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ユキノシタ

2017-05-31 00:50:03 | フラワー・園芸

梅雨前のこの季節、日影で白い小花を咲かせる、ユキノシタSaxifraga stolonifera”。

ユキノシタ科の多年草、漢字表記は“雪ノ下”。

名前の由来は諸説あるが、もっとも言われているのが、

常緑でたとえ積雪していても、その下には青々とした葉が存在しているからというもの。

日本と中国に分布しており、中国では虎耳草(こじそう)と呼ばれる。

葉の形が虎の耳に似ていると名付けられたらしい。

常緑の多年草で、花の咲いていない時期も、その美しい葉を観賞して楽しむことができる。

 

 

左:福岡県直方市福智山ろく花公園にて

 

ユキノシタは花も葉も独特の形状をしており、

花の方は花弁のうち下2枚が末広がりに大きく伸びる。

近縁種である、ダイモンジソウの花によく似ており、

ユキノシタの花も、漢字の「大」の文字に似た形状をしている。

上の3枚の短い花びらには、小さな赤い斑(ふ)が入る。

葉っぱは、縁が波打った丸い形をしており、

葉脈に沿ったような感じで白い斑(ふ)が入る。

茎は縦に伸びずに、横に伸びるほふく茎(ランナー)で、

地を覆うように増えて、それぞれがロゼッタ状に葉を広げるので、

花のない時期でもその姿を楽しむことができる。

 

 

 

花は株の中央から、花茎をニョキッと上に伸ばし、

白く小さな大の字に似た可憐な花をたくさん咲かせる。

花の時期はあまり長くなく、一週間ほどで花びらや雄しべがどんどん散り、

最後には茎と花の芯だけが残り、やがて実を付ける。

種を生成するものの、ランナーでどんどん増えるので、

こぼれ種で増えるとか、種を採取して実生で育てるとか、あまり聞かない。

 

福智山ろく花公園にて

 

古い日本家屋では、庭先や石垣の隙間などに植えられていることが多い。

これはユキノシタの葉が、薬効が高く、且つ強健で育てやすいために、

古くから好んで庭に植えられたからだという。

そんなわけで、うちの庭にもこれが昔から植えられていてる。

葉を煎じたものは、やけど,かぶれ,ただれ,ひび,しもやけ等、

皮膚の疾患に広く効果があり、うちでも自分が幼い頃、

採取したユキノシタの葉を軒先に吊るして乾燥させ、

それを煎じた汁を、とびひ等に塗布されていた記憶がある。

最近じゃ母も、めっきりそういうことはしなくなり、

増え過ぎたユキノシタを、雑草と一緒くたにしてむしり取っているという・・・。

 

 

葉や薬用のみならず、食用としても利用されるらしく、

てんぷらや和え物などに調理すると美味だとか。

いっぺん食べてみたいとは思えど、うちに庭のは嫌だなあ。

葉の下にナメクジやらヤスデやら居るんだもの・・・。

そんなこと言うと、山中に自生しているやつも皆そうだろうが・・・。

ユキノシタは湿っていて、うっそうとした日陰を好む植物。

乾燥に弱いため、そういった場所に自生している。

じめじめした場所だと、やっぱりナメクジなどはつきものだ。

 

 

福智山ろく花公園にて

 

強健でとても育てやすい。

育てやすいというより、地植えしてりゃ放置していてOK。

乾燥に弱いので水やりは怠れないが、

雨のあたる場所で、且つ直射日光や風のあたらない場所ならば、

よほどじゃない限り、水やりすら不要になる。

今回、色々と調べて初めて知ったが、ユキノシタは肥料NGらしい。

肥料をやると、ヒョロヒョロになって株が弱ってしまうのだとか。

ハーブなどで、肥料をやると徒長してしまい、

ウリである香り等が消失してしまう種があるが、それらと同じだろうか?

 

福智山ろく花公園にて

 

関東から近畿地方にかけては、近縁種のハルユキノシタという別種が自生している。

花期がユキノシタに比べて早く、4~5月の春に花を咲かせるために、

名前の頭に“ハル”と付けられて区別されたようだが、

九州では普通のユキノシタが5月に咲くので、これが紛らわしい。

「5月の早い時期に花を咲かせるのでハルユキノシタ」なんて書かれていたので惑わされた。

え?今までユキノシタだと思っていたやつ、ハルユキノシタだったの?!って思ったが、

ちゃんと、ふつうのユキノシタだった。

ハルユキノシタは、花びらにも葉に斑が入らない,花茎は赤くなく産毛がない,

ランナーを伸ばさない,など、色々と差異があるため、違いを知れば間違えることはない。

そう考えると、ユキノシタ、福岡以東はまだ花期は迎えていないのかな?

 

 

分布の広い植物は場所によって花期がずれるのは当たり前。

福岡じゃ、もうぼちぼち花も終わりなんだけど、他はこれから見頃を迎えるだろう。

花が終わったとて、葉を楽しむことができるので、庭が寂しくなることはない。

これからの季節は、他の花の引き立て役として活躍してくれる。

また、盆前くらいに、お母んが雑草と一緒にむしってしまうんだろうな。

せっかくなんで、葉っぱを乾燥させて薬草にしようかしら。

乾燥肌でかさかさかゆかゆ肌になるんで、冬に重宝するかも?

 

 



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