流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ペルトン水車の運転状態を実際に見る為の工夫と考察

2009年11月17日 | 再生可能エネルギー発電タービン

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ペルトン水車が実際に運転している状態、すなわちノズルからのジェット水がランナバケットにどのように作用して水エネルギーを回転エネルギーに変換しているのか、これは自分でペルトン水車を設計したならばぜひ見てみたい状況です。

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そこで自分は、主軸片持ちのペルトン水車を設計する時に、羽根手前のケーシングの蓋は鉄板ではなくアクリル板を使用することで運転状態が見えるように工夫をしていました。

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上図は、アクリル窓付きペルトン水車を発電小屋に据え付けて試運転を行っている写真ですが、ではアクリル窓を通して見えるペルトンバケットに作用する水の様子はどのようになれば最も効率が高い状態での運転なのかお話ししたいと思います。

最も水のエネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換した後の水は、ランナバケットから左右真横に振り分けるように落ちて流れる状態、これが最高効率状態となります。

つまり、まっすぐ飛んできた水ジェットが進行方向と90度に転向されるように羽根が作用すれば良いのです。

それに対して、水車バケットが速く回転しすぎている状態では水はバケットを素通りするように直進方向への水の割合が多くなります。

また逆に、水車バケットが遅く回転しすぎている場合には水は進行方向と逆方向に戻る状態となってしまいます。一見進行方向と逆に跳ね返されるような水流となれば有効に水が羽根に作用しているように感じるかもしれませんが、逆跳ね帰りはエネルギーを浪費する状態となります。

やはりタービン関係を設計する人は、タービンの中の状態を実際に見て、流体のふるまいを理解していきたい欲求が強いでしょう。その為のいろんな工夫が既にあります。

<今日の感想>自然エネルギー利用にタービンを使用する場合は、自然のものだからこその流体のふるまいを無理・無駄なく利用できるように、良く理論を勉強することと、実際の経験を充分に積むことが重要と思います。それには長い年月がかかってしまいますが。

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