流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ターボファンエンジンのファン部の流体解析シミュレーション

2018年02月09日 | 宇宙航空産業機械

ターボファンエンジンを設計したので、それのファン部の流体解析シミュレーションを進行中です。

次が、ターボファンエンジンのファン部の性能を流体解析で求めるための解析モデルとなります。

既に解析メッシュが切られている状態です。

次でファン部の形状が少し見えていますが、このファン部が主要な推力を発生しますので、これ単体の性能解析シミュレーションを行うことでターボファンエンジンのとしての主要な推力値を確認出来ます。

次図のようにファン部のブレードはわりと素直な形状としており、まずは遠心力による変形量が一番少ないように翼断面形状の半径方向への積み上げが直線的になっています。

次は、流体解析計算が進行してターボファンエンジンのファン部が空気を吸い込み、それを吐き出している様子ですが、まだ計算の繰り返し回数が少ない状態なのでファン後方への噴出流れが充分に発達していません。

次図は、流れの流線をターボファンエンジンに近づいて見たものですが、流線が太すぎて流れが詳細に分からずすみません。

<今日の流れ>

今日はまずメールへの回答から始まり、次は性能が流体解析で出たターボ機械の性能評価をして問題点を吟味します。

<今日のロケットターボポンプ設計計算>

昨日までの計算で推力5トンロケットエンジン用のターボポンプの液体酸素ポンプと灯油ポンプのmヘッド揚程と毎分の体積流量が出ました。

よって今日は必要なポンプmヘッドと体積流量が出せるポンプインペラの最適な回転数を計算してみたいと思います。

遠心ポンプの揚程はほぼポンプインペラの外周の回転する速度で決まると言って良いのですが、その場合流す体積流量との関係で高効率が出るポンプインペラの形状を比速度というパラメーターで検討することが出来ます。

比速度Nsは、揚程(m)、流量(m^3/分)、回転数(rpm)で決定される値であり、その数値は最低でも150以上にした方が良く、さらに高効率な範囲は250~350ぐらいです。

今回の液体酸素燃料ポンプでその比速度は、ポンプインペラ回転数を毎分3万回転とすると、Ns=201となりまあまあ高効率と出来る比速度です。

また灯油ポンプでの比速度は、灯油ポンプインペラ回転数を毎分3万回転と液体酸素ポンプインペラ回転数と同じにすると、Ns=124となり150以下の比速度で効率の低下を免れませんが、液体酸素ポンプと灯油ポンプを1台の駆動タービンで回すなら製作金額が安くなり、ターボポンプもコンパクトになるので、その点は有利です。

よって低比速度ターボポンプの高効率設計技術を駆使して少しでも効率の高い1軸式ターボポンプを設計することとします。

とりあえずターボポンプの回転数は比速度で決めてみたのですが、もう一つ大事な回転数を決める要素があり、それは遠心ポンプの吸込み比速度です。

今回のような3万回転というようなインペラの高速回転は、小さなポンプインペラが沢山の液体をポンプ入口から吸い込むこととなりポンプ入口の流速は相当に速くなります。

またポンプインペラブレード入口縁も外周部は高速で回転する周速度を持つことから、ポンプ入口への流入速度とブレードの回転周速度を合成した相対速度と呼ばれる値はかなり速くなり、それによる液体圧力の低下が起こることで液体に蒸気の発生が起こりそれがキャビテーション気泡として液体の流れを妨げることで流量が流れなくなります。

このような激しいキャビテーションが起きるかどうかをあらかじめ確認する必要がありますので、明日はそれの計算をしてみます。

 

この記事についてブログを書く
« 燃料噴射インジェクターから... | トップ | 電動ターボポンプを使ったロ... »