流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

バイク用ツイン遠心ターボ型スーパーチャージャーの設計完成 エンジンからのチェーン駆動タイプ

2017年05月11日 | 未来製品設計

バイクエンジンに過給する用途の過給機として、ツイン遠心ターボ型スーパーチャージャーの設計完成です。

このツイン遠心圧縮機型スーパーチャージャーは、エンジンからのチェーンにより駆動されるタイプです。

エンジンからの過給機駆動動力はチェーン伝動にて供給され、遊星歯車増速機で増速された遠心コンプレッサー羽根が主軸両端で2台駆動されます。

対向して配置されている遠心コンプレッサー羽根インペラは、左右両方から過給に必要な空気量を吸込みますが、1台の遠心過給機に比べて2台では1台あたりの空気量が少なくなり、低比速度型インペラを使うことが可能です。

低比速度型インペラでは、圧力ー流量曲線(P-Q線図)が右肩下がりが大きくなり、低流量側の右上がり線図領域が少なくなることからP-Q線図の右上がり部での運転で生じるサージングの発生領域が少なくなり、エンジン回転数が低い状態での過給空気量が少ない場合でも有効に過給圧を得ることが出来ることとなります。

また、この設計では、レース用などを考慮して遠心過給機入口部に入口可変ガイドベーンを配置していますので、これもサージング運転の領域を更に狭める働きをすることで、バイク高回転型エンジンの低速でも有効な過給コントロールで高トルクを稼ぐことが出来るでしょう。

もしこの可変入口ガイドベーン機構を省略したとしても、このツイン遠心過給機であれば一般のバイクであれば全く問題なく優秀な全範囲過給効果を得ることが可能となるでしょう。

<今日の流れ>

今日は、流体流れの制御部の設計検討と流れ解析による効果確認が中心です。

流体流れを自分のイメージする流れ状態となるように流れ部形状で制御するのは大変に難しい課題であり、特に頭の中でイメージした流れと解析で得られた流れの差に、う~ん!と唸る事が多くあります。

30年以上流れをやっていますが、いまだに発見することは多くあります。

流体を操る風水師のようなマスターになることには、終わりはなさそうです。

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