前回の続き。
租税特別措置法 第41条の5
(居住用財産の買換え等がの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)の適用要件はこれだ!
この要件のすべてに該当するあなたは
所得税が安くなるか、還付されるかだ。
(1)所有期間が5年超の日本国内の居住用財産を売ること
この「所有期間」に注意して欲しい。
これは、その財産を買った日から売った日までの期間をいうのではない!
その財産を買った日の翌日から売った日の属する年の1月1日までの期間
をいうのだ。例えば、平成16年7月にマイホームを売ったとしよう。
すると、平成10年12月31日以前に購入したものでないとダメという
ことだ。
「居住用財産」は、マイホームが一番わかりやすいだろう。
(2)平成10年1月1日から平成18年12月31日までの期間内に売ること
この制度は、「租税特別措置法」といって、いわば、「賞味期限付きの
法律」である。現段階では、平成18年12月31日までしかないので
ある。もちろん、延長される可能性はあるので、税制改正をちゃんと
知っておかないといけない。
(3)売る相手は、あなたの配偶者などの特殊関係者に売ってはならない。
この制度の適用を受けたければ、赤の他人に売って頂きたい。売値を
わざと譲渡損がでるように設定できるような相手との取引は認められな
いということである。具体的な特殊関係者の範囲については、専門家に
教えてもらって欲しい。
(4)売った年の前年又は前々年に以下の法律の適用を受けていないこと
①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
②居住用財産の譲渡所得の特別控除
③相続等により取得した居住用財産の買換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
④相続等により取得した居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
⑤特定の居住用財産の買換及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
⑥特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑦居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(今説明して
いる制度ね)
一応、並べてみたが、詳しく知る必要なんかない。要は、上に並べた法律の規定
は、すべてあなたの所得税の負担を軽減してくれるものである。つまり、あなた
にとっておいしい規定というのは、3年に一度、しか適用は受けられないという
ことだ。税理士さん等の専門家は、あなたがこれらの規定を過去に受けたことが
ないかどうかをチェックしなかったらどエラい目に合う!のだ。
(5)一定の期間までに、また居住用財産を買うこと
この制度は、マイホームを買い換えて頂かないと適用がないのだ。
「一定の期限」というのは、売った日の属する年の前年1月1日から売った日の
属する年の翌年の12月31日までの期間である。例えば売った年が平成16年なら
平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に買え!ということだ。
あれ?平成15年1月1日からっていうことは、先にマイホームを買ってから、
売ってもいいのか?そう、それでもいいのだ。
(6)(5)の居住用財産は、ローンを組んで買うこと
申し訳ないですが、今度購入してもらうマイホームについても借金して頂く必要が
あるのだ。借金しなくても買えるあなたには、この制度の適用はできないのだ。
しかも、10年以上のローンを組まないといけない!というオマケ付きだ。
(7)購入した居住用財産に一定の期間内に住むこと
購入してほったらかし!ではダメである。もちろん住んでもらわないといけない。
「一定の期間内」とは、その購入した日から購入した日の属する年の翌年の12
月31日までである。購入した日が平成16年7月1日なら、平成17年12月
31日までに住んで頂きたい。
(8)売り払う居住用財産に土地が含まれるなら、次の点にご注意を
この制度は、売り払う土地の面積が500平方メートルまでしか認められないのだ。
つまり、600平方メートルだと、残り100平方メートルはこの制度の適用が
できないのである。ホント、うるさいでしょ?笑
(9)この制度を受けるための確定申告書や添付書類を提出すること
期限をしっかり守らないとダメである。居住用財産の譲渡損失の計算に関する明細書
などを添付しなければならない。なお、繰越控除は3年間認められるので、その間も
連続して確定申告書を提出しなければならない。
あと、あなたが、所得が3000万円を超える場合は、この規定の適用がないのだ。
あまりお稼ぎになっているあなたに対しては、国は助ける必要もないと考えているわけだ。
以上(1)から(7)までの要件に該当するあなたは、(8)(9)については、
専門家にお任せすればちゃんと計算してもらえる。
自分でなんでもやりたければ、国税庁の確定申告書作成システムに挑戦して欲しい。
システム利用料は、タダである。
次回は、もう一つの制度
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
の適用要件について、いっしょに勉強しよう。
それにしても、わかりやすく説明するって、ホント難しい!