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シリーズ第3弾〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗あらすじ・ネタバレ感想

〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗あらすじ・ネタバレ感想。
喜多喜久さんの警察科学捜査ミステリーの人気シリーズ第3弾。
〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗は警察組織ではなく大学の講座に所属する2人の大学生が未解決事件に挑む。


〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗 

〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗 著者:喜多喜久
著者:喜多喜久
カバーデザイン:鈴木大輔(ソウルデザイン)
本文DTP:株式会社明昌堂
発行:株式会社宝島社
2021年6月4日発売

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〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗あらすじ・ネタバレ感想


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〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗登場人物 

東啓大学理学部
寄附講座[科学警察研究講座]


●土屋(つちや)
 かつて《科警研のホームズ》と呼ばれた
 東啓大理学部准教授
 [科学警察研究講座]講座責任者
 [環境分析科学研究室]と兼務している

●松山悠汰(まつやま・ゆうた)
 消去法で化学科を選択したが進路に悩む
●藤生星良(ふじお・せいら)
 松山の同期で分子生物学科の学生
 将来は科捜研で働きたい
●北上純也(きたかみ・じゅんや)
 以前は科学警察研究所・本郷分室にいた
 北海道警の科捜研から派遣されてきた
 博士課程の学位取得を目指している

●出雲俊明(いずも・としあき)
 科警研所長で科警研に土屋を戻したい
 今回は藤生の頼みを利用する

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〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗あらすじ 

【第一話 悲劇を招くアヴォケイション】
平沼勝也は強盗に入った家の75歳の主・古賀典康を殺害してしまう。
古賀は人前で札束を見せびらかしており、そのことから平沼に目を付けられた。
古賀の家には金庫があったが本人に番号を聞くことができなくなった為、平沼は金庫を持ち出す。
そしてこの事件は未解決の強盗殺人事件となっていた。

かつて≪科警研のホームズ≫と呼ばれ現在は東啓大理学部准教授の土屋が講座責任者を務める寄附講座[科学警察研究講座]が東啓大学理学部に新設された。
就職すべきか大学院に進むべきか進路が決められない松山悠汰は、海外の科捜研ドラマが好きだという程度で[科学警察研究講座]を何となく選択する。
同期の藤生星良は松山と違い真剣に科捜研で働くことを目指している。
そして、以前は科学警察研究所・本郷分室に出向していた北上純也が北海道警の科捜研から派遣されて来ていた。
北上は博士課程の学位取得を目指している。

3人は未解決の強盗事件の解決に乗り出す。
一方、[環境分析科学研究室]と[科学警察研究講座]を兼務している土屋は相変わらず学生に対しては放任主義だ。
あまりに放っておかれている状態に藤生は土屋に対して不満を募らせる。
そんな中、警察から北上が借りてきた古賀の空になった金庫を調べていた藤生は、扉に付着した青緑色の絵の具に気づき……。


【第二話 転落のケミストリー】
野々村育郎は、介護の仕事をしている妻と7歳になる小学生の息子とマンションの5階に住んでいる。
野々村は大手IT企業をクビになり、現在は“ののパパ”というユーチューバーとして生計を立てている。
ある日、野々村が住むマンションで5階の非常階段の踊り場の手すりごと人が転落死するという事故が起きる。
どうやら煙草を吸う際に手すりにもたれかかったところ落ちたらしい。

[科学警察研究講座]に前夫と後夫を立て続けに転落死で失った女性が保険金殺人にからんでいるのではないかという案件が持ち込まれる。
女性の前夫は手すりごと転落死しており、再婚した夫は歩道橋から転落し意識が戻る見込みが無い状態だという。
北上が借りてきた物証を松山と藤生が調べたところ金属を溶かす為普通は使われるはずがないガリウムが発見され……。


【第三話 隠匿されたデッドリー・ポイズン】
榎戸元直(65)は、金貸しで大金持ちの兄・榎戸康夫(70)を訪ねる。
康夫は海外から気に入った洋館を移築するほど金持ちだが一度も結婚したことはなく子どももいない。
金融業を始めてからは鬼と化した康夫は兄弟と言えども容赦がない。
経営する焼き肉店の売り上げが落ちやむなく康夫から金を借りた元直は、金を借りてからの4年間ずっと兄の死を願っていた。

[科学警察研究講座]に何年も経過した未解決事件ではなく珍しく10日前に起きた事件の依頼が持ち込まれてくる。
ヒ素による急性腎不全で亡くなった老人がどのようにしてヒ素を摂取したか、その摂取ルートの解明が依頼された。
松山と藤生はアルシンに着目する。


【第四話 絞殺のサイコロジー】
14年前、当時3歳だった藤生の弟・爽真が公園で殺害された。
犯人はまだ捕まっておらず、藤生は偶然会った科警研所長・出雲俊明にこの事件を[科学警察研究講座]で扱えるよう頼む。
土屋を科警研に戻す為なら手段を選ばない出雲は藤生の願いを利用する。

事件を調べていくうちに松山は不審な点に気づくのだが、それは藤生を激しく傷つけることになる推理だった。
講座のメンバーには言えず、松山は自分1人で当時交番勤務だった島本に会い、自分の推理をぶつけるのだが……。


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〖科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー〗ネタバレ感想 

『科警研のホームズ』『科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア』では、科警研所長・出雲俊明が土屋の為に作った[科学警察研究所・本郷分室]が舞台だった。
その本郷分室に集められた3人の若者の中の1人だった北上純也が博士課程の学位取得を目指し[科学警察研究講座]に参加。
分室時代は幼い印象だった北上はすっかり大人になっている。
読んでて「え?誰?」と思ってしまった。
他の2人が学生なので、北上はオニイサンというよりはオジサンに近いかも。
随分老けたなぁ。


『科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア』で少しはコミュニケーションの重要性に気づいたかと思ったが、『科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー』でも土屋は相変わらず学生をほったらかしている。
分室時代から土屋の性格を分かっている北上はそんな土屋を立て、2人の学生・松山悠汰と藤生星良のフォローもしている。
言葉が足りないせいか土屋はどうも女子には嫌われやすいようだ。
藤生は土屋に対して不満と不信感を抱いており、土屋に反発するような態度をとっているし言葉も嫌味である。
しかし、土屋は全く気づかない。


消去法で化学科を選択し、海外ドラマが好きだったから何となく面白そうに思って[科学警察研究講座]に入った松山と違い、藤生は最初から科捜研を目指している。
そんな藤生は柔軟性に乏しい。
松山は、普段からふわっとしているせいか推理の発想は豊かだ。
真面目な藤生からしたら松山のそういう所はちょっと面白くないかもしれない。


松山の方でも藤生に気を遣っている。
北上はプロだし歳も離れているからほぼ先生と変わらない。
それゆえ松山は、同じ学生としてもう少し藤生とうまく付き合おうと何度か自分の方から歩み寄ろうとする。
しかし、藤生は心に有刺鉄線を張っているかのようで松山に踏み込ませない。
それでも松山は藤生を悪く思わない。


181ページから182ページで松山は藤生のことをこんなふうに考える。

この人は、頑固で、それでいて不器用なんだな……。
藤生の姿に、松山は不思議な感銘を覚えた。それは、自分の体重よりはるかに重い荷物を運ぶアリを見た時の感動に似ていた。

これまでの藤生の研究に対する取り組み方や態度からピッタリの表現だと思うが、藤生本人に“自分の体重よりはるかに重い荷物を運ぶアリ”と言ったら怒られそうだ。
松山は藤生に対して尊敬の念を抱いているのだと思うが、藤生からしたら何だかもの凄く無理をして頑張っている人と言われているように感じそうだ。
少なくとも私だったら褒め言葉だとは受け取らないかも。


実のところ藤生は相当無理をしていた。
藤生には14年前に絞殺された弟がいた。
藤生はその事件を解決したくて科捜研を目指していたわけで、他に好きな事や興味がある事があってもそれらを選べないし選ぼうとしない。
重い物を背負った状態では本当の藤生らしさも隠されたままだったのかも。
藤生の弟の事件の内容から藤生が警察組織の科捜研で働くのは無理があると思うが、民間の組織なら働けるのかな?


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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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