tabinokoのとはずかたり

ネットの辺境でひっそりと、自分の好きなこと ―観劇、旅行、アロマetc― について、つぶやきたいと思います。

VELVET CRAZY NIGHT DINNER SHOW

2013-07-30 21:13:19 | 観劇
 暑い。
 もちろん夏は暑いに決まっている。
 だが、今年は特に暑い気がする。

 そんな猛暑の7月27日、我らが義くん&類くん&TAKAちゃんによるVELVET CRAZY NIGHTのディナショーが東京會館で開催された。
 しかも彼らがプロデュースした食事が饗されるという。
 
 暑かろうが寒かろうが雨だろうが雪だろうが、いかないオバちゃんがいるだろうか。いやいない(反語)。
 しかし、困ったことがあった。
 オバちゃんは、毎晩の晩酌のせいで激太りの太鼓腹はまる服が非常に限られているのである。
 しかもファッションセンスがない。
 すったもんだした揚句、腹をしめつけないAラインの黒地に花柄の地味なシフォンのワンピースを着ていくことにした。
 黒なら少しは痩せて見えるだろうといういやらしい意図丸出しである。
 少しだけしゃれっ気を出してストッキングは黒のラメ、それに黒のエナメルのハイヒールを合わせた。
 バッグは安物のパーティーバッグをなぜか買っておいたので、それを使うことにした。
 安物買いの銭失いが今回ばかりは吉に転じた。

 もうひとつ悩んだのが髪型。
 おばちゃんはいい年してロン毛である。
 年のくせに白髪がないのをいいことに、染めもせず真っ黒なまま、白髪でどうしようもなくなるまで伸ばしてやろうと決めてずるずると伸ばし続け、今は背中の中央を少し超えたあたりまで伸びまくっている。
 仲間由紀絵さんを500倍くらい不細工にしてもらえれば、オバちゃんになる。
 しかし、いくらなんでもディナーショー、ぞろぞろのずるずるで行くのもさすがに気がひけて、美容院でヘアセットとメイクをしてもらった。

 去年の冬のDSの時、初めて美容院でヘアメイクをしてもらい、ちょっとおねえさん、これから御出勤ですか的キャバ嬢メイクになったので、今回もそれを期待していたら、今回担当してくれた美容師さんは、意外にもナチュラルメイクに仕上げてくれたので、ちょっと拍子抜けした。
 美容師さんによって違うのか、着ている服に合わせるのか知らないが実はキャバ嬢メイクを期待していたゆがんだ嗜好の自分に気が付いた。
 年を考えたまえ、自分。

 そんなこんなで、何とかそれらしく装って東京會館へ到着。
 嬉しかったのは、いつもTwitterで親しくしていただいているお嬢さん方にお会いできたことである。
 皆さん、素敵にドレスアップなさっていて、しかもお土産までくださった。
 オバちゃんといえば、見事に手ぶらである。 しかも、いかにもおみやげが入りそうな大きさのサブバッグを偶然とは言え持っていたのが何ともいやらしいではないか。
 もうちょっと人付き合いの機微を学びたまえ、自分。

 さて、食事が始まった。
 オバちゃんの席は、招待券が届いた時は破ってやろうかと思ったくらい後方だったが、なんと会場後方にサブステージが設けてあって、そのすぐ斜め前のテーブルだった。
 ありがとう、義くん、類くん、TAKAちゃん。
 ちゃんと、後方席のお客さんのことも考えてくれたのね。
 そして、何気なく真後ろを向いたら、会場の外の席に新ちゃん、利ちゃん、皓ちゃんんがふつーに座っていたのでびっくりした。(泰ちゃんはいなかった模様。)

 メニューを記しておく。(面倒なので日本語表記で許して下さい。)
 <咲山類セレクション>
 崎山農園より届きました梅を使用したオートブル
 <TAKAセレクション>-
 名古屋名物の八丁味噌でマリネした鴨のミルフィーユと夏のオードブル取り合わせ
 <ベルクレセレクション>
 カリフラワーのクリームグラッセ カレーの香り
 <東山義久セレクション>
 牛フィレ肉のフォアグラ詰めパイ包み焼き プリンスアルベール
 <ベルクレセレクション>
 レアチーズケーキ 崎山農園の梅のシャーベットを添えて
 コーヒー

 ドリンクは、ウイスキー、ビール、ワイン(赤、白)、ソフトドリンク、ベルベットクレイジーナイトスペシャルカクテル(アルコール、ノンアルコール)

 これが、嘘偽りなく美味しかった。
 私は梅干が嫌いである。
 だが、梅料理は全部梅干くささがなく、いい酸味が出ていたし、特にカリフラワーのクリームグラッセがさっぱりしてとても美味しかった。
 
 左隣に座られたかわいらしいお嬢さんが話しかけてきた。
 「お一人ですか?」
 はい、たいてい一人行動が多いオバちゃんで、どこへでもふらふらと出かけていきます。
 一人カラオケも思う存分飲めて好きです(何かが違う。)
 お嬢さんの話し声がかわいらしくて、愛らしいもの好きのオバちゃんは、途端に相好を崩して、いつものごとくべらべらと喋りだした。
 お嬢さんは、オバちゃんと同じくDのファン歴が短く、それまでは主にヅカのファンだったそうである。
 オバちゃんもヅカを観に通っていた時期があるが、何しろオバちゃんだから、一番新しい記憶が和央ようかさんと花總まりさんの『ベルばら』なのが、悲しいところである。
 お嬢さんは、当然もっと若い方が好きらしいが、一生懸命オバちゃんに話を合わせてくださって、お陰でとても楽しい食事時間を過ごすことができた。
 
 これだけは言っておかねばと、「あのぅ、私、ものすごく飲兵衛なので、がんがん飲みますけど、どうぞ気になさらないでください。」と告白したら、テーブルの皆さんが、「あら、私も。」「私も結構飲むんですよ。」と言いだし、2人で1本しかくれないビールを2本、3本と頼み始めたのには笑ってしまった。
 オバちゃんはビールと膀胱の相性が大変悪いので、カクテル2杯、白ワイン3杯、赤ワイン2杯でやめておいた。
 なぜか私達のテーブルには、ポーターさんがちっともまわってこず、いらいらして手をあげて「すみませーーーん!白ワイン下さい!」と叫ぶ姿ははやDSではなく居酒屋のそれである しまいには、何も頼んでいないのに、わざわざ赤ワインを持ってきてくれた。

 さて、長々とした前置き、大変失礼しました。
 肝心のショーの始まり。
 いつもの『VELVET CRAZY NIGHT』が始まり、後方から3人が走って登場。
 あっという間に前方ステージへ行ってしまったので、すぐ見えなくなってしまった。
 衣装は白いタキシードだったような気がするが、まるっきり覚えていない。(よく見えなかったし。)
 多分、あと3年後くらいに急に思い出すだろう。 
 次に、2曲ほど新曲らしき曲を歌ってくれた。
 夏らしい曲だった記憶はあるが、何しろこの後のメイン・イベントですべてがすっ飛んでしまったので、思い出せないのである。
 突如、聴き慣れたイントロが!
 そう、レミゼのABCカフェのシーンである。
 義くんがアンジョルラスとなって歌いだしたのである!
 2005年に初めて観た時は、綺麗だけどリーダーとしては線が細くて、声はいいが音程が微妙に揺れて、革命シーンではつも違う意味で手に汗を握らせてくれた義くんが、堂々と革命のリーダーとなっているのだ。
 もちろん音程もバッチリ、やや低めの力強い朗々とした声、堂々としたリーダー然とした姿。
 途端に涙が出てきた。
 何て成長してくれたんだろう、オバちゃん、感激なんてもんじゃないよ。
 そして類くんがマリウス、TAKAちゃんがグランテールという垂涎ものの光景が目の前で繰り広げられている。
 類くんのカフェソング、情感たっぷりで美しい声。
 容姿も綺麗で柔らかな線がマリウスにぴったり。
 やはり、もったいない。
 外部ミュージカルで主要な役を演じてほしい。
 オバちゃんの野望を、ぜひ近いうちにかなえてね。
 TAKAちゃんはオバちゃんの神ソング『彼を帰して』を高音で見事に歌いきってくれた。
 オバちゃんにとって、『彼を帰して』はキーヨ(今井清隆さん)の歌で、キーヨが一番なのは譲れないけれど、この前のライブの時の『On My Own』といい、本来はロック命のTAKAちゃんがレミゼの曲を心を込めて大切に歌い上げてくれるのが胸を打つ。
 ぐすぐす泣いていたらMCが始まった。
 何だか漫才師が「ど~も~、こんばんは~!」と言っているみたいで余韻が吹っ飛んだ途端、非常によろしくない感覚が襲ってきた。
 そう、尿意である。
 飲んで食べて、お嬢さんと喋っていたために、事前にトイレに入っておかなかったのである。
 どうしよう、後半もつか・・・・・・・・・・・・・無理だ。
 MCの今しかない!にょ~い、どん! 
 オバちゃんは猛ダッシュでトイレへ走り、帰りに後方に座っているDメンの方々に何故か会釈をし、席に戻った。
 幸い、まだMCは続いていて、質問コーナーになっていた。
 内容はさっぱりおぼえていないが、後方へ来てくれて、何やらものまねをやっていた。
 多分、あと3年後くらいに急に思い出すだろう。 
 それから、類くんが歌いながら、客席をぬって後方に来てくれた時、ちょうど目の前を通ったので、ちょっと手を出したらタッチしてくれた。
 いつも思うのだが、目はしっかり前方を見ているのにどうして直前に手をのばされたとわかるのだろう。
 やはり彼らは魚眼レンズの持ち主に違いない。
 TAKAちゃんは、私達のテーブルの直前で曲がってしまい、タッチできなかった。
 リーダーは一直線に駆けてきたのでちょっと手をだしたらお腹に当たってしまった。
 ごめんなさい、邪魔だったでしょう。
 なんだかこんなことを書いていたらおさわりバーのおやじになった気分になってきた。
 私は変態だが、決してストーカーではないし、節度をもって地味に応援しているので決して誤解しないでほしい。
 こうして、楽しい素敵なDSは終わった。
 この後、飲み友達のお嬢さんと当然酒を飲みつつ、いかにDがかっこいいかを語り尽くしたことは言うまでもない。

 来月はDのDSがある。
 それまでには何とか痩せて、もう少し綺麗になって(誰も見ていないのに)、ついでにもう少しいい席で楽しみたいな。

Bad Cocktails voi.1『爛れた熱情』

2013-07-05 20:40:48 | 観劇
 利ちゃんと皓ちゃんの2人芝居。
 荻田浩一氏の書き下ろし脚本。
 『爛れた熱情』という題名。
 ひょっとして・・・とぼんやり思ってはいた。

 その数日前から、私は職場の上司と同僚がホモ関係だと見抜き、同じく見破っていた友人の太鼓判ももらい、もーほーだ、もーほーだと(心の中で)騒ぎ、生温かく観察していた。
 40代の美しさの欠片もないおっさんと還暦を迎えるこれまた美しさの欠片もないおっさん同士の恋愛。
 観察はすれど、感動はしなかった。
 決定的な要素―耽美さ―がなかったのである。

 さて、話は戻って『爛れた熱情』である。
 最初に皓ちゃんが登場し、優しい笑顔で「ハルキさん・・・」と呼びかけた瞬間に、ああ、ホモだ、神様これは私への贈り物でしょうかと思った。

 まあ、別に誰がホモであろうとその人達の人生や人格を否定する気は全く無いのでホモ話が1つや2つ増えようが何とも思わないが。
 

 セットは薄い舞台幕の奥にピアノが1台だけ。生演奏だ。時折録音が入る。
 上手に赤いソファが1つ、下手に普通の椅子が1つというシンプルなもの。

 話は、兄トウヤの死後、3回忌を過ぎても全く姿を見せないで別荘にこもり続けるハルキのもとをトウヤの弟シュウヤが訪れる場面から始まる。
 最初はぎこちななく近況話から始める2人。
 だが、やがて詳細が明らかになってくる。
 トウヤとハルキは「友達という言葉が一番合っている気がする」関係だった。
 そして、2人で毎年、ハルキの別荘へ休みを過ごしに来ていた。
 3つ年下のシュウヤは2人を慕っていつも2人の後を追っていた。
 2人と同じ高校へ進み、同じ大学へ入学した。
 1度だけ3人で別荘へ来て過ごしたこともあった。
 しかし、その数年後、トウヤはある雨の夜、別荘のすぐそばの切り立った崖から下の県道へ転落死した。
 それ以来、ハルキは葬式にも3回忌にも姿を見せない。
 心配したシュウヤはハルキを連れ戻しに来たのである。

 「ハルキさん、俺、兄さんとハルキさんと同い年になったよ。」
 だが、ハルキの悲しみは癒えず、精神安定剤に頼る日々だった。
 「そうだな、トウヤに似ている、顔、腕、身体・・・」憔悴したハルキがシュウヤに触れる。その手の動きが控えめでありながらとてもエロティックだ。
 「だが、トウヤじゃない!」

 話は、それぞれの独白を挟んで進んでいく。
 ハルキとトウヤは高校時代から単なる友情を超えた仲だった。いわゆるホモセクシュアルであったのだ。
 自分のすべてであったトウヤを失った悲しみが決して消えることはない。

 シュウヤは2人の関係を知っていた。
 ハルキを思いながら、実は兄トウヤとも道ならない関係だった。

 最初は、ハルキを労わっていた優しいシュウヤの顔が、だんだんと険しくなり、ハルキを責め立てていく。
 「どうして兄さんはあんな雨の夜に外へ出てすぐそばの崖から落ちた?兄さんはあんたをいつもいたぶって、苦しめて、楽しんでた!あんた知らされたんだろう?兄さんが結婚しようとしていたって!」
 「俺が突き落としたというのか!違う!俺はやっていない!確かにトウヤはいつも俺をいたぶって楽しんでいた。確かにあの日、俺は『結婚式には来てくれるよな』と言われた。だが、俺はショックのあまり寝室に鍵をかけて安定剤を飲んで眠ってしまった。」
 そして、また安定剤を飲み意識朦朧となる。

 赤いソファの上で眠るハルキの傍らでシュウヤが語りだす。
 「兄さんはハルキさんも俺をもいつもいたぶって苦しんでいる姿を楽しんでいた。婚約を告白しに言ったあの日、俺は兄さんの跡をこっそりつけた。そして、あの崖の上で、俺は兄さんを突き落とした・・・」

 ハルキとシュウヤはサディスティックなトウヤに振り回されても愛していた。
 おそらくトウヤもサディスティックな愛を2人に抱いていたはずだ。

 だが、そのサディスティックな鎖を断ち切って結婚と言う普通の安定を得ようとした時、2人からの報復を受けたのだ。

 シュウヤは自分をトウヤと思って欲しいと懇願するが、ハルキはどうしてもトウヤを断ち切ることができない。
 どんなに顔形が似ていても、トウヤとは違う。
 「駄目なんだよ、シュウヤ。お前はトウヤじゃないんだ。」とハルキはナイフをシュウヤに向ける。

 そこでいきなり歌いだしたから椅子から転げ落ちるかと思った。
 芝居だけじゃなかったのか。
 悪くはないけど、本当に歌が必要だったのかと思うと正直疑問だ。

 結局、つきつけられたナイフはその後どうなったのかわからないまま物語は終わる。
 いかにも荻田さんらしい終わり方だなと感じた。

 いろいろ想像してみた。
 ナイフを向けられたシュウヤは微笑んでいた。
 ハルキはナイフに自分の思いのすべてを込めていた。
 おそらくハルキはシュウヤを刺したか無理矢理シュウヤがハルキの手を取って自分にナイフを突き立てただろう。
 そして刺されたシュウヤは、そのナイフを抜いてハルキを刺したんじゃないか。
 つまり心中して3人の関係を清算したのではないかと思う。

 なにはともあれ"Bad Cocktails"第1弾のお話としてはよかったと思う。
 なによりも2人の演技の上手さに引き込まれたし、こういう題材を利ちゃんと皓ちゃんに演じさせたのが良かったと思う。

 なぜなら、義くんだと美し過ぎて生々し過ぎるし、新ちゃんと泰ちゃんは体の芯から放たれる明るさが合わないし、類くんもいいけどもうベルベットをやっているし、TAKAちゃんはこういう題材とは合わない違う暗さがある。

 健康的な利ちゃんと皓ちゃんにあえて、同性愛をいう素材を与えたことで、彼らの違った一面、可能性を観ることができた。
 何よりも現実の私の知るホモより耽美だったし(キスシーンもあった。ほんの少しだったけれどきれいだった。)、結論がはっきりしないことで物語の余韻が倍増した。

 本編後のトークショーでひっかきまわされて、余韻が吹っ飛んだ気がしないでもないが、だんだんとおぼろげになっていく記憶を今、書き残しておこうと思う。