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テレサ・テン(鄧麗君、Teresa Teng)の残照

テレサ・テンさんのお誕生日を祝して

本日1月29日は、テレサ・テンさんのお誕生日です。
生きていれば、今年で満71歳になられるのですね。
改めて、生前のテレサ・テンさんの姿を思い浮かべながら、お誕生日を祝したいと思います。

さて、赤ちゃんが生まれてくるのはうれしいことですが、と同時にお産の場に立ち会うと、何かしら神聖な気持ちになったりするものではないでしょうか。

生命の誕生の場には、これから始まる新しい人生の息吹が感じられ、日常ならざる神聖さが生まれるのでしょう。

神聖な母といえば、「聖母マリア様」が思い浮かびます。優しく、つつましやかで、慈しみに満ち、それでいて母としての強さを持っている、そのようなイメージでしょうか。

テレサ・テンさんのお母さんは、「趙素桂」といい、中国は山東省の出身で、大変優しく、つつましやかで、料理が上手だったとのことです。

テレサの母方は、代々クリスチャンだったようで、どうも「聖母マリア様」には憧れがあったのではないかと感じます。

『テレサ・テンが見た夢: 華人歌星伝説 』の著者である平野久美子さんが、テレサの母方の親族の墓参りをされた記事がネット上にありましたので、少し引用させていただきます。

【テレサの20回忌に当たる2015年のこと。私は中国陝西省にあるテレサの母方の親族の墓にようやくたどり着いた。・・・(中略)・・・深呼吸をしてから亀甲墓の前にぬかずいた。墓石には十字架が刻まれている。
顕妣
聖名:馬利亜
趙張守鑫大人之墓
孝女 趙素梅 素桂、素亭 敬立
一九七四年六月十六日
私は墓石からしばらく目が離せなかった。そこには「馬利亜」(マリア)とある。祖母はクリスチャンだったのか・・・。テレサ・テンという英語の芸名は彼女が自ら付けたものだが、それは敬愛するマザー・テレサにちなんでいるとも教会に通っていた頃のクリスチャンネームだともいわれていた。】25回忌に寄せて――歴史の申し子、テレサ・テン  2020.05.30 平野久美子

テレサ・テンさんの母方の祖母の墓石に聖名:「馬利亜」(マリア)と刻まれているようです。

母方のクリスチャンとしての流れが、テレサの生き方に影響を与え、また「マザー・テレサ」にも大変憧れていたようです。

随分前の話ですが、マザー・テレサが活動する姿をテレビで見たことがあります。
その時、私は大変鮮烈な印象を受けた場面がありました。

若い修道女たちが、マザー・テレサと行動を共にしていました。彼女たちは、実につつましやかに生活をし、高価な物品は何一つ持ってはいませんし、遊びに出かけるわけでもありません。

それなのに、実に幸せそうな笑顔を見せてくれました。

方や、日本の若者たちは、流行のファッションを追い、おいしいものを食べ、様々な遊興にふけり、それなりに満足した生活を送っている人も多いことでしょう。彼らも実に楽しそうな笑い顔を見せてはくれますが、それが本当の幸せとは私には思えませんでした。

人間の幸せとは、いったい何なのだろうか?と、私はしばし考えさせられました。

今思い返しても、マザー・テレサと若い修道女たちの、実に慈しみ深い内面からにじみ出るような笑顔の輝きは、本当に感動的で素晴らしいものでした。

きっと、テレサ・テンさんもマザー・テレサの活動をご覧になったことがあったのではないかと思います。そうであればこそ、憧れもし、テレサという名前を付けたのだと思います。

私がテレサ・テンさんを好きになった理由の多くは、彼女が恵まれない人々に対して、心底その苦しみに共感し、慈しみに満ちた援助を惜しまなかった人であったからです。

もちろん、テレサ・テンさんが、アジアの歌姫として、歌手としての絶大な名声を手にしたことも素晴らしいことで、その評価は今でも変わっておりません。

しかしながら、マザー・テレサと若い修道女たちの、実に慈しみ深い笑顔の輝きと同質の、内面からにじみ出るような魂の輝きをテレサ・テンさんが放っていたことをこそ、私は永遠に語り継ぎたいと思います。

 

 

※参考資料
・25回忌に寄せて――歴史の申し子、テレサ・テン  2020.05.30 平野久美子

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