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日記、日々の想い 

記憶の不思議

おまえの最初の記憶は
いくつかある
その断片だけは
いくつか、こびりついている
思春期迄には
もう少し思い出せたか
だけど、今は
遥か、何十年
覚えていたかどうかさえ
あんまり、覚束ない
ただ、その何十年でも
覚えている
いや、そうじゃないな
思い出して
作り直して
何度も上書きして
今なのだろう
だから、分からない
本当なのか、どうか
でも、最初の大きな記憶は
たまの記憶か
茶の間を歩くたま
茶トラだった
はっきり覚えている
たまの撫で心地
いやがるたま
かあさんに叱られる
かあさんは、足元だけ
顔の記憶はない
就学前に住んでいた
古い実家
畳の今
ただ、その記憶には
吹き出しが合って
35才で亡くなった
重い結核だった
おじさんの優しい笑顔
おまえは、正直
とうさんは、まるっきり
かあさんも、足元だけ
就学前には
その記憶しかない
それなのに、何故か
吹き出しのおじさんの笑顔
それだけが、おまえの
ものごごろのついた
最初の記憶
たまは、しばらくして
いなくなってしまい
おじさんは、また結核病棟
ほとん暮らしていない
ひととねこのだけの
そんな記憶
いや、微かによぎるな
かあさんのかあさん
おばあちゃんのお葬式
おまえの記憶にはないひと
首都圏でも、在
昭和30年過ぎ
まだ、土葬だった
いや、街全部ではない
市内中心部は火葬
ただ、かあさんの実家
市内でも、在は
土葬だった
でも、お葬式でもない
土葬の場面でもない
まだ、牛が引いていた❓
でも、立派な黒漆❓
霊柩車の車輪は
大八車と同じ
その車輪が回っていた
葬列の甦り
記憶の井戸の底
真っ暗闇に浮かぶ

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