「タコ 500円」は赤く輝き、タコのイメージを浮かべさせる。
ゴールドは、余裕しゃくしゃくとして、赤ワインをグイグイあけていた。
どうも酒には強いらしい。でも、乱れるようなことはなかったが、時折、表情に見せる知的な微笑が、魅力的に藤田を吸い込ませていく。
「ゴールド・・」
「なぁーに」
「つまみ、頼もう!・・焼き鳥、あるかなぁ?」
「なんでもあるわ・・・・セットで頼む?」
「うん、塩で・・・」
2人の姿を第三者が見た時、まるで恋人同士のようだった。
「紙が全く、ないんだね」そう言って、壁のメニューを指差した。
「そうなの、環境を大事にすることで、木の伐採は原則禁止・・・伐採には許可が必要なのね・・あのメニューは電子ビニールで出来ているの・・・・資源の有効利用ね」
「ところで、さっきの話の中で、遺伝子コンピュータと量子コンピュータの実用化で解決した、と、言ったけれど、もう少し、話してくれない?」
「そうね、一人一人が持つ遺伝子は、その人の唯一ものなの・・・それを読み取ることが
出るようになったのね・・・それと、量子コンピュータの組み合わせで、情報を瞬時に解読し、正確な判断が出来るようになったの・・・・だから、私が働いた分は、ちゃんと、二つのコンピュータが、カントしてくれて蓄積されていくの・・・」
「へぇー・・・だから、お金を払わなかったのか?・・・全ての人がそうなの?」
「そうよ・・・働いた分から、飲んだり、買い物したりした分が、自動的に差し引かれるのね・・・カードもお金も要らないのよ」
話しを聞くうちに、藤田は、文明の発達は、ある瞬間、発明、発見されたものから、急速に、飛躍的に文明を進化させるものだ、と感じていた。
それだから、半官半民と、言ったのか、と理解を深めた。そして、ゴールドの金色の目を見つめた。
見つめられたゴールドも、精悍な顔の中にどこか深みのある藤田の顔をじーっと見つめ返した・・・
ゴールドも藤田にいつしか、惹かれていった。