邦画天国、おきなわ天国

日本映画、特に昭和30年代、40年代の大衆娯楽映画&沖縄がお気に入り

GS映画②『落葉とくちづけ』が観たかった。

2007-11-04 09:35:28 | 日本映画- 音楽
えー、通っております。GS映画特集。
今回の特集でもっとも観たかったのは、斉藤耕一監督『落葉とくちづけ』。
それは去ること12年前。
映画生誕100年を記念し、多くの出版社から映画リスペクト本が各種発行された。
なかでも、読売新聞社刊「映画100物語 日本映画編」は、新聞社の映画記者によってセレクトされた100本あまりの映画批評を、簡潔なコピーとシャープな切り口で書いていて、
以後の日本映画鑑賞の手引きとして重宝していた。

そのなかで登場する『落葉とくちづけ』のページには、GSとか尾崎奈々とか、
あまり馴染みのない魅惑的なキーワードが出ていて、ずっと気になる映画だった。
映画を紹介するコピーは、
「ピクニックで、街で、パーティーで、尾崎奈々、君は素敵だ!」

尾崎奈々って、一体だれ?

観てきました。
『小さなスナック』1968と『落葉とくちづけ』1969の二本立て。
両方とも主演は尾崎奈々と藤岡弘。
両方とも監督は抒情派ビジュアル系の斉藤耕一。

『小さなスナック』はパープル・シャドウズの大ヒット曲。
改めて聴くと、しみじみいい歌だなあ。

♪僕が始めて、君と出会った白い扉の小さなスナック。

映画自体は必見作までは、いかないが、小粒でなかなか。

『落葉とくちづけ』は、ファンタジー純愛映画とでも呼ぶべきか、
不思議な映画である。
漫画家志望のペンキ屋で働く朴訥な青年、藤岡弘が、いきなり、
街で初めて逢った尾崎奈々に向かって、2年前いっしょに暮らしていたと虚言を吐く。
告白された奈々は、奇妙な事態に困惑するも青年の人柄に段々その気になり、
あれよ、あれよという間に、ラブラブに発展。
最後は二人で逃避行だ。アラン・レネ監督『去年、マリエンバードで』みたいだが、難解ではなく、
イラストをところどころに挿入したり、日本の美しい紅葉を入れる点が撮影監督出身の斉藤耕一
らしくて、60年代後期の青春映画になっている。
ヴィレッジ・シンガーズが脇を固めて、脈絡に関係なく歌う。
「亜麻色の髪の乙女」も、しっかり聞ける。
とにかく、尾崎奈々がキュートで可愛い。
彼女の60年代ファッションは今でも通用する。
あまり映画で見かけない女優だが、「君は素敵だ!」のコピーは偽りなしだった。

余談になるが、さきほど取り上げた「映画100物語 日本映画編」はコピーがうまいのである。
『二十四の瞳』では、「長い戦争が終わると、教え子は8人になっていた」。
『憎いあンちくしょう』だと、「『気狂いピエロ』のように二人は太陽に融けこんだ」。
どうです。
映画を観た人なら、その、うまさがわかるでしょう。
時代を追って並べられた映画のセレクションは秀逸で個性的。
『落葉とくちづけ』の前は『男はつらいよ』で、後には『処女ゲバゲバ』『日本沈没』と続く。
長くなってしまう前に、余談終了。

GS特集では、他にも

『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』1969
『ザ・タイガース ハーイ! ロンドン』1969

を観たけど、
ショーケンが歌う「エメラルドの伝説」が見れたので○。
その程度の映画でした。

GS映画にどっぷり

2007-10-28 23:51:14 | 日本映画- 音楽
画の特集が新文芸座で静かにおこなわれた。

GSはグループサウンズの略。
これを書いている自分も、この文章を読んでいる人も、その実態はよくは知らないと思う。
映画を観る限り、1960年代後半、ビートルズに影響を受けたアイドルバンドが百花繚乱、そのうち、人気のあったグループ主演で映画がつくられたということになる。(たぶん)

通って、発見しました。
昭和映画好き、昭和風俗好きには、見所多いたまらない映画達であった。
当時の風景、ファッション、音楽が満載。
首都高速建設中の東京、現代でも通用する松原智恵子の髪型(こうゆうのもレトロフューチャーなのか)そして、かつて聞いたことあるおなじみの歌。

最初に観たのは、

『ザ・スパイダースのゴーゴー向こう見ず作戦』1967 
『ザ・スパイダースの大進撃』1968

スパイダースの映画は、堺正章と井上順のかけあい漫才のようなスピーディなコメディが持ち味。
今でもたまにテレビで見せる仲良し具合は、当時からだったのがよおくわかる。
かまやつひろしって昔からあんな感じだったんですね。
よく取り上げられるけど、ビートルズ映画、特に『HELP 4人はアイドル』に似た展開。


で、本日鑑賞は、

『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』1968
『ザ・タイガース 華やかなる招待』1968

客席は妙齢のオバサマ、若い女性が目立つ。
映画始まる。
いやあ、沢田研二、華がある。
しかも、歌が本業にしては演技がまとも。
10年後、『太陽を盗んだ男』で爆弾犯の冴えない教師役で存在感を示すのを予見してたりして。

映画はスパイダースがコメディの合間に演奏をはさむ形式で、いちお映画になっているのに比べ、タイガースの方はもろ、プロモーション主体で、話なんか、結構、強引。
「モナリザの微笑み」「花の首飾り」「シーサイド・バウンド」「銀河のロマンス」などなど聞いたことある楽曲ばかりでうれしい。GSファンでもないのにネ…。
サイケデリックな派手派手演出に、劇中ライブ場面で熱狂するお客に感化されて、徐々に画面に入り込んで来るのが不思議だ。大画面で観る迫力はビデオ、DVDでは出せません。話自体はあえて触れない。演奏が見れればどうでもいいのがGS映画だから。

帰りにタイガースのDVD、3種類とも買ってた女性を見ました。
ジュリーって、人気あんですね。