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それから

雲の如く高く
くものごとくかがやき
雲のごとくとらわれず

暗殺 / 柴田哲孝

2025年03月26日 | 
 
 
 
この物語はフィクションである。
 
という一文から始まる、安倍元首相銃撃事件をモチーフにした小説。
 
実際の事件や実名も織り交ぜられているので、何が事実で何が虚構なのか?分からなくなってしまう…
 
物語の前半は、銃撃犯として逮捕された(作中では上沼卓也)の生い立ちや、実行に至るまでの経緯が描かれる。
 
そして後半は、事件の真相を追う記者が中心となって物語が進んでいく。
 
上沼卓也はオズワルドで、綿密に計画された暗殺の駒に過ぎない。
 
致命傷となった銃弾は見つかっておらず、不可解なことばかり。
 
フィクションだとわかっていても、本当に単独犯だったんだろうか?と疑ってしまう。
 
あの状況下で、安倍元首相以外誰一人傷つけることなく命中させることの方が奇跡みたいなものだし、
 
逮捕されたときの、山上被告のなんとなく投げやりな無気力な感じは、妙に記憶に残っている。
 
陰謀論と言ってしまうには、真実味があり過ぎて。
 
こちらが真相なんじゃないのか、と思ってしまうほどのフィクションでした。
 
 
ちょうど、旧統一教会に解散命令が出されましたね。
 
どうなっていくんだろう…
 
真相は藪の中。

あえのがたり

2025年03月05日 | 
 
 

内容紹介


俺ではない炎上/浅倉秋成

2025年02月11日 | 
 


外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、支社長から緊急の電話が入った。

「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、

すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。

Twitterで犯行を自慢していたようだが、そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったのだ。

誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、

見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として言い分を信じてくれない。

会社も、友人も、家族でさえも……。

ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられ、

ともすると殺されそうになる中、泰介は必死の逃亡を続ける。

『六人の嘘つきな大学生』で大注目の著者が放つ、炎上逃亡ミステリー。

【内容紹介より】

 

うーーん、面白くなかったわけじゃないんですよ。

「面白くないわけじゃない」

これって、成瀬の時も書いたよね😅

面白くないか、意外性が無さすぎたのか…!?

そうやなあ…

意外性が無さすぎて、途中で犯人が分かったとか、トリックに気が付いたとか、そういうわけではないんです。

読み終えて、時系列のトリックが分かって、犯人もわかったんだけど、

犯人の動機や、娘の行動がいまいち理解出来ないのです。

加えて、「からにえなくさ」という謎の暗号。

これってね、いくら深読みしてもわからないのよ。

暗号ってさ、それまで読んできた内容の中に何かのヒントがあって、

暗号が明かされた時に、ほー!なるほどー!ってなるもんだと思ってたから。

この暗号には、「なんじゃそりゃ!」ってなった。

 

SNSが炎上てし、犯人に仕立て上げられ、誰にも信じてらえず、

自分が正しいと信じて正義を振りかざす人たちに追われるあたりは、

まさに現実的に起こりそうな話で、面白いんだけどなぁ~


方舟を燃やす / 角田光代

2025年01月28日 | 
 


まるで自分たちのことを語られているような、驚くほどリアルな小説だった。
 
1967年鳥取で生まれた飛馬と、その一回りほど年上の東京生まれの不三子。
 
全く接点のない二人の物語が交互に語られていき、元号が令和に変わる頃に、二人は出会う。
 
世代がドンピシャなので、経験してきた出来事を、主人公たちと一緒に振り返りながら読んだ。
 
昭和、平成、令和。
 
ノストラダムス、こっくりさん、口裂け女、UFO、ネッシー、、、オカルトブームだった子ども時代。
 
学生時代には、新興宗教が身近になり、マルチ商法が流行り、
 
就職時は、売り手市場でバブルの恩恵も少しは受けてきた。
 
1995年の阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件。
 
私は、この年の11月に息子を出産した。
 
1999年7月、恐怖の大王は現れず、地球は滅びなかった。
 
そして、ミレニアム2000年問題、けれどコンピュータがバグることは無かった。
 
東日本大震災、津波、風評被害、
 
そして、コロナ。
 
読みながら、あらためて、なんとすごい時代を生きてきたんやろーと思った。
 
作中に、こんな会話があった。
 
「私たちの世代って何かしら影響受けているとはマジ思うな。
世界はいつか滅びて、UFOは人や牛を誘拐して、死んだ人とは会話が可能で、超能力は存在する。
大人になっても、どっかそういうの信じてるとこ、ない?」
 
 
ノアの方舟に乗って、自分たちだけが助かる道を選ぶか、
 
みんなと一緒に流されて死ぬ道を選ぶか。
 
 
「私だったら、家族だけ生き残るなんていやだと思っちゃって。
洪水がきて、みんな死んで、乾いた陸地に降り立つのが自分の家族だけって、どう思う?うれしい?
私だったらみんなと流される方を選ぶ。
信じる人だけを助けます、じゃなくて、信じない人と一緒に流されなさいっていう神さまがいたら、
そっちを信じるって。そう思って離れたんだけど。それって、あれの影響かもしれないなとも思うんだよね」
 
これ、なんかドキッとした。
 
私も、いつかは世界が滅びる、って、どこかで信じているところがあるのかもしれないから。
 
 
信じるものは救われる?
 
 
SNSやAIの時代になり、情報の取捨選択も難しい時代になった今日この頃。
 
 
信じていたものを手放すことも大事?
 
 
小説を読んだ、というより、身近な誰かと語り合ったような、そんな読書でした。

マザー/乃南アサ

2025年01月17日 | 
乃南アサさんのマザー。
 
どんな毒母が登場するんかな〜?と思いながら読み始めたら、、、
 
想像していたものとは、ちょっと違ってた。
 
母がテーマの5つの短編なんだけど、
 
母親という役割に縛られて、我慢に我慢を重ねた母たちが、
 
それぞれのやり方で自分らしさや自由をつかみにいく、という話。
 
毒母どころか、求められる母という役割をがんばり過ぎる良母たち。
 
 
最初の「セメタリー」が、とにかく強烈でした。
 
サザエさんのような、ちびまるこちゃんのような、明るく楽しく笑いの絶えない、そんな家族。
 
そんな家族って、ほんとうにあるんやろうか。
 
読みながら、
 
完璧すぎるお母さんに、ちょっと引っ掛かり始めた。
 
こんなに自分を犠牲にして、家族に尽くせるなんて…
 
ちょっとヤバそう。後半絶対なんかあるよな、という読みどおり。
 
お母さんの闇が、凄かった。
 
未必の故意ってやつで、舅と姑をセメタリーへ送っちゃうんですよ。
 
これね。何がスゴイかって、
 
本当にあるんちゃうか?と思えてしまうところ
 
 
家族って、一歩踏み込んだら、家族の数だけ闇があるよね。
 
「幸福な家族というものはどれも似たようなものだけど、不幸な家族というのはそれぞれに違う」
 
アンナ・カレーニナだっけな。その通り。
 
 
 
乃南アサさん。久しぶりに読んだけど、やっぱり面白いわー!