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最高裁「瞬時に閲覧でき被害は深刻」

2010年03月30日 | 思うこと
ネット上の中傷

 市民の間で個人情報保護の意識が高まり、プライバシー侵害に関する感覚は非常に鋭くなってきた。しかしその一方で、インターネット上の名誉棄損は深刻さを増している。問題はネット利用者の一部に見られる倫理観の欠如、人権意識の希薄さにある。

 最高裁は15日、ネット上の名誉棄損事件に対する上告棄却決定の中で、個人が行うネット上の自由な表現行為であったとしても、一般社会におけると同様の基準によって名誉棄損罪が成立するとの判断を示した。被害の深刻さを認めた妥当な内容である。

 この事件では、自身のホームページに特定の企業をカルト集団などと中傷する書き込みをしたことが名誉棄損罪に当たるかどうかが争われた。

 刑法は、公然と事実を摘示し人の名誉を棄損した者は処罰するが、例外として、その行為が公共の利害に関する事であり、公益目的で行われた場合には、その事実が真実と証明されたときは処罰しないと定めている。この事件の被告人は書き込みを公共目的と主張したため、この真実の証明があるかどうかが争点となった。

 この真実の証明に関してはすでに判例が確立している。それによると、摘示した事実が仮に誤りであっても、誤信したことについて「確実な資料、根拠に照らし」「相当の理由」があれば処罰されない。そのため被告人は、企業とカルト集団との関係について「一市民として、インターネットの個人利用者に対して要求される水準を満たす調査を行った」として、名誉棄損は成立しないと訴えた。

 しかし最高裁は、ネット利用者に要求される水準について、「より緩やかな要件で名誉棄損罪の成立を否定すべきものとは解されない」とし、被告人の調査は、「確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるとはいえない」と断じた。

自由には責任が伴う

 最高裁は、「インターネット上に載せた情報は、不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり、これによる名誉棄損の被害は時として深刻なものとなり得ること、一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく、インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもない」と述べた。ネット上で言葉の暴力が横行している実情に合った認識である。

 法務省によると、2009年中に全国の法務局が扱った人権侵犯事件のうち、ネットの悪用は786件。02年の統計開始から毎年増え続け過去最多であり、前年の約1.5倍に上る。しかし、ネット上の実際の人権侵犯はこんな数ではないだろう。確信犯による名誉棄損も後を絶たない。

 自由な言論と表現の自由は民主主義の基盤である。そのため憲法もそれらを人権として保障している。しかし、自由には責任が伴う。たとえネット上であってもその例外はない


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