たたたた日記

趣味に生きたい。落語とジャズと街歩き。

「~~マー」「~~わいね」と富山弁

2010年11月21日 | 落語会など
 早朝、近くのホテルに泊まっていた友達を家まで車で送っていき、午後から富山市の「てるてる亭」志の輔独演会。今月は珍しく日曜日の開催で、せっかくだから昼の回を選んだ。さー、志の輔だ、志の輔だ!僕は羽織袴を身に着けたフル装備。羽織をつけているので、この間みたいに前座に間違えられることもないだろう。

 立川志の彦 出来心
 立川志のぽん 子ほめ
 立川志の輔  王子の狐

 仲入り

 志の輔 ディアファミリー

 ここで志の彦はいつも通りだったが、志のぽん、というのは初めて見た前座。声が甲高い、それでいて眼鏡の理系の学生さんのような風貌。枕ではつっかえまくりだったので大丈夫かなと思ったが、子ほめはなかなか面白かった。

 さて、志の輔。テレビ番組の収録で、山瀬まみと王子稲荷を訪れた時のエピソードを語る。持ち上がったら願い事がかなう石があり、山瀬まみは持ち上がらなかったが、志の輔は簡単に持ち上がった。「かなわないでもいいけど、かなったらうれしい」という願いごととして、山瀬まみは「二日酔いになりませんように」と祈ったという。志の輔は、スタッフが撮影用に買ってきた隣の「扇屋」の卵焼きをおみやげに持たせてくれるかな、という願いで持ち上げたら、簡単に持ち上がったという。そのまま本題の「王子の狐」に入った。

 噺の中でも「扇屋」が舞台として出てくる。キツネはいつも人間を化かすが、今回は逆に人間がキツネをだますという噺。それでも人間はキツネをだましたことを後悔し、謝りのため菓子折りを持ってキツネの元へ。キツネの子どもにお菓子を託して、子どもが寝ている母親のところにお菓子を持って行ったら、母親は・・・というストーリー。ほのぼのメルヘンタッチの落語ではある。かつて古今亭志ん朝が「落語のいい所は?」と尋ねられて、「キツネやタヌキが出てくるところ」と言ったというエピソードを聞いたことがある。志ん朝はその時にはきっとシャレで言ったのだと思うが、こうして実際にキツネが出てくる落語を聴くと、なかなかどうして志ん朝の言葉は真実の一端を付いているんじゃないかなと思った。オチまで聞いた後、果たして志の輔は、願い事がかなって、扇屋の卵焼きを持ち帰れたのだろうか、という疑問が残った。

 後半の志の輔のマクラは、長崎での落語会の話。いま、龍馬伝ブームで、あらゆるものが便乗していて、桐の箱に入った長崎ちゃんぽんに、龍馬の経歴の紙が入っているだけで値段が跳ね上がっているとか、亀山社中跡の近くのコーヒー店が「龍馬珈琲」に改名していたとか。「自分だけがいい品物だと思っても、もらう相手が欲しいものとは限らない」という言葉が真実を付いている。僕も「おみやげを配る」というのが趣味の一つなので、気を付けなくてはと思う。こないだ鹿児島の親戚に配った金沢の食べ物は、果たして気に入ってもらえたのだろうか・・・・。

 そして、愛らしい家族がドタバタを繰り広げる「ディアファミリー」に。なるほどー、勤続30周年のお祝いの品として、社長から鹿の頭の剥製(はくせい)が届くというストーリー。まさにマクラとリンクしているではないか。志の輔が富山弁丸出しの「~~マー」とか。「~~わいね」とかで、話は進んでいく。石川の言葉とほとんど同じような気がしたが、富山弁の志の輔は実に生き生きとしているし、富山弁の家族たちがすごく躍動すること、すること。
 
 富山弁による志の輔らくごは、仁義なきチケット争奪戦が繰り広げられる東京の落語会でも決して、味わえない。「志の輔聴けてうれしいわいね」「東京モンも、悔しかったら富山まで来てみろマー」と、かなりの優越感と間違った富山弁を使いつつ、機嫌良く帰ったのだった。

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