たたたた日記

趣味に生きたい。落語とジャズと街歩き。

ドラえもんとジャイアンと出来杉君の落語会

2012年10月12日 | 落語会など
 昨夜机にポストイットで貼っておいた、きょうのTODOリストが6件。朝から鬼神のように仕事をする。昼飯何にしようかと思ったら、先輩と行き会ったので「すき家」へ。僕はカレー、先輩は牛丼。夕刻から「2012年最も旬な人」に外苑前で会い、喫茶店で「女子と就活」(中公新書ラクレ)を読み終わって、それから原宿経由で高円寺へ。「らくご@座高円寺」という落語好きをうならすラインアップを毎回やる落語会へ行く。会の前に富士そばでコロッケそばを。

 <一之輔の無茶ぶられ2>
 オープニングトーク(一之輔、白酒、文左衛門)
 桃月庵白酒  禁酒番屋
 橘家文左衛門 天災

 仲入り

 春風亭一之輔 明烏(明ダルマ?)
 アフタートーク

 たとえるならば、ドラえもんとジャイアンと出来杉君の落語会だった。白酒と文左衛門が、それぞれ明烏の「設定」を一之輔に無茶ぶりする。白酒は、「源兵衛と太助が若旦那同様、童貞」「若旦那は本で吉原のことは2人よりも知っている」という設定を出して、文佐衛門は「若旦那は乱暴者だけど純」というキャラを指定してきた。さあ、どうする?

 落語のトップバッターは「ドラえもん」こと白酒(体形がね)。マクラでは「ひとりきちがいが受けない時代があった。あの志ん朝師匠でさえも、『野ざらし』が受けずに、楽屋で『恥ずかしいからネタ帳に「釣り」って書いておいて』と言ったことがある」とのこと。時代によって受ける場所は移ろいゆくのだという。ネタは「禁酒番屋」で、時折、店の者が、武士が言うべき「近藤氏」と言ってしまうなど、言い間違いがいくつかあったが、さすがあの体形と話術で、面白い。 次の文左衛門は、もちろん「ジャイアン」。なぜだかさっきから静かで大人しい。昨日の酒が残っているのか? でも、「あたしは争いごとが嫌い」という意外なことを言い出したかと思ったら、「そんなヤツがいたら、ぶん殴ってやりたい」と、あの顔ならではのクスグリが炸裂して本調子だと知る。

 ネタは「天災」。いかにもこの人の噺という感じ。乱暴者の八五郎をやらせたら、そりゃすごい。でもあえて言うなら、乱暴者以外のキャラクターまでもがあの風貌のせいで乱暴者に見えてしまうことかもしれない。

 仲入り後に「出来杉君」の一之輔。その抜擢されたキャリアも、シュッとした顔も、スマートな身のこなしも、まさに出来杉君だろう。2人の無茶ぶりをどう処理するかと思ったら、より文左衛門のアイデアを採用していた。

 近所の女の子(お花?)と遊んでいた若旦那の時次郎、「だるまさんがころんだ」で遊んでいたら急にお花がいなくなる。それは時次郎の父親の差し金で、借金でお花は吉原に売られたのだ。それ以降、吉原嫌い、父親にも心を許さなくなった時次郎は、家の中では従順でも、外に出るととんでもない暴れん坊になっていた(この時代の流れを、頭を下げてまた上げるまでの一瞬で表現したのが巧みだった)

 幼なじみの源兵衛、太助は時次郎の「舎弟」となっている。何だかんだあって吉原に行くことになっても、見返り柳をぶった斬ったり、大門を崩したりと乱暴狼藉の若旦那、でも何とか上がった廓の相方は、あの時別れたお花で・・・・、というストーリー。

 物語としてはよくできていた。そして演技力もそりゃー抜擢真打ちになるぐらいだから抜群だった。でもなあ、噺が何だか綺麗すぎて、ドロドロした感動みたいなものが薄いと感じてしまった。野球にたとえるなら三遊間を抜けたクリーンヒットって感じで、センター、レフト、ショートの間に落ちたテキサスヒットというような泥臭さというか、そういうギリギリのヒットの方が見ている側は面白いのになと思った。鮮やかな技術と才能を楽しむことはできたが、追い込まれてあたふたする一之輔ももっと見たかったというか。「大変でしたよ」とか言っていても、高座では落ち着き払って見えたから(本当に本当は大変だったのだろうけれども)。喬太郎だったら、どんな落語にするかな。

でも、才能がすごいことだけは知らしめた。一之輔も「1」だけに、新作落語家として彦いちに代わって第2次の「SWA」メンバーになったりして。一之輔に創作能力がついたら、鬼に金棒だ。ちなみに文左衛門の前座名は「かな文」だ。

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