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カオスの世紀

カオスとは「混沌」、そしてこの21世紀に生きる自分の混沌とした日常を気ままに書き綴っていきます。

「ANGEL VOICES」~Libera in concert

2007-11-10 | 音楽(クラシック)
私の大好きなボーイ・ソプラノのグループ「LIBERA」はイギリスのヴォーカル・グループ。

普通は教会などに属する少年聖歌隊が、聖歌やクラシック音楽を中心に歌う活動の延長で、いろんな曲を歌うような事が多いが、このリベラは1999年に正式に発足してからはボーイ・ソプラノによるヴォーカル・グループとしてプロの活動を行っている。

今回、彼らが聖ピータース教会(オランダ)で行ったライブの模様を録画したライブDVDが発売された。
タイトルの「ANGEL VOICES」は先日、日本でも来日記念盤でPVのDVD付きで発売されたCDと同じタイトルで、曲もこのCDとほぼ同じ構成。

僕はともかくまず真っ先に聴きたかった曲がある。
「彼方の光」である。
この曲の美しさはボーイ・ソプラノではなければ表現出来ないものだ。毎日のように聴いているが、未だ飽きる事は無い。
この曲を聴いていると、至福の時間を過ごす事が出来る。メインボーカルのソロから始まり、やがてコーラスが静かに重なっていく。そして、途中出てくるラテン語のテキスト(他の部分は英語)を高らかに合唱で歌い上げる部分は本当に美しい。

「Venite Spiritu et emitte caelitus(聖霊よ来たりたまえ、天の御使いを送りたまえ)」

これは祈りとも言える歌詞である。この曲はNHKのドラマ「氷壁」の主題歌となった。登山家の二人が登頂に臨むところから物語は始まるが(俳優は玉木宏と山本太郎)、歌詞もドラマのテーマをイメージしたものになっている。

「空を越え、はるか彼方へ~Far away beyond the sky~」

この曲はメインボーカルのソロの歌声の美しさが素晴らしいが、最初のボーカルはマイケル・ホーンキャッスル君だった。彼の歌声はときより憂いを感じるような、”天使の祈り”のような素晴らしい声だ。CDに付いていたDVDの中のPVでは、2つのバージョンが収録されていたが、いずれも彼がメインボーカルを務めていた。彼自身「どちらかと言うと悲しい歌を歌う方が好き」という、この曲のテーマとも言える人間の悲しみを癒すような祈りを感じる歌声で、PVでは彼の首を少し傾げた表情がまたこの曲の素晴らしさを感じさせていた。

ところが、今回のライブDVDのメインボーカルに彼の姿は無かった。この曲でメインボーカルを歌っていたのは、トーマス・カリー君
彼は凄い高音を出す事が出来て、彼方の光でもメインボーカルに重なる美しい高音のコーラスが印象的だった。
その彼が今回のライブではメインボーカルになっていた。
彼はマイケル君とは対照的に、快活で明るく、ボーカルも真っ直ぐでストレートな歌声だ。しかし、彼の歌う「彼方の光」も素晴らしかった。彼が歌うとそれは正に天使の屈託のない希望の光になっていた。

今回、メインボーカルが変わっていた理由だが、それはしばらくして分かった。メインで歌うトーマス君の斜め後ろに、青年の顔になってきた成長したマイケル君の姿があった。そう彼は声変わりをしたのだ。それで彼は後ろで低音域を担当するパートに代わっていたのだ。相変わらず首を傾げた憂いのある表情で・・・。
これがこのボーイ・ソプラノの美しくて儚いところだ。マイケル君とトーマス君は2歳の年の差。つまり今回メインボーカルとして美しい高音で魅了してくれたトーマス君のその美しい歌声もあと1~2年くらいしかライブでは聴けないという事だ。そして、もちろんマイケル君のLIBERAで数々の名曲を歌ってきたその美しい歌声はもうライブでは聴けない。

ボーイ・ソプラノのある意味残酷な部分なのかもしれないが、だからこそこの”神の与えた天使の声”の素晴らしさを感じる事が出来る。そんな事を今回のライブ映像で実感した。

さて、他の曲ももちろん素晴らしい。
僕がLIBERAを好きになった最初の曲である、「Stay with me」や、いきなり美しい合唱で始まる「SANCTUS」そして日本で大ヒットした「千の風になって」の原詩を元にしたリベラバージョンの「Do not stand at my grave and weep」なども素晴らしいし、ラストの曲、「I AM THE DAY(生まれくる日)」もラストを飾る素晴らしい曲だ。

今回のライブを見て感じたのは、彼らのコーラスの完璧さだ。かなりの練習時間を費やすという事だが、ライブでの歌はCDで聴くそれとほとんど違わないほど完成されている。
彼らはまさしくプロのボーイソプラノのヴォーカル・グループだという事を改めて確かめる事が出来た。

それでも彼らはまだ屈託のない少年達。練習風景などのプライベートも紹介されていたが、彼らは普通の元気な少年達だ。それが一度歌い出すと正に天使になる。

きっとクラシックなどを聴かない人でも、この歌声を聴いて感動するんじゃないかと思う。
ぜひ聴いてみて欲しい。
「氷壁」では主題歌の「彼方の光」を聴いた視聴者から問い合わせが殺到したという。
「あの美しい曲を歌っているのは誰?」

そう彼らである。ぜひ聴いてみて欲しい。

Angel Voices: Libera in Concert



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