蒸気タービンを超小型化そして超高速化する目的で設計した速度複式蒸気タービンの構造図が次の図です。
この蒸気タービンは毎分数万回転という高速回転で運転されるので、タービンからの出力は並行軸歯車減速機で減速されます。
タービン主軸からの蒸気の漏洩を防ぐために高速回転用メカニカルシールが用いられます。
高速回転を受ける軸受けは高速回転用転がり軸受けを使用しており、油潤滑となっています。
タービン羽根は速度複式方式となっているため、初段ノズル、初段動翼、2段静翼、2段動翼と4つの羽根部の組み合わせとなっています。
速度複式とは初段ノズルで入口蒸気エンタルピが出口側までのほぼエンタルピ差となるように速度エネルギーに転換されて、その速度エネルギーを2段の動翼で回転エネルギーに転換していくタービン方式です。
2段目の動翼を1段目動翼と同じ方向に有効に回転させるために2段目静翼があり、この流れ転向能力が充分ではないと効率が悪くなってしまいます。
この時に設計した2断面静翼は、今見直すと弦長が短すぎたと考えられ、次の設計では弦長を大きくする方向に修正しています。
速度複式蒸気タービン羽根通路での効率損失は、流れがほぼ180度近く転向する場合に流れを曲げることにより起きる流れ転向損失となり、これを少しでも小さく出来れば高効率化も可能となりますが、速度複式蒸気タービンは衝動タービンであり羽根間での蒸気膨張による気体の加速がなく減速流れとなり、どうしても損失が大きくなってしまいます。
その減速流れによる流れ転向損失の大きさが衝動蒸気タービンが反動蒸気タービンに対して最高効率が劣る大きな原因となっています。
これは蒸気タービンだけでなく、水力タービンの中の衝動型水車であるペルトン水車でも言えることであり、反動タービンのフランシス水車が90%以上の効率を出せるのに、ペルトン水車が最高効率90%ぐらいとなるのは転向損失の割合によると考えられます。
<今日の感想>
昨日も今日もそして明日も会社に出て仕事を行いますが、それはちょうど今の時期がいろんな会社の前期終了時期となるため、かなりの開発案件の締め切りが今月ぐらいとなっているためです。
毎年この開発案件終了時期の忙しさは後期の年度末に集中する傾向でしたが、今年は昨年のこの時期に比べて仕事が多くなり、たぶん再生可能エネルギー関係設計と省エネ関係設計が増えたためと考えられます。
仕事は多いのは大変に有難くありますが、それを進める作業時間が他のいろんなところからの要望事項やその他でどんどん時間が取られているようにあり、自分の作業時間の確保が重要となっているところです。