喜多喜久さんの『「はじめまして」を3000回』の感想です。
喜多さんはいつも予想を裏切ってくれます。
★喜多喜久著 装画:かとうれい ブックデザイン:bookwall 発行:株式会社幻冬舎
製薬会社の研究員を辞めて、目標通り職業作家になった喜多喜久さん。
テイストはそのままで文章が読みやすくなっています。
あらすじ
人間にはたいして興味をもたず、プログラミングに明けくれる北野恭介に、牧野佑那は交際を迫る。
彼女は、「くだん」という妖怪の呪いで予知夢を見るようになり、夢で見た通りに行動しないと、夢に出てきた人が死ぬと話す。
そして、「恭介と付き合う夢を見た」と言うのだが……。
妖怪と科学の融合
『「はじめまして」を3000回』は、喜多喜久さんらしいネタだなぁと思います。
喜多さんは徳島県三加茂町(現・東みよし町)出身。
近隣の三好市は祖谷のかずら橋や大歩危・小歩危などの観光名所がありますが、実は児啼爺(こなきじじい)の伝承地として知られています。
毎年『妖怪まつり』を開催しています。
2008年に世界妖怪協会(会長は故・水木しげる氏)から「怪」遺産認定を受けました。
喜多さんは東京大学出身で、幼少期の環境と論理の世界が自然に形成されたのかな、と思いました。
本人には「違うよ」って言われるかな?
妖怪村HPの『妖怪街道散策図』で「くだん」を探しましたがいませんでした。
ちなみに、「くだん」は「件」と書きます。
牛の体と人間の顔を持ち、災害などの予言をすると言われる妖怪です。
これに関しては、喜多さんと同じ徳島県出身の山口敏太郎さんにお任せね。
予想はいつも裏切られる
『「はじめまして」を3000回』というタイトルで、てっきり記憶喪失ものだと思いました。
ほら、記憶が数時間しかもたないとか、翌日には忘れているとか、あるでしょ?
そしたら全然違った。
いきなり妖怪話ですから。
ならば、プログラミング少年と妖怪少女のラブコメ調で話が進むのか?と思いきや、それも違った。
ここにきて、そんな感動ぶち込もうとする?って展開です。
最後は、「ひょっとして夢オチか?」と思ったら、またしても違いました。
まーね、1冊の本の中で何回予想を裏切られたことか。
そこが喜多さんの良い所なのですが、たまに腹立ちます(笑´∀`)
妖怪からの進化
始まりは「くだん」という妖怪。
そして、超発達した社会で終わる。
ここらへんのいきさつはネタバレになると勿体ないので詳しく書けません。
ただ、自己犠牲って凄いなとか、人間はそこまで強い思いを持って生きられるのかとか思いました。
ちょっとじーんとしました。
while関数
主人公の恭介が、プログラミングで煮詰まっていたwhile関数ですが、ちょうど私もwhileで悩んでいる時に読みました。
gooblogさんでは使用不可のJavaScriptを勉強したいなと思ってね。
HPのトップで写真が自動的にスライドしていくやつあるでしょ?
あーゆーのを作る時にWhileみたいな繰り返しの構文を使います。
でも、素人にはハードル高くて挫折していたのですよ。
気分転換に『「はじめまして」を3000回』を読んだら、本の中にもwhileが出てくるじゃないですか。
「勉強から逃げるな」ってメッセージを投げつけられた気がしました。
でも、やっぱりプログラミングは難しくて……。
逃避しましたε=ε=ε=( ^o^)ノ テッテケテー
私はいつもとてつもない所から始めて挫折しているようです。
素人のくせに匠専用階段に足をかけようとしたら、高すぎて上れないみたいな。
自分が上れる階段の高さが分かってなくて、勝手に滑り落ちてます。
まとめ
●『「はじめまして」を3000回』
文庫化でタイトルは『はじめましてを、もう一度。』変更になりました。
泣けるラブストーリーです。
かとうれいさんのイラストが牧野佑那がどんな女の子か、見事に表現しています。
もしも、大切な人の笑顔が見られなくなったら……。
人が人を想う気持ちに泣けます。
ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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