和風イラスト【たまつづり】

イラストレーター諏訪間千晃のblogです

紙漉体験3-紙漉き

2011年04月19日 20時36分40秒 | 制作過程
震災2日後(3/13)に紙漉き体験最終工程のワークショップがありました。
正直な話、原発の建屋がふっとんだ映像を見た直後で、余震も頻繁にあり、さあ明日から計画停電始まるよというところで出かけるのは気が重かったのですが紙漉き体験としてはこの最後の紙漉き工程を体験しなくてはなんにもならんと思い、がんばって行きました。

先日皮むきした楮を、苛性ソーダを入れた水で煮た原料を、リチャードさんが用意してくれていました。



これをまんべんなく棒で叩きます。ドンドコ叩きます。まるで餅つき。



叩いてしんなりとした原料を水をいれたすき舟という箱に入れます。




「トロロアオイ」というこの植物の根を水に浸しておいて出来たとろみ水を追加します。このトロロアオイが入ると、すだれの上でキレイに楮が広がるようです。のりのように接着性はありません。
トロロアオイは夏にしか育たないので、リチャードさんは育てたものを収穫して冷凍しておくそうです。






すき舟に櫛のような道具をセットして、かくはんします。




すだれでちょっとすくって、1~2回前後に揺すり、前のほうに余分な水を落とします。原料を掬う量とか、ゆする早さ、タイミングなどがとても難しいのです。本職の方は紙の厚さなどによってこれをもう体感的に習得しているんでしょうね。





枠を開いて、原料ののったすだれを取り出します。




フェルトのような布(リチャードさんは「しんじ」と言っていましたが、「芯地」なのかな?)の上にすだれを置き、
手前からサッとひいて原料を布の上に置きます。これもちょっと難しい。







紙のはじに糸を通しておき、後ではがしやすいようにしておきます。




一通り紙を漉き終わったら、上にさらに布を置いて、絞る道具に挟みます。ハンドルを少しずつ回して少しずつ絞り、しばらく放置。




水がある程度切れたら、紙を一枚一枚取り出して、板の上にハケをつかって載せていきます。




このまま自然乾燥して完成。




この後、今回の企画に協力していただいた西荻窪の「数寄和」さんに寄り、そこの方々とともに打ち上げへ。。
来る前にはあんなに気が重かったのに、何故かがっつり飲んで楽しんでしまいました。(^_^;)本当に休まず行ってよかったと思います。

後日自分が漉いた紙をアトリエでもらいました。
職人さんが漉いた美しい和紙には遠く及びませんが、やわらかい風合いで、繊維がしっかりとからみあって丈夫そうです。
いずれこの紙でなにか作品をつくりたいと思います。





以上、紙漉きの体験は単に技術的な事の体験という以上に、色々な事を学んだ気がします。。自然と、人の文明との接点に直接ふれたような、そんな感じでした。今回お世話になり機会をくださったリチャードさん、小川町の方々、絵画教室の「アトリエ・オモ」の方々、数寄和の方々にお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

楮刈りと皮むきなどの工程のレポートはこちらです。

紙漉体験1-楮刈りに行ってきました
紙漉体験2-楮の皮むき、黒皮むき

内容重複しますがアトリエ・オモの紙漉き体験レポートはこちらです。