今年のお盆は、大雨に見舞われた地域も多く、先祖の霊をお迎えする余裕もなかった方もいらっしゃったと思います。今後も雨が予想されている地域もありますので、災害に対する万全の備えをしておかなければなりません。すでに災害に見舞われ、被災された地域の皆様には、心からお見舞い申し上げます。
さて、お盆は元々お釈迦様の高弟の目連尊者が、亡くなった母の供養についてお釈迦様から教わって始めた供養行が始まりとされています。お盆には、仏教に縁のある行事が多いわけです。
ところで、今年はすでに立秋を過ぎており、今日8月15日は暦の上では秋ということになりますが、8月は夏休みの期間でもあり、私達の実感するところでは夏だと思います。
テレサが歌った夏の曲は少ないと思いますが、わたしが大変好きなカヴァー曲があります。それは、KUWATA BANDの『Merry X'mas in Summer(メリー・クリスマス・イン・サマー)』です。
クリスマスと言えば、言わずと知れたキリスト教の行事です。
ご存じの方もあるかと思いますが、テレサはクリスチャンでした。テレサという名前は、洗礼名でもあったのです。
クリスチャンであるテレサにとって、この『Merry X'mas in Summer』という曲は、ピッタリの曲で、テレサが歌っている曲を聴いていると、まるでテレサのために作ったのではないかと思うほどです。
歌い方が実に自然体で、とても聴きやすく、私が今までに聞いたカヴァー曲の中では一番好きです。
私はスマホにダウンロードしてよく聴いていますが、『テレサ・テン カヴァー・ベスト・セレクション』というアルバムの中にあります。
また、ラブ&ポップスというCDの中にも収録されています。
まだ聴いたことがない方には、お薦めのカヴァー曲です。
ところで、『Merry X'mas in Summer』の歌詞には、『神様が微笑むこの街』というフレーズがありますが、その街は一体どこにあるのでしょうか。
『エボシ岩』が出てくるので、茅ヶ崎市のことなのかも知れませんし、もう少し狭い範囲の湘南のどこかの街かもしれません。
「砂、海、波」が歌詞に出てくるので、いずれにせよ、海沿いの街には違いありません。
テレサが愛した街、香港にも、湘南に負けないくらいの美しい海岸があるようです。私は、若い頃、湘南の海岸には行ったことがありますが、残念ながら香港は行ったことすらなく、香港の海岸はネットで見るしかありません。
テレサは香港に住んでいた時期もあり、特に海に浮かぶジャンクと呼ばれる船で食事をしてくつろぐのが大変好きだったようです。
かつての香港は、様々な文化が混ざり合って、自由で活気のある街だったと思います。テレサもそんな香港が大好きで、生活の拠点にしていたようです。
できるなら香港でずっと暮らしていたかったのでしょうが、残念ながら1989年に天安門事件が起こり、やがて香港が中国に返還され、自由が奪われることを見越して、テレサはパリへと移り住んだのでした。
昨今の香港の状況を、テレサはどのような気持ちで雲の上から見守っているのでしょうか。かつて自分が暮らしていた、大変好きな街「香港」から、民主主義が失われ、言論の自由が奪われてゆくさまを見て、たいへん悲しんでいることでしょう。
「神様が微笑む街」とは、仏教徒であろうが、クリスチャンであろうが、あらゆる人々の人権が守られていることが最低限の前提となるでしょう。
香港が一日も早く言論の自由を回復し、民主主義が機能する街に戻るように願うばかりです。
内容が多岐にわたりましたが、どうか、テレサが雲の上から微笑んで見ていられる街が少しでも増えますようにと願いながら、今回の話を終えたいと思います。
※参考資料
・西田裕司著『追憶のテレサ・テン』サンマーク出版刊
・『テレサ・テン カヴァー・ベスト・セレクション』
・『ラブ&ポップス』テレサ・テン CD