼくたちの地球」という子供たちの為の環境問題をテーマにした歌が生まれた。つづく
どうして、「おさかな天国」というタイトルなのか?たまに聞かれることがあるが、実は僕にもこうだからという確信的な理由で名づけたというものじゃないんです。この歌は、タイトルを最初に考えてから作ったものじゃなく、歌の中身から一気に書き上げたものだったから、書き終えてから、さあタイトルはどうしょうかな?と悩んだ末に、ポッと浮かんだものを勘でつけちゃったものなんです。僕の場合、そんな感じの作品が多くて、いつもタイトルには苦しめられる傾向があります。「おさかな天国」も却下されるかな?と思い、他に「おさかなパラダイス」や似たような案も用意していたのですが、誰からも何も言われずにすんなり通ってしまいました。それどころか十数年が経ち、そのタイトルをめぐって商標登録の権利問題でちょっとした騒動が起こるなんて、人生って何が起こるかわからないものです。悶えながらタイトルを考えてたあの頃の僕は、そんなこと全然思いもしなかったし、魚がいっぱい出て来るしさ、魚を食べると頭や身体にいいんだから、そりゃ天国だ!ぐらいに提出する際に自分を説得するかのような苦し紛れの理由を考えて、ちょっと恥ずかしながらという思いを隠して提出したタイトルだったんです。つづく
なんだかんだで詞は、みなさんの知っている形状で納まったのだが、実は最初に書いた時点で唯一却下されたフレーズがあったんです。それは、サビの最後のところの「サカナは僕らを待っているOH!」のOH!の掛け声部分だ。OH!は、最初「ウオ!」だったのだが、そこまでダジャレにしなくてもいいよというプロデューサーの一言であえなく日の目を見なかった。まあ、今では、つるつるコロンの「おさかな天国deサンバ」の中で、その時の思いを晴らすかのようにウオ!を連発していますけどね。でも僕としては、最後の締めまでダジャレで飾りたかったのは言うまでもありません。ちびっこたちもその方が面白がってくれたんじゃないかなあと思うのは僕だけなのでしょうか?作者というのは、そんなつまらぬところにこだわったりするものなんです。つづく
Bメロの隠し球、それは作者にとっての遊び心で入れてみた「シメサバ」だったのですが、誰かしら〆鯖は加工品で鮮魚じゃないからダメだと指摘して来るだろうなと思い、その時のために代替でヒラマサを用意していたんです。でもクライアントからも何も言って来ず、そのままレコーディングの運びになったのです。なぜシメサバにしたかと言うと、単純にシマアジと対の箇所だったので、シで始まる四文字にしたかっただけで、僕自身がシメサバが好きだからということじゃないんですよ。ヒラマサの刺身の方が好きです。この制作時点で指摘されなかったシメサバは、その後十二年経てからネット上で指摘されたり、またワイドショーの取材でも質問されたりすることになったのです。でもなんでも話題になることはいいことなので、遊び心で入れた加工品、シメサバも結果的に良かったんだシメシメと思いました。つづく
※途中から文字が読めなくなってたようなので再送させて頂きました※。前回話した魚には、それぞれに組合があるといったような問題は、その後の作品でもありました。それは「みんなのふうちゃん」という、お豆腐の歌です。お豆腐を使った製品だからといって魚の時のように、うかつに詞を書くとアジャパーとなるんです。たとえば、厚揚げや豆乳は、お豆腐の親戚のような物だと思いますが、お豆腐とは協会が違うんです。世の中ほんとうに深いなぁと思いました。それとは違った類なんですが、賞味期限と消費期限の違いも歌作りで出て来たことがあります。それは「お惣菜バンザイ!」と言う歌を作る際に出て来ました。惣菜は賞味期限という表記で統一されているんです。こんなふうに知らずに書くと、どんなに面白い歌を作っても、書き直しとなる運命なんです。言葉のご利用も計画的にね!が一番の基本ですね。というわけで、おさかなのBメロは、曲が出来て来てから多少、名前の変更をして無事に完成となりました。しかし、よくあの時は、誰からも何も言われなかったよな
ぁという箇所が本当は、あったんです。わざと僕は、その名称を入れたんですけどね。それはメジャーになってから、インターネットの世界やマスコミの方々から指摘されるまで誰からも何も言われなかったのです。僕にとっては指摘されなくても、されてもムフフでした。つづく
ぁという箇所が本当は、あったんです。わざと僕は、その名称を入れたんですけどね。それはメジャーになってから、インターネットの世界やマスコミの方々から指摘されるまで誰からも何も言われなかったのです。僕にとっては指摘されなくても、されてもムフフでした。つづく
前回話した魚には、それぞれに組合があるといったような問題は、その後の作品でもありました。それは「みんなのふうちゃん」という、お豆腐の歌です。お豆腐を使った製品だからといって魚の時のように、うかつに詞を書くとアジャパー(>_<)となるんです。たとえば、厚揚げや豆乳は、お豆腐の親戚のような物だと思いますが、お豆腐とは協会が違うんです。世の中ほんとうに深いなぁと思いました。それとは違った類なんですが、賞味期限と消費期限の違いも歌作りで出て来たことがあります。それは「お惣菜バンザイ!」と言う歌を作る際に出て来ました。惣菜は賞味期限という表記で統一されているんです。こんなふうに知らずに書くと、どんなに面白い歌を作っても、書き直しとなる運命なんです。言葉のご利用も計画的にね!が一番の基本ですね。というわけで、おさかなのBメロは、曲が出来て来てから多少、名前の変更をして無事に完成となりました。しかし、よくあの時は、誰からも何も言われなかったよなぁという箇所が本当は、あったんです。わざと僕は、その名称を入れたんですけどね。それはメジャーになってから、インターネットの世界やマスコミの方々から指摘されるまで誰からも何も言われなかったのです。僕にとっては指摘されなくても、されてもムフフでした。つづく
おさかな天国は、プロデューサーとの打ち合せ段階から、覚えやすい曲構成にしようと決めていました。それは単純にABC、ABCであとはCの繰り返しというものだった。Aの部分もサヨリちゃんの名前が決まってからは、サラッとスズキくんとのやりとりを一気に得意分野のダジャレで2番まで書き上げました。正直言って寝転んだ状態で書きました。すみませんm(__)m。Cのみなさんが一番知ってるサビの部分は既に出来ていたので、あとはBメロの部分を残すだけだったので、もう楽勝!っていうムードでいたんです。ここは、魚屋さんの店頭で調べた魚介類でAメロの箇所とダブらない名前を一番、二番、字数と語感を考慮して並べてゆけばいいだけさ!と考えていました。そして自分の中では、ちょっと遊び心も入れて書き上げたのです。翌日、プロデューサーに渡したら、いいね。さすが早い安い巧いの作詞界の吉野家だね!なんて喜んでくれので、書き上げるという張り詰めた思いから解放され、その後飲んだビールは美味しかったです。ところが、それは束の間の至福の
時だったんです。作曲の柴矢さんに詞が渡って曲作りが始まったのと同時期に、この歌のクライアントから一報が入ったのです。それは、「うちの魚が入っていない!」と、いくつかの組合さんから言われてるというものでした。組合?何?何?・・・。そうだったんです。僕は、それまで知らなかったのですが、魚には、それぞれ組合があったんです。たとえば、鮪組合や鰹組合といった具合に。ひょえー(>_<)でした。それで急遽、それらも考慮して魚の名前を選出し書きなおしをしました。みなさんがあまり知らないAメロBメロの所には、そんなデリケートな問題も潜んでいたんです。つづく
時だったんです。作曲の柴矢さんに詞が渡って曲作りが始まったのと同時期に、この歌のクライアントから一報が入ったのです。それは、「うちの魚が入っていない!」と、いくつかの組合さんから言われてるというものでした。組合?何?何?・・・。そうだったんです。僕は、それまで知らなかったのですが、魚には、それぞれ組合があったんです。たとえば、鮪組合や鰹組合といった具合に。ひょえー(>_<)でした。それで急遽、それらも考慮して魚の名前を選出し書きなおしをしました。みなさんがあまり知らないAメロBメロの所には、そんなデリケートな問題も潜んでいたんです。つづく
お風呂の中で、あーでもないこーでもないと作品の流れを考えて、行きついたのがとにかく魚の名前をいっぱい出そう。それも少しはストーリーがあって面白いものにしようということだった。けっこうその段階で集中していたので湯上がりに、みなさんが真っ先に覚えてくれたサビの部分を一気に書いた。最初はドコサ・ヘキサ・エンサンという栄養素の名が呪文のように入っていたのだが、それは最終的にカットした。サビさえ出来てしまえば、あとのパートは思いっきり遊べるので、得意分野のダジャレで魚の名前を口ずさんでみた。その馬鹿馬鹿しさに、これだなと思い、ラブソングとして成立するようにストーリーを組立ててゆくことにした。男の子の名前は、すぐにスズキくんと決まったのだが女の子は、どうしても可愛らしさが出るように名字じゃなく下の名前にしたかった。うーん、それに会うような魚がいないと少々悩み、国民的な人の名に近い方が親しみがわくよな~、たとえば吉永小百合さんみたいな感じだよなと思いつつ、魚屋さんの帰りに寄った本屋でのメモから、まっさきに目に飛び込んだのがサヨリだったんです。あるじゃん、これだよこれ、サヨリちゃん、決まりだね!ということで歌には書かれていませんが、サヨリちゃんのフルネームは吉永サヨリなんです。僕は、このサヨリちゃんと出会った時点で、やったね!と思った。つづく