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☆ 世界を凌駕して宇宙まで響け !!




  

小説(33)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-31 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
『モモの中学の頃』

「モモちゃん・・これ、頼むね」
「は~い!!」モモはお客に出す、出来上がった寿司をテーブルまで置く間に、ちっとガリをつまむ。もう、寿司をつまみ食い、することはほとんどない。

土日の2日間を原則として、バイトにきて、3年生になった。
藍子は、余り身体が丈夫でなく、毎日、働くのがかなり、厳しかった。
それでも、働かないと親子2人は生きていけない。

藍子はとうとう、再婚はしなかった。
チャンスもなく、それ以上に、2人生きていくことに精一杯だった。
また、亡き夫康夫との思い出が余りにも、強烈であり、とても藍子の心を揺るがす男性にも出合わ無かった。

でも、女1人で子供抱えて生きていくことは、そんなに簡単なことではなかった。
そして、藍子は丈夫でもないし、無理もできなかった。

働きたくても、働けないのだ。

幸い市営団地なので、家賃は安かったことが、少しは救いになっていた。
でも、ぜいたくはできず、毎月、ギリギリの生活。モモが毎月、バイトで入れてくれる
バイト料は、藍子には助かっていた。

「モモちゃん・・高校決まったんだって?」板前さん
「えぇ・・・」
「どこ?・・・」仲ちゃん
「近くの市立東南高校・・・」
「そう?・・・よかったね・・」ヒラちゃん

ヒラちゃんは中学を卒業して、寿司職人を目指していた。でも、内心、高校には行きたかった。そんな気持ちは表には出さず、モモの進学を喜んでくれた。

「モモちゃん・・・」板長
「えっ?・・・・」
「今度、みんなでモモちゃんの入学祝いをしてあげるよ」
「えぇ!!・・ほんとう!!・・・・ありがとうございます」

モモはすっかり大人になっていた。

「ただいまぁ!・・・」モモがバイトから帰って
「お帰り・・・・」藍子は少し顔色が悪かった
「ママ?・・・大丈夫?」
「・・・・大丈夫よ」藍子には身体以外にも悩んでいたことがあった。モモの高校でかかる費用のことだった。

「ママ・・これ・・・」いつもの一気寿司のお土産
「・・ありがとう・・」元気がない
「ママ??・・」
「モモちゃん、ちよっと話しがあるのよ・・」
「????・・・」
「実はねぇ・・・」藍子は高校の経費の件で
「ママぁ・・・心配しないで!!」勘のいいモモ
「???・・・」
「わたしね・・・・バイトで、働いた分、貯めていたの!」
「???・・・・」

そう言って、藍子に、モモはずっとバイトで働いた時間外の分をコツコツ貯めていた
30万円を渡す。
それを受け取った、藍子は言葉にならなかった。

「モモちゃん・・・・」涙ぐむ・・・・
「・・・・・」
「ゴメンね・・・」モモが苦労して遊ぶお金も使わず貯めた気持ちを感じて
「いいのよ・・・私の分だもん・・」
「・・・ありが・・・」もう藍子は言葉にならなかった

藍子の目には涙が、とめどもなく流れ落ちていった。

部屋に飾ってある康夫の写真も心なしか、泣いているようだった。

あぁ、なんて人生はこうも厳しい運命なんだろう・・・・

2人は、肩を寄せ合って、泣いた。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

モモは藍子の身体を気使って・・・・
藍子はモモの気持ちを推し量って・・・・

そして、藍子は心に決めた。

(モモを必ず、大学まで出す・・・その為なら、私の身体なんてどうなってもいい・・
 仕事を頑張ろう・・・モモの為に・・・)そう決めて、写真の方を見ると

康夫は、藍子の身体を心配するとともに、とてもとても嬉しそうに笑っていた。

(応援するよ・・だから、強く強く明るく生きて!!)そう言っているようだった。


小説(32)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-30 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
新宿のグリーンビル内にある「マイク㈱」の役員室には、会議が開かれていた。
ぞろぞろ会議室に向う役員等が、うかぬ顔をして広々とした会議室に入ってくる。

マイクはカラオケのチェーン店を関東を中心に展開している急成長の企業だったが、競合店も出て、一時の勢いを失っていた。
売上高約200億円を上げていたが、伸びは止まり、赤字の店舗も出てきた。

未上場であったが、カラオケの需要が盛んな環境に恵まれて、グングン伸びた。
経営力ではなく、単なる環境にマッチしたに過ぎなかった。
それを社長の大島は、俺の力だと、過信し、うぬぼれてもいた。
傲慢さが、いつしか当の本人も知らずに、足元から、丁度、海岸の砂の上に建てた砂のお城が、寄せ来る波によって、足元がすくわれていくような状態であったが、会社の者も大島も、誰もそれを知らない。

ただ、売り上げの減少は明らかであった。
役員7名全員が揃っている。
しかし、社長の大島はまだ、会議室には入って来ない。
手持ち無沙汰に、ノートをペラペラめくってたり、携帯をいじっている役員たち。
中には、タバコを吸う役員もいた。
ここは禁煙ではなかった。社長の大島が吸うからだ。
会議中も自由にタバコは吸えた。

女子事務員が、1人1人にコーヒーを配り、それが終わると、別の女子事務員が会議用に使用する資料を配っていた。
一通り、役員らは配られた資料に目を通して、大島を待つ・・・・

会議室のドアーが開く・・・・
全員、起立して、大島が席に着くのを待ち、それから自分達も座った。
司会の総務担当の柳が言う・・・

「それでは、会議を始めます・・・順番に、現状とその問題点と対策について、話をして下さい・・・・」

東部ブロック担当の山中が最初に話す

「えぇ・・・残念ながら、東部の方は、対前年比、マイナス28%であります・・えぇ・
この結果については、担当として、責任を感じています・・えぇ・・・どうも、店舗の立地場所が、良くなくて・・」と、そこまで言った時・・・・

「何!!!・・・立地が悪い!!・・・誰が、その場所を選んだのだ!!」大島の大声の追及
「・・・・はっ・・・私で」
「ふざけるな!!・・・」一喝

この一喝の大声が、今日の大島は相当、機嫌が悪いと他の役員等は感じ取り、緊張した。

大島一流の恫喝だ。

成績がいいところは、追求しない。
その逆の店舗の担当者を標的にして、自分の立場を優位にもっていく魂胆なのだ。

最初に、発表と決めたのは、すでに総務の柳と打ち合わせての事だった。
大島は恫喝によって、指導力を発揮する、という勘違いもはなはだしい指導観を持ち合わせていた。恫喝で、人が本当に動く、と思っていたのだ。

この恫喝で生活がかかっている役員連中らは、萎縮してしまった。
萎縮からは、前向きの意見も、アイデアも出てこない。
すべて、俺の言うとおり動けばいいんだ、という独裁者に大島はなっていた。

会社の業績のいい時は、それでなんとか、対外的にも、平静を保てる。
しかし、そうで無くなった時は、業績悪化をすべて他の役員のせいにする。
本当は、大島自身の指導力のなさが、原因なのだが、傲慢でずるく権威主義者の大島はそれを分かろうともしない。

でも、下手に、手をこまぬいていると益々、業績悪化になり、銀行からも評価を下げられる。
場合によっては、社長交代を迫られる可能性も秘めていた。
筆頭株主が、別に居て、大島の首も何時、吹っ飛ぶか、わからなかったのだ。
気の小さい男だった。
役員等も、能がなかった。
恐怖政治に、ふりかかる、その火の子をかわすことしか、頭になかった。
今度は、俺の番じゃないのか、と、いった状態。

1人1人がバラバラであった。
とにかく、何か、改善策を提示しなければならない。

「やはり、不採算店の統廃合が必要では・・・・」結局、統廃合を通して、ついでに人員削減をすることに、落ち着いた。
新規の店は、とにかく、今の段階では出さない。
208店舗を20店舗減らして、118店舗にすることが、決定された。

「対外的にはなんと説明、発表するのか!!」未上場ながら、経済紙への発表について大島

総務の担当の柳は・・・・・

「統廃合は事実なので、止むをえません・・・しかし、それだけでは、今後、公開するといってきた以上、株主に対して、説明がつきません」

「・・・・・」他の役員は聞き入る
「そこで、カラオケという音楽の周辺事業を培ってきたノウハウを生かす、という名目で新事業へこれから集中する、という名目はいかがでしょうか?」

「新事業とは?」
「それについては、計画中という風にして、とりあえずマスコミの追求をかわしましょう」柳の巧妙な言い回しで、他の役員等も納得。実は、この柳の発言も全て、大島の入れ知恵だった。

良とサブと喜がバイトとして働く、マイクではこういう結論が下されていたが、当の本人等は当然ながら、全く、そんなことになっているとは、知らなかった。



小説(31)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-29 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
夕暮れになり、良は、タバコを買いに代々木上原駅の方へ歩いて行った。
坂を下り、ブラブラして下っていくと、前から、エリカが・・
授業の帰りみたい。

「おぉ!・・・」
「あらっ!!・・」目がパッチリして、嬉しそう
「帰り?・・」
「良さんは?」タバコを買いに来たついで・・
「コーヒー飲む?」エリカ

二人は、もう一度、駅の方へ戻って行った。
途中、雑談しながら喫茶店の方へ

「・・そうだ・・エリカ・・今晩、うちに来て、みんなで飲まない?」
「えっ・・・」突然のことで、戸惑うけれど、興味がありそう
「・・・・」
「・・いいわ!」
「よし、決まった!!」良は携帯で、サブに連絡

「えぇぇ!!・・・」
「いいじゃないかぁ」
「でもさぁ・・・今夜も湯豆腐だけだぞ・・それに、散らかっているしなぁ」
「全部、サブちゃんに、お任せ・・じゃぁ・・」携帯を切ってOKサインをエリカへ

連絡を受けたサブと喜は、もう大変。

「喜ちゃん!・・・俺、夕食・・いや、酒の準備するから、掃除頼むよ」
「分かった・・良の為だかなぁ・・・」

急ピッチで掃除と酒の準備が・・・
丁度、用意が整った頃、良がエリカを連れて、戻ってきた。

「今晩わ!・・・おじゃましま~す」
「やぁ・・いらっしゃい」サブ
「汚いところで・・」喜
「はははは・・・・そう、汚いところで」良がニヤニヤして
「どうぞ・・どうぞ」座布団はないので、良の臭い毛布を折って、下に敷く喜
「おぉ・・それって!!」良
「気にしない・・・気にしない、はははははは」

サブが手際よく、準備万端
湯豆腐とネギを大きめに切った、鍋料理
みんな銘々に座り・・・・
さ~てと、改めて、みんなに紹介しま~す、と言って良がエリカを紹介

「・・・・・・・」
「何?・・・遠慮してるんだよ・・」良がみんなに

エリカをまともに目の前にしたサブと喜は、照れ臭かった。
この間の、体操の件もあったし、それ以上に、エリカは、可愛い。
良の一言で、サブが・・・

「では、改めて、カンパイしょう!」エリカは自分の飲む分のワインを買ってきた。
同時に、みんなのビールも・・・・・

4人で飲み会が始まった。限られた、湯豆腐とネギで・・・・
でも、エリカはそんなことは、全く、気にしていなかった。
最初は、サブと喜は遠慮がちだったけれど、酒が入るにつれて、その壁もなくなっていった。もともと、遠慮なんかするタイプではなかった。3人共・・・・

「そうそう・・・」良が、酒の合間に
「・・・・」
「????」
「。。。。。」
「例の件さぁ・・・もう時間も余りないんで、待ちの姿勢でなく、こっちから動こうと思っているんだ」時効の件を持ち出して

「どんな?」
「みんなの知っている仲間に、ダビングして、協力を仰ぐっていうのどう?」

エリカは良の言うことを黙って、聴いている。

「そうだなぁ・・時効もあと、二ヶ月を切っているしなぁ」サブ
「このままだと、進展ないしなぁ」喜

自称、賞金稼ぎを気取っている、3人。詳しいことは、エリカは良からは聞いていた。

「なぁ・・・130人位は、手分けして、協力してくれそうな感じなんだ」

チェーン店には、派遣やバイト生が多かった。3人が手分けすれば、その位の数の協力要請は出来そうだった。数が増えれば、確率的にも、チャンスがありそう。

「いいんじゃ~い!」
「賛成・・」
「私も、友達に話してみるわ!」エリカが・・・
「えぇ!!・・・」
「ホント???」
「エリカも・・・応援してくれる?」良

心強い、支援者が1人増えた。
そこまで、話が進んだので、良が、・・・・・

「音楽かけない?」と言って、レゲェの曲をかける

LeecAの一曲の『DEAR』をボリュウム一杯にして、MDを・・・
女性シンガーで、3人のお気に入り・・・
音楽を小さな音で聴いても、乗らない。特に、LeecAの曲は

♪♪

  目を閉じるまでもなく 浮かんでは消える あなたと

  わたしのかけがえのない ぇぇぇ♪♪

  好き嫌いもなく 何んだって おいそうに

  たべ~えていた顔を ♪を♪ 思い出すたびに

  あならしく きっと 今も元気でいてと 心より願うづっとこの先も おぉっ♪♪


  ~  ~

  ~ひと目でいい 会いたいよう!!♪♪

ここで、3人は声をそろえて・・・・・

    逢いたいよう ♪♪と、でっかい声で、歌う

エリカも2回目の時は、一緒になって歌う・・・・・

あはははははは・・・
ノリノリノリ
♪♪
 
この部屋だけはいつも明るかった。



  
 
  



小説(30)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-28 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
窓から外を見ていると、前の駐車上に止まっている車の上をクウが、飛び乗っている。
ワックスを塗ったばかりのボンネットの上で遊んでいる。
滑りそうになりながら・・・・

良はその様子を見ながら

(あぁ・・せっかく磨いたのに・・足跡が)と内心、笑っていた

そうすると、車の持ち主がクウの存在に気がつき、近づく・・・・
怒っている気配を感じてか、すばやいクウは、ボンネットの上から飛び降りて逃げる。
逃げていく、クウに対して、今度は、持ち主が小石を拾って、クウ目がけて投げつけた。
それを見ていた、良は、頭にきて、玄関から急いで、文句を言いに出た。

持ち主は?
いない。

クウは?
いない。

少し、探したが両方共見つからないので、良は、台風一過の気持ちよさに誘われて、
川の方へそのまま、歩いて行った。
川に沿って、歩道が長く続く・・・・
犬を連れた散歩をする人々に何人にも出くわす。良は犬年なのか、どうか知らないけれど、不思議と犬は良に親近感を覚えているみたい。
ある時など、川の畔で川を見つめていたら、足が、温かい。???犬が、良の足にオシッコを引っ掛けて、マーキング。

「すいません!!」飼い主は恐縮

そんな事もあったのを散歩しながら、思いだしていた。
歩道を考え事をしながら見ていたが、ナメクジが何匹もいた。

(あっれぇ?・・・普通、雨上がりはミミズが出てくるのが相場・・・なんでかなぁ?
 そうだ!・・・台風一過からかぁ?・・・雨上がりはミミズ、台風上がりはナメクジ)

注意しながら、歩道を見ながら、興味本位で見ると、やはりナメクジの這った後をたくさん見つけた。と、同時に、コオロギが死んでいるのも見つけた。
仰向けになって、足を折り曲げて、空を見て・・・・

(どうして、死んだのかなぁ?・・・台風の雨か風にやられたのかなぁ??・・・なんで死んだのか分からない。・・・・あのコオロギは死んでどこに行ったのだろうかなぁ?
身体はここに足を曲げて残っている。・・・・
おそらく大宇宙の中に溶け込んで行ってしまったのだろうなぁ?

次にはまた、コオロギとして、生まれてくるのだろうかなぁ???
人間には生まれてこないのかなぁ?
コオロギでなく、今度は、犬かなぁ?
人間として、生まれてくるには、どんな条件があるのだろうかなぁ?
ナメクジにしても、なかなか、次に生まれてくるのは、人間としてでないだろう?


人間として生まれるということは、至難の技みたいだなぁ?
難しいんだなぁ?
俺は、次に生まれて来る時にも、ナメクジやロオロギはごめんだなぁ・・・やはり人間だなぁ・・・犬でもなく・・・・)

良はそんなことをコオロギを見て、考えていた。

確かに、そうだ。人間として、この世に生を受けてきたことは、何か、犬やナメクジやコオロギと全く、違う形で、出現してきたのだ。
その人しか出来ないことを行う為に、出現したのでは?
犬でもなくコオロギでもなくナメクジでもなく・・・

ナメクジの這っていく、跡を見ていると、あのナメクジは一体、どこに行くのだろうか?
と・・・・良

夢を追っていくのかなぁ?
まさか!!

希望を求めて?
まさか!!

幸福を?
まさか!!

川から横に入った、住宅地に行くと、青い朝顔がまだ、咲いていた。
自然の雨に打たれ、みずみずしさを葉と花にたたえ、「どう?私って綺麗」と誇っているようだった。誰も言わないので、良は通りがかりながら、綺麗だよ、と。
朝顔は風に吹かれて、良の誉め言葉に答えているようだった。

まだ、住宅用地として建物が建たない空き地にも、自然と雑草が伸びていた。
この雑草らも、生き生きしていた。
台風の強風、豪雨を屁とも思わず、それをまともに受けて、息を吹き返した強さがあった。雑草は強い。その強さがまた、美しかった。
午前の光を受けて、雨の後を、お化粧の替りにし、雑草なりの磨きをかけていた。

良は散歩が好きだった。
身近な自然を楽しむことが出来た。どんなに海外や景勝地に時間と金をかけて行っても、
それを楽しむ心の余裕がなければ、美の本当の姿が受け取れない、ことを知っていた。

(そう言えば、もう、後何日になるのかなぁ?)時効の件・・・・

なんとか、もっと他の手を打たなければ、と考え直していた。



小説(29)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-27 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
台風が近づいてきているせいか、雨が次第に激しさを増して降ってきた。
こうして、秋が深まっていく。
明日は台風、一過でスカッとした秋晴れになるに違いない。

『ひまわり』荘では3人がゴロゴロしていた。
クウはどこかへ行ったきり。
雨なのに出かける変ったネコだったけれど、どうも外の方が好きみたいで、手がかからない。どうせ、エリカの所に行っているのだろう。
ここでは、美味いエサが出ないから、当然といえば当然・・・・
良が・・・・

「身体がなまってしょうがねぇなぁ!」
「テレビもつまんないし・・・」喜
「ビデオなんか、新作出ている?」サブ
「出ていないんじゃない」・・・・そうだ、体操しよう」良
「・・・・」
「・・・・・」
「例の奴さ!!・・」
「おぉぉ・・・・オッパッピー」
「いいんじゃない・・」

暇を持て余して、エネルギーが溜まっていた3人。

「よぉ~し・・・俺が、声を掛けるから・・・いい?」良

良の音戸で、3人はその格好で待つ・・・

「せ~いの!!」

「そんなの関係ねぇ!!」
「そんなの関係ねぇ!!」
「そんなの関係ねぇ!!」

もっともっと、声がちいさい!!

「せ~いの!!」

「そんなの関係ねぇ!!!!!」10回以上はあっという間に・・・
でも、汗が出てくる。
ふぅ・・・・!!

そこで、良が提案した。

「なぁ・・・パンツでやろうぜ!」パンツ男の良の提案
「いいなぁ・・」
「そうでなきゃー!」

3人はパンツ一丁になったけれど、良とサブのパンツは色柄が普通のパンツなのに、喜のは、真っ赤なパンツ。

「おい・・何時買ってきたんだ?」良とサブは真っ赤なパンツを見て、笑った

そんなことはどうでもよく、また、始まった。
今度は、小島よしお並の格好

「そんなの関係ねぇ!!」
「そんなの関係ねぇ!!!」
「そんなの関係ねぇ!!!!!」20回以上・・・繰り返される。もう汗だく・・

ストップ!!・・・良が

「?????」
「?????」

「こんなの、面白くねぇ・・どう、負けたら、パンツ脱ぐの??」提案
「おぉ!!・・・・」
「最高!!・・・・」

また、始まった。
今度は、フルチンになるか、どうかの、勝負

「せ~いの!!」

「そんなの関係ねぇ!!」床はドンドン踏み固められていく
「そんなの関係ねぇ!!!」でっかい声で
「そんなの関係ねぇ!!!!」周りに迷惑が・・・
「そんなの関係ねぇ!!!!!」

3人は汗だくで、まだ、続いていたが、一番最初に、ギブアップしたのは、喜。

「さぁ・・・喜ちゃん、その真っ赤なパンツを脱いでくださ~い!」
「俺からからよー」渋々、パンツを脱ぐ

「は~い・・・喜ちゃんはスッポンポンになりました・・はははははははは」
「大きいですねぇ・・・・あはははははははは」
「あっ・・そうだ」又、良の提案が
「?????」
「?????」
「今度、負けたらさぁ・・・パンツを被るのどう?」
「いいねぇ・・・」
「それって、最高!!」

「さぁ、いくぜー!!」

「そんなの関係ねぇ!!!!!」もう100回近くなってきた。喜はフルチン
「そんなの関係ねぇ!!!!!」喜の裸を見ながら、良とサブは笑いこげる
「そんなの関係ねぇ!!!!!」喜の中心部分が振り子のように動く
「そんなの関係ねぇ!!!!!」あぁ・・もうダメダァ!!・・・良とサブはこらえていたが噴出してしまった。

「あはははははは・・・・」笑いすぎて
「ははははぁ・・・・」腹がいてぇ


パンツを被ったのは、結局、良とサブ

「よし!!・・・・最後に決めていくぞ!!」

「せ~いの!」

「そんなの関係ねぇ!!!!」全員、素っ裸か・・・・

疲れて、汗がタラタラの状態で休んでいた。丁度その時

ブー・・・・誰か、来たみたい?
3人は、あわてて、頭に被ったパンツを履いた。

ブー
ブー

「はい?・・・」上を着たサブが出る
「こんにちわ!!」エリカがクウを抱いて
「ちっと。。。」あわてて

「おい!!良ちゃん・・・・エリカ」

「やぁ!!・・・・」汗がタラタラで
「なんで、そんなに汗、かいているの?」不思議そうに
「いや、ちよっとね・・・」又、汗が・・・・。今度は、冷や汗・・・。




小説(28)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-27 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
『揺れる現代に』

時代は目まぐるしく移り替り、日々、事件が発生しては、また、新たな事件、出来事が
顕になり、それらが絶え間なく、浮かんでは消えていく・・・・

近くには、防衛省絡みの問題も、国会での追求が始まる。
国防上、国家機密を盾に、今まで多くのことが封印されてきた。
ただ、言える事は、防衛に絡んだ国家予算は、膨大なもので、そこには蟻が砂糖に群がるように、有象無象の輩が喰らいつく・・・・
これから、その一部が、その恥部の、その暗部のほんの一部が、ひもとかれてくるけれど、それもほんの少し。

スポーツ界では、相も変らず亀田家叩きが、連日、報道されつづけ、うんざるする程になっている。世間は、それが面白いのかも知れない。
社会というか、経済というか、駅前留学のNAVAの倒産。これなども、知っている人間から見たら、もうとっくに倒産の企業で、何を今更、という感じで見ていた。
ただ、そうでない多くの実態を知らない人々で、被害を蒙った人達にとっては、無念だったに違いない。

官僚や役人等の不祥事も絶え間ない。官と民の区別がつかなくなってきて久しい。
もう一度、自分たちは、なんの為に、官僚、役人になったのか、という視点に立ち戻り、
根本から出直し、しなければ、更に、不祥事はおそらく、止まらない。

政治家どもは、もっとおかしい。
薬害被害が出たときには、その時々、パフォーマンスに多くの時間を費やして、通り越してしまう。その時に、将来を見越して、しっかりした法律を作り、網をかぶせるという労作業を怠り、また、繰り返しが起きていく。

人災の後には何が、くるか?

天災

人災と天災とは別々のものではなく、表裏一体なのだ。コインの裏と表。
この原理を知っていれば、どうなるか? すぐ、解る。

多くの人災が重ねて起きた後には、時間差を置いて、天災が起きてくる。
今の、日本の状態を俯瞰(ふかん)した時、大きな天災が起きそうな、気がする。

とにかく社会のトップ、上層部にいる連中らの低劣さには、うんざりする。
偽装?
おそらくこんなのは、当たり前のことで、あらゆる分野で実際に今でも、行われているのだろう。そうした偽装の発覚は、また、多くの場合、良心から発する内部告発による。

人間の良心はどんな時代になっても消えることはない。

その良心を生み出すものが、善と悪の心。
どんな人間にも、この相反する心が存在し、一方に、偏在している、ということはない。
これを二つ持ち合わせているのだ。
だから、犯罪が起き、それを処置しようとすることも出てくるのが、実相。
内部告発は、善の心から発する良心の心の発露。

悪を滅することは永遠にできない。当然で、善悪を併せ持つのが人間の真実の姿だからだ。でも、悪を極力、押さえ込むことは、英知によって出来る。

その英知はどこから来るのだろうか?

浮き草のように、浮いては消える事件の数々。みんなそれが起きる度に、その対応に追われる。対処療法だけだ。根本、本質のところに、今、一歩踏み込んでいない。
と、いうより解らないのだ。
解らないなら、教えましょう、とすると、これがまた、面白い。
100人いれば100人の意見がでてくる。
それはそれで、大切なことだけれど、本質がわからない、上に立つ議論だから、問題解決へは、程遠い。これが、次から次へと起きて来る事件の数々の対応の状況。

犯罪は悪の心から出る。





小説(27)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-25 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
落ち着いた秋の風情が、夜にもなると夜空に浮かぶ、満月でない月が、周囲の夜空に浮かぶ明るさを、ひときわ輝き、なにも満月が最高ではない、思いをさせる。
世界中の人達が、それぞれの想いを抱き、この月を見て、何かを思っているのだろう。

モモもその1人だった。
今日の昼の起きた、バイトの件を振り返っていた。

「モモちゃん!!」若旦那
「は~い!!」モモの明るい返事で、若旦那は、笑う
「今日、器を取りにいくついでに、集金してくれる?」
「は~い!!」いつも元気な、モモの返事で、若旦那の方が、元気づけられる

♪♪
ルンルン気分で、チャリを走らせ、寿司の器を回収に・・

高級マンションのドアーの前に立ち・・・

「一気寿司です・・・」モモ
「ハイ???・・・・」かったるそうな女の声
「器を下げに・・」
「待って!・・・」しばらく待っていると

中から、大きな6人分の器を面倒臭そうに、女が・・・・

「・・・・・」黙って、器を差し出す
「ありがとうございます」料金は、配達の時にもらっていたので器だけ受け取る

モモは空になった大きな器を見て、まぁ!!・・と
器には、ティシュの塊・・・
ゴミ箱替わりに使っていて、汚かった。

「失礼します・・・・」高級マンションを後にした

次は、集金も兼ねていた先。
チャリを走らせて、着いたのは、モルタルの二階建てアパート

「すいませ~ん・・一気寿司です・・」ドアーのインターホーン越しに

「あっら!!・・ご苦労さん・・ちっと待ってね・・」中年女性の声
「・・・・・」

ドアーが開き、三つの器を持ってきて・・えっと、おいくら?

「ハイ・・・3200円です」
「そう・・・細かいのを今、持ってくるから、待っていてね・・・」そう言って中へ

待っている間、器を見ていると、最初の器を回収した、高級マンションの人のものとは、全然、違う。受け取った、器は3つとも、きれいに洗われ、ピカピカ。

「はい・・・」おつりなくピッタリを用意して渡してくれた

モモは、最初の汚くした器のものと比較して、どうして?こんなにも違うの?と・・・

少しづつ、モモは何かを学んでいた。

一気寿司に戻ると、若旦那が「モモちゃん・・お疲れ・・今晩は、モモちゃんの歓迎会をみんなで、用意しているから・・・用事ある?」

「いいえ・・・」
「そうよかった・・・」モモは集金したお金を若旦那に、その時、渡そうとしたが、ない。(あれぇ???)・・・・・

集金したお金が?
どこを探してもなかった。必死に探したがない。
その様子をただ、黙って見ていた若旦那。
モモは、焦った・・・・
若旦那の表情は、何か、怒っているように見えた。
モモは体中、ポケット、バックを探してもでてこない。
そうすると・・・

「モモちゃん・・・・無くしたみたいだね」心配そうに
「すいません・・・・」黙っている

モモは怒られると・・・不安な気持ちでいると

「いいんだよ・・・・ははははは」怒ると思っていたが、意外な若旦那の態度
「・・・・・・」モモ

夜、店を早めに閉じた。今晩は、モモの歓迎会・・・・・
若旦那、他、みんなが、モモのことを気づかって、用意してくれた。
店の奥には、テーブルには五段の寿司盛り・・・・
まるでピラミッドのように、寿司が、お皿の上に積まれていた。
板前さんと仲ちゃんの力作。
ヒラちゃんは、その他、いろいろモモの知らない間に、全部、万端に用意してくた。
モモはそういう心づかいが嬉しかった。

テーブルを前にして、若旦那が・・・

「モモちゃんが、うちの店に来てくれて、おお助かり・・・」昼のお金を紛失したこと素振りにもださない。むしろモモの気持ちを気ずかっているよう

パチパチ・・・・
乾杯・・・カンパイ!!

そのうち、若旦那は、席を早いうちに退席。明日の早朝の築地の仕込みがあるからだ。
残って居るのは、板前さんと仲ちゃんとヒラちゃんとモモの4人にいつの間にかなっていた。板長は一年中、下着を真冬でもつけず、さすが、男、板前の主義。
かっこうがいい。でも、男前の板長だったが、酒は、弱かった。
もう、テーブルの横で酔って、寝ていた。
そんな板長を尻目に、仲ちゃんは、・・・
大分、酒が入って・・・

「モモ!!・・・・ビール飲め!!」もう強引に勧める。モモはまだ、小学校6年生

素直なモモは、差し出されたビールを飲む。ビールを飲むのは生まれて初めて
仲ちゃんとヒラちゃんは、モモがビールを飲むのを見ていた。

最初の一杯を飲んだ時、モモは、内心(うま~い)と。。。。。
続けて、仲ちゃんが、空いたコップにビールを注ぐ
それを又、モモは一気に、飲み干す・・・

その内、仲ちゃんやヒラちゃん、モモの3人らは、何がなんだかわからず、酒を出してきて、飲みあっていた。
モモの可愛さと魅力かも知れなかった。仲とヒラは大騒ぎ。

「あはははは・・・モモ!!・・・いいぞ!!・・もっといけ!!」もうメチャメチャ



小説(26)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-24 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
もう大分、モモはアルバイトが慣れてきた。モモは感がよく飲み込みも早かった。
お客さんへの対応も、堂にいったものだった。

「いらっしゃ~ませ!」来店したのは、常連の親子連れ

おしぼりとお茶を出して、注文を聞く・・・・

「並二つね・・」母と娘。娘は23才位
「並2つ!!」元気のいい大声で
「あいよー!!」板前

カンターには板前と見習いの仲ちゃんが入っている。
仲ちゃんは、中学を卒業して、修行中の21才・・・
今晩来た、常連の親子の娘の方に、好意を抱いていた。

「モモちゃん・・・これ、持って行ってくれる?」仲ちゃんが握った寿司

「ハイ!!・・・でも?」並じゃなく上寿司
「いいから・・・・」目配せして

「お待たせしました・・・」
「あらぁ!!・・???」モモを見て、並ではない、という風に
「えぇ・・・サービスです」ニコっと笑い、カンターの仲ちゃんをアゴで指し示す
「すいません」板前は知らんプリ

モモは、内心、仲ちゃんは、こんな感じの娘が好きなんだぁと、興味・・・・
お客商売って面白い。
明日が、学校は休みなので、モモはバイト時間を延長。
もう、若旦那との約束時間はあってないようなもの・・・・
藍子は最初、心配していたが、モモに任せていた。

夜、店が終り、帰りの支度をしていたら、もう1人の見習いの16才のヒラちゃんが、奥の台所で泣いていた。
お釜のご飯を、釜からかき集めて、ポロポロ涙を出して・・・
板前さんに、叱られたのだった。

昼のシャリの炊き方が悪く、ご飯として使えない!と厳しく叱られたのだ。

「こんなシャリをお客に出せるか!!・・・炊き直せ!!」その残り

失敗した、シャリの残りをかき集めて泣いていたのだ。
モモが心配な顔をして、そっと近づくと、ヒラちゃんは、オコゲのシャリをおにぎりにして、握っていた。そのおにぎりの上には、ポタポタ涙が垂れていく・・・・

「ヒラちゃん!!。。。。」心配顔で
「・・・・・」黙って、涙に濡れた、おにぎりの一つをモモへ差し出す
「・・・・・」
「・・・・・」

モモも黙って、涙に濡れたおにぎりを手にとって、口に、放り込む。
そのおにぎりは、ショパカッた。
でも、何故か、美味しいオコゲのおにぎりだった。

ヒラちゃんは、やはり中学を卒業して、郷里の山形から住み込みで寿司職人を目指して、修行中だった。仲ちゃんとヒラちゃんは、同じ部屋で寝泊り・・・。

家には、11頃に着いた。
モモを心配して、藍子は寝ないで待っていた。

「遅かったわねぇ!」
「うん・・ゴメンなさ~い」複雑な顔をして・・・
「どうしたの?・・何か、あったの?」
「うんん・・・」いつものモモらしくない
「どうしたの?・・・大変だったら、いいのよ、好きにヤメテ」

「うんん・・・ネェ、ママ・・」
「なぁに?」
「一気寿司に、ヒラちゃんっているの・・・」
「・・・・・」
「その子がね・・・今日、シャリを炊くの大失敗したの・・・」
「・・・・・」
「それでね・・板前さんに『寿司の命はシャリなんだ!!』って、怒られて」
「そう・・・そんな事、あったの」
「その子、中学出て、住み込みなの・・・・怒られて、泣いていたわ・・・可哀相で」

モモは泣きながら、釜をションボリかたずけていた、ヒラちゃんの姿を思い出し、悲しくなって、今にも、泣きそうになっていった。

「そうなの・・・」藍子はモモに苦労かける気持ちで
「モモ!!・・ヒラちゃんにおにぎり、握って、もらったの・・すご~く、美味しかった」
「そう・・・・」
「あんな美味しい、モモ・・おにぎり、生まれて初めて食べた!!」うっすら涙が・・・。

小説(25)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-23 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
『10数年前のモモ』

月日の流れるのは早い。モモも小学校6年生になり、すっかり大人じみてきた。
成長が早く、クラスの中でも、後ろから二番目まで背が高くなった。
背丈から見たら、もう大人・・・・

肌が白く、頬は桃のようにうっすらピンク色で、なかなかの美人タイプ。
団地で、遊んでいると、『一気寿司屋』の若旦那が配達の帰り道、いつも見るモモに話しかけてきた。若旦那自身が配達する位で、人が足りなく、店のバイトを探していたところだった。小学6年生だけれど、身体がもう大人と変らず、別に、問題ない。

そんな感じの若旦那・・・・
オヤジが病気なので、店は、若いせいか、任せられ考えも柔軟・・・・・・。

「モモちゃん・・!・・」
「・・・・」
「内に、バイト来ない?」と言って、誘った。

夕方、6時から夜、8時までの約束。モモはママに相談せず、即決した。
あとで、話せばいい、という感じ。決断力があった。
モモも、自分の小使いの足しに少しでもなり、ママにも生活の足しになれば、という気楽な気持ち・・・・。

「うん・・・」簡単に返事。若旦那は一応、未成年なので、藍子には説明と了解を・・

土曜日からバイトが始まった。
藍子からは若旦那が保証してくれたお陰で、OKがでた。
2時間だけが、絶対の条件・・・・

バイトの初日は、板前さんと見習いの板前二人、そして若旦那の奥さんと、とおばさんが紹介された。

「モモで~す・・・よろしくおねがいしま~す」大人じみた挨拶

板前や見習いの二人は、モモはもう18才位と思っていた。若旦那からは詳しいこと聞いていない。

「ガンバッテなぁ!!」板前
「こんにちは!」見習い
「やぁ・・・・」

板前の見習い二人は、モモをまぶしく見て、挨拶。

(可愛い)そんな感じで、二人は、モモを見ていた。

「モモちゃん!!・・・・」さっそく挨拶が終り、話かける板前
「ハイ!!・・・」元気がいい
「今晩は、様子を見てて、何も、しなくていいからね」
「ハイ?・・・」
「モモちゃんは何が、好き?」

(なんのことかしら?)モモは急に言われて

「好きな寿司のこと・・・・」笑いながら板前さん

何が好きなのか、サッパリわからなかったので、黙っていると

「じゃ・・こっちに任せてね」そう言って、モモをお客の席に座らせる。優しい。

出てきた寿司は特上・・・・
目をパッチリさせて、いると、モモちゃん食べて、と、促される
特上の寿司を食べ終わると、・・・・

「もっと、何か、注文はない?」

遠慮はいらない、と言う・・・・。
そう言われれば、遠慮するモモではない。食べて、一番美味しかった、トロを注文。

「ほう!!・・・モモちゃんは、味が肥えてるなぁ・・ははははは」寿司を握る板前

食べた食べた・・・・。こんなに好きな寿司を食べたことなかった。
これが店の方針だったけれど、そんなことは分からない。
寿司屋にバイトでも働いて、もし、満足いくまで食べられず、使われていたら、仕事に影響あるのでは、という配慮だったのかも、知れない。
でも、モモは店のみんなから、好かれた。
初日は、寿司をたらふく食べて、お客がきたら、お茶を出して、食べたものをかたずける、という簡単なことで、あっという間に、終わった。
若旦那が・・・・

「モモちゃん・・ごくろうさん」と言って、2千円を渡す

(えぇ???・・・たったあれだけの仕事で、2千円・・ウッソー??!!・・ラッキー!!)

寿司をたらふく食べて、バイト代を財布に入れて、ウキウキして団地へ帰って行った。

小説(24)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-22 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
エリカが尋ねてきたのは、クウを返しにくる事を口実になんか気になる良に逢いに来た為だった。でも、そんなことは、態度や表情には露さなかった。
一方、良の方も、愛想のない素振りだったけれど、本当は、空にも舞うような嬉しさがあった。ただ、ハニカミ屋でなんとなく照れくさかった。

「これ・・・」抱いていたクウを良に渡す
「ありがとう!・・・クウ、お前はいつも遊びに行っていたのか?」クウに話しかける
「エサもあげていたわ・・・」ニコっと笑って、いけないかしらという感じ
「いやぁぁ・・・みんながクウが毎晩、遅くまで帰ってこないので、心配していんだけれど、これで安心・・・なぁ、クウ」クウは言葉が分かるのか、エリカから離れない

そりゃーがさつな男3人組の処よりか、よっぽど、エリカの処の方がいい。
話せないけれど、その証拠に、さっきより、エリカの胸に強くしがみつく。

良は内心(俺の方がしがみつきてぇ!)と思っていたが、表情にはださないで、

「さぁ、クウ」と言って、無理やりエリカから離す。丁度、幼い子供みたいに。
「じゃ!・・・」エリカが帰ろうとする。良は上がっていれば、と言おうしたが、考え直した。臭い汚い部屋に、エリカを上げる訳にいかなかったから・・・・

「またね・・ありがとう!」
「さようなら・・・・」別れたくなさそうなエリカ

クウを受け取り、部屋に戻るや、喜やサブが、・・・・

「ほほほほほぅ!!・・・良さんは持てるますねぇ!!」
「あははは・・・何時の間にか、あんな可愛い子と知りあったんですか??」

酒が入っているせいか、二人に、完全にコケされた良・・・・

クウはすでに良の元からは離れ、サブの方へ。

「パンツ男がねぇ」
「スウスウ男がネェ・・」
「おい、チャかすなよ・・・」照れ隠しで、テーブルの上の酒を一気に、ひっかける。
「さぁ!!・・・・飲み直し・・・パンツに乾杯・・」
「いいねぇ・・・スウスウに乾杯!!あははははは」

エリカと良の為に、サブと喜は本当に、喜んで、乾杯してくれた。

家に戻ったエリカも嬉しかった。

「どうだったの?」不安そうなエリカのおばぁさん

人の家のクウにエサを毎日、あげていたのはいいけれど、毎日なので、祖母のケイは心配もしていた。クウを飼っているのが、「ひまわり」荘の男達だということが、エリカから聞き、何時か、話そうとしていたのだった。義理堅い人だった。
エリカと雑談している時に、・・・・

「おばさん・・・私が返しにいくわ」
「そうかい・・悪いわねぇ・・」
「いいのよ・・ついでに、了解を得てくるわ」内心は良に逢えるから

祖母のケイはエリカの母親で、エリカの両親は福岡に住んでいた。エリカが東京の大学が受かってから、卒業するまで、エリカを預かる、ということで、二人の生活。

エリカと良はクウを介して初めて逢った時から、何故か、お互い妙に魅かれていた。
もうずっと、前から、知り合っていたような感じだった。

それも遥か昔から・・・・

もしかしたら、当人同士は気がついていないかも、知れないけれど、前世は恋人同士だったのかも知れない。なんで、逢った瞬間、こんなに魅かれるのか、分からない。
人目惚れというものかも知れない。
それも、やっと逢ったね、という前からの約束をお互い思い出したような、出会いだった。

小説(23)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-21 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
休日の時の夕食の準備は、サブが担当。

「サブちゃん・・・今夜は何?」喜
「今夜は、久し振りにご馳走・・・」サブ

サブはそう言って、鍋をテーブルに置く・・・・
それを見た良と喜は、あぁ・・という顔。

鍋の時は、おかずが少ない、とういうが定番だったからだ。
サブが用意したのは、湯豆腐。
おかず?
豆腐だけ・・・・・。

「豆腐が温まるまで、酒、いくかぁ?」3人は酒を注ぎあった
「こうして、通勤電車に出くわさないのが、俺たちの一番いいところだなぁ」

いきなりサブが、特権の通勤時間なし、のことを話しだした。

「まぁ、そうだなぁ・・・・」喜
「通勤といえば、今年の冬の時は大変だった・・」良
「あぁ・・吉祥寺の店ね」サブ
「そうなんだ・・・開店準備でさ・・・」
「それで・・・?」
「朝からさ、腹の調子が悪くてさ・・」良
「下痢?・・・」
「そうなんだ・・・・開店準備で・・行く途中にさ、電車の中で、ガマン出来ない状態でさぁ・・・」良

「うん・・・・」
「それで?・・・」そう言いながら良に酒を注ぐ
「やっと吉祥寺駅についたからさ、脱兎のごとく、トイレに向ったんだ」
「必死だったろうなぁ??」
「勿論さ!!・・・・洩れそうで・・・でも、階段を一段降りるたびに、洩れそうでさぁ」
「そういう時、あるよなぁ」
「駅のトイレに入ったらさ・・もう先にどこのトイレも先客がいてさ・・・少ないところを選んで、待ったんだ・・・」
「で?」
「もう3分が限界・・2分、55秒、30秒・・・もうダメと思ったよ」
「ほうほう・・・・」冷や汗を想像して

「顔面はおそらく蒼白だったかも知れ無かったよ・・あぁ・・ダメと思った時、間一髪でドアーが開いたんだ」
「助かった!!」はははは

「そうそうに、すぐドアを閉めて、用を済ましたしたんだ」フゥ??という感じ
「へぇ・・・・」

「間一髪かあぁ!!」
「それでさ・・いざ、ティシュと思ったら、それが無いんだよ」
「えぇ??」
「それでどうしたんだよ??」
「トイレの中を見渡しても、拭くものはないしさ・・・一難去ってまた一難さ」

「そりゃー参ったろうなぁ」
「それで?」
「当たり前だろう?・・・パンツを脱いでパンツで拭いたさぁ・・」
「あはははははは・・・・」
「ははははは・・・・・」
「ハハハハ・・・・それしかないからさ」

「それで・・・?」
「それでさぁ・・・パンツなしで、ズボンはいて出たんだ・・・だけどさぁ、冬だろうスウスウしてさ寒くてさ・・パンツを買い求めて、又、トイレに・・・」
「まさかぁ・・・・さっき入ったトイレじゃないだろうなぁ?」
「いや同じトイレさぁ?・・・だけど、脱ぎ捨てたトイレには勿論、入らなかったけれどな・・・あははははは」
「ははははは・・・」
「ハハハハハ・・・傑作だぁ!!」

トイレの話を酒の肴で、飲み会はいやに、盛り上がってきた。
湯豆腐はもうとくっになくなっていた。

その時、ブーっと
玄関のブザーが鳴る・・・
サブが応対に出る・・・

「ハイ・・・」ドアーを開けると、クウを抱いた女性が・・・
「良さんいますか?」
「はい・・いますが」怪訝な顔をしてサブ

「良・・・・お客さん」
「誰・・?」
「・・・パンツ!・・」ニャっと笑って
「????」

喜はサブがパンツと冗談を言ってので、また、思い出し笑い
良が玄関に行くと・・・

「今晩わ!!・・・」ハルカがクウを抱きながら
「あぁ・・・????」




小説(22)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-20 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
やっと秋らしい天気になり、家の中でゴロゴロしているのが勿体ない。
一歩、外に足を踏み出せば、もうそこは秋。
いつのまにか、ススキは穂を下げて、夕方にみれば何か、もの悲しさを漂よわすけれど、朝の同じススキでも、今日も、元気。

川の浅瀬には二本足でいつまでも、何かを狙って、川の中にたたずむ白サギ・・

川の畔に、二本の脚立を立てかけ、何か、の被写体の決定的瞬間を狙う帽子を深くかぶった人と、白サギのポーズが似ている様・・・・。

どこからか、キィーキィー鳴く小鳥たちの声がこだまし、静かな秋の落ち着きを川の周りに彩りをそえている。もう、秋なのだ。

『ひまわり』荘の中では、休みというのに、3人組がテレビの前でめいめいの格好で、横になって、画面を見ていた。

クウはいない。
野生の本能のまま、早朝から、外へ飛び出ていったきり、戻ってこない。
朝飯はどこかで、食べているのが、日常的になっていた。
ネコが好きな誰かが、クウにエサをあげているに違いない。
それにしても、クウはすっかり大きくなり、白い毛もその白さを増し、ピンク色の鼻は、ひいき目に見ても、他のネコに比べて、可愛いかった。
その可愛さを武器にして、おそらくエサをくれる人を見つけたに違いない。

クウがいないので、3人はさらにノンビリと休めた。
テレビでは、世界音響研究所の音に関する、特集が組まれていた。

何気無く、3人は番組を見ている。
その中で、『声紋』に関する実験やその認証とか、ノイズをとり除く方法とか、二本の別々の音が、一致する認証やそれが裁判に証拠として採用されている、ことを知った。

「おい!・・・・良」二人に話しかける
「良ちゃん・・・これって?」サブ
「犯人特定の証拠になるなぁ・・・」喜

彼らが、自称『賞金稼ぎ』を自認して、今、標的にしている犯人の声が、ひよっとすると
犯人特定の決め手になるかも知れない、と、直感したのだった。

「一個所の店でなく、勤務場所が変わっても、そこのボックでの、録音を忘れない方がいいんじゃない?」良
「俺も、そう今、思っていたんだ・・」喜
「よし、明日から、徹底しょう・・・時効はあと、何日?」サブ
「・・・えぇと・・・64日かなぁ」喜
「もうそんなに経っているのかぁ???」3人は、やや焦ってきた

サブが気を利かせて、コーヒーを入れてくれた。
灰皿を囲み、素人『賞金稼ぎ』の面々は、他にも、何か、手がないのか、考えを廻らせていた。でも、なかなか、いい手は浮かんでこない。
良が・・・・・

「俺・・チョッと散歩に行ってくるわ!」
「おう!・・・」
「帰りにキャスター買ってきてよ」
「わかった・・・」

良は散歩が好きだった。ひまわり荘を出て、すぐにヘビースモカーの良はタバコに火をつける。外の新鮮な空気と正反対の空気を肺の中に入れていく・・・・

(俺って・・・非健康的だなぁ・・・)と自分で苦笑していた

どこにでも秋があった。特に、他人の家に植えてある花々を見ながら、コスモスが好きな
良であった。

(いろいろな花が好きだけれど・・コスモスは可憐だなぁ・・・)と感じていた。

しばらく散歩を楽しんでいると、前の方に、若い女性とネコがじゃれあっている姿が目にとまる。(あれっ?・・クウだ・・・彼女?・・見覚えが)

近くによれば、やっぱりクウ・・・・

「おい!!・・・・」
「。。。。。。。」目をまるまる開けて見つめるクウ
「あら??」大家の孫のエリカ

二人はこれで二度目。それもクウを介して・・・・・
クウの首には、センスのいい小さな金色の鈴がかかっている。

「おい・・・これもらったのか?」鈴を手にとって
「これ、私が・・・・」
「・・・・・そうかぁ!・・・よかったなぁ・・ははは」クウの頭をなぜる

良に優しくされて、驚いたのかクウは逃げようとする
それをしっかり抱いているエリカ
クウは二人の顔を交互に見ている

良は怖い
エリカは優しい

エリカにしがみつこう!!・・・・クウは人を見る目が本能的に具わっているみたい。



小説(21)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-19 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
『現代』

毎日、何か、事が起きる。
それも異常なことばかり・・・・

この異常な事件はあらゆる分野で起きている。
それが余りにも、頻繁に勃発している為、人々は、いつしか異常が、異常と思わなくなってきた。いわば、不感症みたいなものだ。
糞まみれの中にいれば、いつしか、その糞の異臭が当たり前のようになっていく、感覚と同じ・・・・・

社会全般がその異臭まみれの中に、嫌でも置かれて、それがいつしか、普通になってきていた。一体、そんな世界を誰がしてきたのか?
すべて、社会、国、世界をリードしていくべき、責任ある立場の、通称、リーダと言われている人間達の責任が、極めて、大きい。

アメリカを見ても、不倫で明け暮れ、それを指摘した人間達を権力で押しつぶそうとしたが、それがダメと分かり、真実が暴露されて、最後は、不適切な関係で、一件、落着。
アメリカの良心、マスメディアの精神は、この時に死んだ。

その延長上に、イラク攻撃。
何?

イラクに大量破壊兵器がある、と強弁して、他国を侵略。
この時も、マスメディアは、腑抜けになり、真実を解明して、一般大衆に伝えていくという使命は喪失してしまった。

権力者らの狂気に怖気をなしてしまった。
その結果、尊い命が多く失われていったし、今も、続いている。

今、アメリカもその反省に立って、立ち上がろうとしているけれど、ダメージからなかな立ち直れない。権力の力に抹殺されたマスメディアの憔悴している姿が見てとれる。
マスメディアの屈服した、悲しい姿がそこに、残骸としてあるのみ。
これを改革していく為には・・・
新しい使命感に燃えた若い世代の台頭を待つしかない。

国内においても、年金一つとっても、デタラメ、やりたい放題、使いたい放題を許した政治。ここにまともな政治家いる、とはとても考えられない。

与野党ともにだ。

国、県レベル以下のある市などは、合併した後、市会議員の給料なんかは、合併する前の一番高い報酬に合わせて、与野党があっというまに成立。

もっと古くは、リクルート事件が発覚したした時、なんとこいつらは言ったか?

「政治には金がかかるから、こうした事件が起きると」
それで、これも政党助成金をあっという間に決めてしまった。
では、その後に金と政治関わる事件がなくなったか?
全く、変っていない。

バブルの時に、いかにいいかげんな事をしてボロも儲けしてきた政治家、官僚等がいたことか?・・・今となっては、シラッとしている。
金まみれ糞まみれの連中だった。

一般庶民は真面目に働いてきた。

格差は当たり前とほざいている輩が当たり前の人間がいる。

格差と違いとは全く、相異しているのだ。
格差とは差別なのだ。

学者、評論家、政治家、経済界、マスコミの中に、誰が、明確にそういっているのか?
聞いたことがない。
格差社会・・・・云々

違う・・・・。

格差とは、差別なのだ。

こう明確にした議論がないから、全てが、あやふやへとなっていく。
差別というと、なんか特別なことになるようであるけれど、そうではない。
身近に多くあるではないか・・・・
指導者連中といわれる『格差』のロジックにはまってはいけない。
『格差イコール差別』と、ハッキリさせれば、その改革のため、改善が、より一層、高められていく。

何故、正社員と同じかそれ以上に働き、給料、待遇が違うのか。
それも格差で当たり前か?
違うだろう。

異常な世界は一体、どこからくるのだろうか?

この根本を明確にしなくては、嫌というほど、異常な事件が社会、世界にこれからも勃発することは間違いない。
目を覆いたくなる事件が・・・・・

人間の社会だけなら、なんとか解決する知恵が出てくる。
だが、自然を相手にしては、そう簡単にはいかない。
自然は厳しい。

その厳しさ、怒りを前にした時、人間は、ただ、立ちすくむのみか。

自然をコントールするのも人間だ。
その人間自体が、濁りきった状態で、一体、どんな社会、世界を築いていける、というなのだろうか?

こうした本質なことを今の、政治家どもらは分かっているのか、と疑う。
異常事件が起きるたびに、オロオロ、ワァーワァー騒ぐのみ・・・・

アホ!!か

小説(20)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-18 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
深い底なし沼に引きずまれていく恐ろしさと絶望感で、ケンはもう泣くことから諦めに変わっていた。実際は、足がもう少しで地面に着くのだが、そんなことは分からない。
下が泥で見えないからだ。
だからますます、恐怖心が膨らんでいく・・・・。

それが絶頂に達した時、風の向きが変り、モモとミミの方へ吹いていく。
セリ採りに夢中だった二人は、ふっと頭を上げて、お互いの位置を確認し合っていた。

(あれっ?)モモ
(ケンは?)ミミ

ほぼ同時間にケンの姿をキョロキョロして探した。
いない。
?????・・・・

しばらくケンの姿を田んぼ一面をくまなく見渡していたがいない。
そうすると、何か、声にならない悲鳴が微かに、モモとミミに聞こえてきた。
最初は、二人とも、風の音と思っていたが、それは違う。

(あっ!!・・・ケンちゃんの声だ)モモとミミは田んぼの畦道に上がり、見渡す

遠くに黒い肩から上だけを現している人・・・というより子供が・・
その黒い子供が叫んでいる。
モモとミミは急いでその田んぼに走り寄っていく・・・・

泣きつかれたケンが田んぼの中に。
モモとミミは余りにも、泥まみれのケンの姿が可笑しく、二人とも大笑い。

でも、それもほんのひと時だった。
どうも様子が違う・・・・

「助けてぇ!!」弱々しい声

これでモモとミミは事情を察した。

「ケンちゃん!!・・・・動いちゃダメ!!」モモはそう言って、畦道の方へ走る

ケンは心細く・・・・・
ミミもモモがどこに行くのか?分からない。
そうするとモモが板の端切れを持って、戻ってきた。

「ケンちゃん!!・・これ!!」板を何回か、失敗しながらケンの手の届く位置へ投げる

ケンは投げ入れられた板をたぐり寄せて、少しずつ、上体を移動させて、田んぼに戻っていく。その顔は泥まみれで必死の形相。

「もう少し・・・そうそう・・・ガンバッテ!!」手を指し伸ばすモモとミミ

やっと田んぼの端まで辿り着き、ケンは這い上がってきた。
身体は泥まみれ・・・
上がった瞬間、ヘタヘタと座り込んでしまった。

「よかったー!!」
「だいじょうぶ!?」

ケンは二人の励ましの言葉にも、何も答えられない。
グッタリしていた・・・・・

やっと3人は落ち着いたが、改めて、モモとミミはケンの泥まみれの顔を見て大笑い。
目だけを除いて、ドロドロ。

「ケンちゃん!!・・・川で顔を洗いなさいよ」
「うん、わかった・・・」命拾いして、放心状態で

3人はなんとか、セリとザリガニを持ち、それぞれの家に辿りついた。
セリとザリガニは3等分。

夕方、藍子が戻り、部屋に置いてあるセリとザリガニを見て・・・・

「これ、どうしたの?」
「ママァ・・・今日ね・・・・」昼のことを一部始終話す

「あははははは!!・・・それで、ケンちゃんはどうしているの?」
「服を着替えて、お風呂に入るって!!」
「さぞかし、怖かったんでしょうね・・・はははははは」
「ママぁ・・・そんなに笑うと、ケンちゃん可相そうだよ」
「そうだけど、想像すると可笑しくて・・あはははは」

二人は、モモが採ってきたセリをバター炒めして、食べた。

「モモちゃん・・これ美味しいね」
「うん・・・・」ママにそう言われて、嬉しかった

楽しい、後で振り返れば、懐かしい思い出。

しかし、藍子もモモ自身もまさか、その数十年後には、自分が命を落とす運命とは知らない。それも酷い殺され方をして・・・・・・・。
運命とはなんと酷いことか!!

小説(19)【賞金稼ぎ】著者 高 一

2007-10-17 | 投資、スポーツ、未知の世界、就職
大人の世界がどう動いていても、大抵のことには、子供の世界では関係なかった。
それぞれの世界に住み、それぞれの楽しみ、悩み、ケンカ、夢等々を抱き、時間を費やしていた。本質的には、子供の世界は底抜けに、大人の世界がどうあろうとも、明るかった。

「モモちゃん!・・・田んぼに行かない?」1年2組の幼な友達のミミ
「うん・・・いいよ」そんな話をしている時、同級生のケンちゃんが・・
「おまえら、どこに行くの?」
「あっ、ケンちゃんも田んぼに行く?」ミミ
「いくいく・・・俺、網とってくるよ」そう言いながら、団地の中へ

近くの田んぼに3人は揃っていく・・・・・
モモとミミはセリを積むのが担当
ケンはドジョウ・・・・

田んぼには、セリが面白いように咲、採れる。
それをモモとミミは持ってきたカゴに入れていく・・・・
二人とも最初は、雑談していたが、次第に距離が離れていく・・・・

ケンは小川で網をすくい、ヤゴやザコは逃しドジョウを探していたが、なかなかとれない。でも、ザリガニは面白いように採れた。
まだ、小さい色が赤くなっていないザリガニは逃して、赤く大きなザリガニをバケツに入れて行った。すぐにバケツがザリガニで一杯・・・・

頭を上げて、ケンはモモとミミの姿を追ったが、二人ともセリ摂りに夢中で、もう遠くの田んぼに・・・・・
ザリガニ摂りが終り、いよいよドジョウを今度は採る。

田んぼの中でも、水が溜まっている処を探して、その中に入っていく・・・・
最初は、膝ぐらいだったのが、泥が深くいつの間にか、身体が胸近く沈んでいった。
ケンは無意識に、泥の田んぼから抜け出なくなったことに、恐怖心が出てきた。

(このまま、沈んでいって、出られなくなったら、どうしょう!!)そう思うや・・・

「モモちゃん!!ミミちゃん!!・・助けてぇ!!」叫ぶが、二人は、はるか遠く聞こえない

その内、ズブ、ズブっと身体が不気味に沈む。まるで、恐ろしい生き物が、田んぼの底からケンの足を掴み、底知れない世界へ引きずるような感じ・・・

「助けてぇ!!!」二人はまだ、気がつかない

今度は、ケンは恐怖の絶頂に達し、死に物狂いで、叫びまくる。
それでも、二人はセリ採りに一生懸命で姿がポツンと小さく・・・・

「死ぬう!!・・・・殺される!!??」もう訳の分からない絶叫。それでも、1㎝位動けば動くほど、沈む

「誰かあぁ~!!!」声は泣き声

通り過ぎるのは風の音のみで、それもモモやミミの方向とは別に

「死ぬはイヤだぁ!!????・・まだ、若すぎる!!」

目は泥の手で拭いたせいか、真っ黒。目だけでなく顔いっぱい泥まみれ
黒い泥ので覆われて、目だけが・・・・ギョロリと・・・

「なんでもするから、誰か!!・・・助けてぇ!!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「おこ使いを全部あげるから・・た、す、け、て、ぇ!!」350円のおこづかいしかない。
「・・・・・」
「・・・・・」

ピュー・・・・虚しく風の吹き抜ける音・・・・・

「勉強ちゃんとするから・・・たすけてぇ!!」
「・・・・」
「・・・・」

叫べば叫ぶほど、ズボっと沈む・・・・

「結婚したいから・・・・たすけてぇ!!」おいおいまだ、小学一年だぞ
「・・・・・」
「・・・・・」

「ママァ~!!!・・・・おかぁちゃん・・・・!!」
「・・・・・」
「・・・・・」

聞こえるのはカラスの鳴き声のみ

「ウェ~ん!!」もう泣くしかなかった

涙で、泥に覆われた顔が見るも無残に変化していった。

カラスが・・・・

「アホウ!!・・・アホウ!!」と・・・・・・。