嬉しい大誤算だった。
私は、今回の主役、安蘭けいさんも河村隆一さんもまったく知らない。
ただただゲストで出演する義くんのために(私にとっては)大枚をはたいて、「どうせ、2曲くらいしか歌わないだろうに、私も馬鹿だな。」と思いつつ東京と名古屋公演へ行った。
ふたを開けてみると、ゲスト扱いどころか、ほぼ主役の2人と同じ扱い。
しかも、大好きなAKANE LIVさんも出演しているではないか。
コーラスとダンスで登場した本当にゲスト扱いの2人も、多分結構ミュージカルに出演している人達だ。顔に見覚えがあった。
セットは舞台裏らしき乱雑に物が散らばっている場所。そこへ、何と最初に登場したのが我らが義くん。
まず上手のライトをセットし、口笛をふきながら今度は下手にライトをセットする。
義くんの口笛が上手いとは聞いていたが、本当に上手くてびっくりした。低音から高音まで自由自在、何とビブラートまでつけるのだ。
歌うとビブラートをつけられないのに、口笛だと何故できるのか、世界の七不思議だ。
そして、セットが完了すると、いよいよ舞台の始まり。
舞台中央の階段からスターが登場する。曲は”Another Openin'”と”Coming Up Roses”。
全員が登場して華やかな幕開け。ハーモニーがとても美しい。
そして、それぞれの簡単な挨拶。和気あいあいとしているというか、自由奔放というか、気取っていなくて感じがいい。
安蘭さんも河村さんも、ざっくばらんで面白い人柄が出ていて、初めての私もとても好感がもてた。
そして、安蘭さんと河村さんの"Luck Be A Lady”へ。
2人で会話をしながら歌へ入っていくのだが、この会話が毎回面白かった。
しかも、河村さんが安蘭さんへ椅子を持ってきてくれるのだが、何と自分が座ってしまうのだ。この時の安蘭さんのずっこけぶりが上手くて、2人とも息ぴったりだなあと感心した。
安蘭さんが歌った後、雰囲気ががらっと変わって流れてきたイントロは、何と"Bling Him Home"!
正直言って、河村さんの声質はバルジャンに合っていない。ファルセットも不安定にかすれていた。
でも、私は泣けて仕方がなかった。
―神様、私はやがて歳をとり死にます。でもこの息子のような若い彼には未来があります。私の代わりに、どうか彼を家へ帰してください。―
歌詞にこめられたバルジャンの思いが伝わってきて感動した。
もちろん私が一番好きなミュージカルが『レ・ミゼラブル』だったこともあるけれど、神にささやくように、そして力強く訴える河村さんの歌に心揺さぶられた。
続いて、またレミゼから、今度は義くん&AKANEさんの"A Little Fall of Rain”。
2人とも熱唱していたが、レミゼを20回以上観慣れた私からすると、正直なところAKANEさんはエポニーヌには大人っぽく色っぽ過ぎ、義くんにマリウスは似合わなかった。マリウスの優柔不断さがなく、凛としていて、やはりアンジョルラスタイプなのだ。
興味深かったのは、今までのマリウスたちは、死にゆくエポニーヌを必死でこの世に引き止めようとしているのに対し、義くんは、まもなく訪れるエポニーヌの死を受け入れつつ最期の瞬間までそばにいてあげるよと言っているような解釈をしているように見えたことだ。
その後、”CICAGO"や”スウィートチャリティ”などから大人っぽくて粋で艶っぽいナンバーが続いた。
安蘭さんと河村さんが歌。義くんとAKANEさんはダンスを披露。
ダンスの女性3人は、当然セクシー衣装なのだが、悲しいかな、どうしてもAKANEさんの抜群のスタイルが際立って目立ってしまい目が釘付けになった。歌う2人に目もくれずAKANEさんの見事な8頭身、妖艶な笑顔、ボン・キュン・ボンの見事な曲線美、長ーい脚に見惚れていた。
そして、義くん。ただ、1人の男性であるにもかかわらず、セクシーさで女性陣に全く引けをとらない。大澄賢也さんの振付もとても合っている。
全身から漂う妖艶な色気、美しい手足の動き、やはり両性具有的だ。
特に、名古屋公演では最前列で観られたので、視線の妖しさから息遣いまで生々しくて息をするのを忘れていたくらい力が入った。
ちょっと大人なメドレーの後は、男性陣のソロコーナーへ。
目玉は何といっても義くんのソロ"Electricity"!
オーディションを受けに来た少年が、緊張のあまり萎縮してしまい、「本当の自分を出してごらん」と言われて、歌い踊るナンバー。
白いシャツをはだけ、ズボンのすそもたくしあげ、髪をぼさぼさにして、舞台狭しと歌い踊る義くん。
私が義くんファンになった『眠れぬ雪獅子』のテンジンの自由さ、おおらかさを彷彿とさせる。
かごの中で脅えていた鳥が、解き放たれ、自由に大空を飛ぶ。そんな喜びを感じた。
階段から大ジャンプをして「I'm free!」と叫ぶ義くんは、本当に夢に向かって飛ぶ少年そのものだった。
この作品、舞台化してくれないかな。もちろん義くん主演で。
そして、河村さんはファントムへ変身。クリスティーヌはAKANEさん。
この『オペラ座の怪人』もすごくよかった。
河村さんの怪人がとてもいい。
私の理想の怪人はキーヨ(今井清隆さん)だけど、隆一怪人もありだなと思った。
AKANEさんが河村さんと溶け合い、「歌え、私のために!」という怪人の声に操られてどんどん歌い上げていく。すごい迫力、最後の高音の高いこと!4オクターブの声をもつというけれど、本当にすごい。(低音も大好き!)
AKANEさんがソロ曲を歌い、女性陣のコーナーへ。
2人の会話がAKANEさんのぼけぼけに安蘭さんがつっこんで、本当に仲が良くて微笑ましい。
デュエット"For Good"もその2人の絆が表現されていた。
安蘭さんと河村さんがそれぞれ歌い、全員が登場してレントから"Seasons of Love"。
レントで涙した感動が蘇る。
全員がすごくいい笑顔で歌い、聴衆も幸福になる瞬間。
そして、安蘭さんと河村さんがデュエットをしてSUPER DUETSはジ・エンド。
でも聴衆がそれで許してくれるわけがない。
アンコールの拍手とともにもう一度出演者が登場し、"Seasons of Love"を歌ってくれる。最期に簡単なあいさつをして(でも面白い)出演者は舞台袖へ戻っていく。
でも、聴衆は物足りない。再びアンコールの拍手とともに安蘭さんと河村さんが登場し、短いけれども楽しいお話をして今度こそ本当に終幕。
本当に楽しくて、「ミュージカルっていいな!」と改めて思わせてくれる素晴らしいコンサートだった。
そもそも義くん目当ての下心で行ったはずだった私が、この6人でまた再演して欲しいと思うくらいに。
安蘭さん。さすが元宝塚男役トップ。素晴らしい張りのある力強い声。高音も低音も自由自在にあやつる歌唱力。
河村隆一さん。私はLUNA SEAを知らないし、その後ソロ活動をしていたことも知らなかった。ただ、最近舞台に出ていることを耳にしただけだ。
正直言って、こんなに歌がうまいとは思わなかった。もっとロックシンガー特有の喉を締めあげるような高音で歌うのかとおもっていた。 ところが、オペラ風に歌い上げたり、時にはミュージカル風にと、幅が広い。嬉しい驚きだった。
AKANE LIVさん。前から好きだったが、このコンサートで大ファンになって、ファンクラブに入り、アルバムもDVDも大人買いした。美貌と才能を両方もつ稀有な人だ。元宝塚だったのを知ったのは最近だ。どうして辞めたのかは知らないが、このあまりにも日本人離れした美し過ぎる容姿では、ちょっと宝塚では難しいと思う。(宝塚ファンの人ごめんなさい。)もちろんばっちり踊れるし歌える。これからも舞台で活躍してほしい。LIV MOONのライブに一度行ってみたい。
そして義くん。この仕事を最初は即断ったらしいが、受けてくれて本当によかったと思う。義くんは、他の人と自分の実力差に気のりがしなかったようだが、出演しようと決めた後は相当努力したのだろう。全然負けていなかった。
「あの人、踊れるし、いい声ねえ。」と周囲の人たちが話しているのを何回も聞いた。容姿、踊りは文句なし。存在感もある。華があってとにかく目立つ。歌もここ数年本当に上達したと思う。音域は広がり、声もよく伸びる。ビブラートができないのが不思議でならないが、ミュージカル界での地位を着々と築いていると思った。
義くんが、私の大好きな今井清隆さんや、ザ・ミュージカル山口祐一郎さんや、大重鎮市村正親さんや鹿賀丈史さんのようになる日がくるのが楽しみでならない。
私は、今回の主役、安蘭けいさんも河村隆一さんもまったく知らない。
ただただゲストで出演する義くんのために(私にとっては)大枚をはたいて、「どうせ、2曲くらいしか歌わないだろうに、私も馬鹿だな。」と思いつつ東京と名古屋公演へ行った。
ふたを開けてみると、ゲスト扱いどころか、ほぼ主役の2人と同じ扱い。
しかも、大好きなAKANE LIVさんも出演しているではないか。
コーラスとダンスで登場した本当にゲスト扱いの2人も、多分結構ミュージカルに出演している人達だ。顔に見覚えがあった。
セットは舞台裏らしき乱雑に物が散らばっている場所。そこへ、何と最初に登場したのが我らが義くん。
まず上手のライトをセットし、口笛をふきながら今度は下手にライトをセットする。
義くんの口笛が上手いとは聞いていたが、本当に上手くてびっくりした。低音から高音まで自由自在、何とビブラートまでつけるのだ。
歌うとビブラートをつけられないのに、口笛だと何故できるのか、世界の七不思議だ。
そして、セットが完了すると、いよいよ舞台の始まり。
舞台中央の階段からスターが登場する。曲は”Another Openin'”と”Coming Up Roses”。
全員が登場して華やかな幕開け。ハーモニーがとても美しい。
そして、それぞれの簡単な挨拶。和気あいあいとしているというか、自由奔放というか、気取っていなくて感じがいい。
安蘭さんも河村さんも、ざっくばらんで面白い人柄が出ていて、初めての私もとても好感がもてた。
そして、安蘭さんと河村さんの"Luck Be A Lady”へ。
2人で会話をしながら歌へ入っていくのだが、この会話が毎回面白かった。
しかも、河村さんが安蘭さんへ椅子を持ってきてくれるのだが、何と自分が座ってしまうのだ。この時の安蘭さんのずっこけぶりが上手くて、2人とも息ぴったりだなあと感心した。
安蘭さんが歌った後、雰囲気ががらっと変わって流れてきたイントロは、何と"Bling Him Home"!
正直言って、河村さんの声質はバルジャンに合っていない。ファルセットも不安定にかすれていた。
でも、私は泣けて仕方がなかった。
―神様、私はやがて歳をとり死にます。でもこの息子のような若い彼には未来があります。私の代わりに、どうか彼を家へ帰してください。―
歌詞にこめられたバルジャンの思いが伝わってきて感動した。
もちろん私が一番好きなミュージカルが『レ・ミゼラブル』だったこともあるけれど、神にささやくように、そして力強く訴える河村さんの歌に心揺さぶられた。
続いて、またレミゼから、今度は義くん&AKANEさんの"A Little Fall of Rain”。
2人とも熱唱していたが、レミゼを20回以上観慣れた私からすると、正直なところAKANEさんはエポニーヌには大人っぽく色っぽ過ぎ、義くんにマリウスは似合わなかった。マリウスの優柔不断さがなく、凛としていて、やはりアンジョルラスタイプなのだ。
興味深かったのは、今までのマリウスたちは、死にゆくエポニーヌを必死でこの世に引き止めようとしているのに対し、義くんは、まもなく訪れるエポニーヌの死を受け入れつつ最期の瞬間までそばにいてあげるよと言っているような解釈をしているように見えたことだ。
その後、”CICAGO"や”スウィートチャリティ”などから大人っぽくて粋で艶っぽいナンバーが続いた。
安蘭さんと河村さんが歌。義くんとAKANEさんはダンスを披露。
ダンスの女性3人は、当然セクシー衣装なのだが、悲しいかな、どうしてもAKANEさんの抜群のスタイルが際立って目立ってしまい目が釘付けになった。歌う2人に目もくれずAKANEさんの見事な8頭身、妖艶な笑顔、ボン・キュン・ボンの見事な曲線美、長ーい脚に見惚れていた。
そして、義くん。ただ、1人の男性であるにもかかわらず、セクシーさで女性陣に全く引けをとらない。大澄賢也さんの振付もとても合っている。
全身から漂う妖艶な色気、美しい手足の動き、やはり両性具有的だ。
特に、名古屋公演では最前列で観られたので、視線の妖しさから息遣いまで生々しくて息をするのを忘れていたくらい力が入った。
ちょっと大人なメドレーの後は、男性陣のソロコーナーへ。
目玉は何といっても義くんのソロ"Electricity"!
オーディションを受けに来た少年が、緊張のあまり萎縮してしまい、「本当の自分を出してごらん」と言われて、歌い踊るナンバー。
白いシャツをはだけ、ズボンのすそもたくしあげ、髪をぼさぼさにして、舞台狭しと歌い踊る義くん。
私が義くんファンになった『眠れぬ雪獅子』のテンジンの自由さ、おおらかさを彷彿とさせる。
かごの中で脅えていた鳥が、解き放たれ、自由に大空を飛ぶ。そんな喜びを感じた。
階段から大ジャンプをして「I'm free!」と叫ぶ義くんは、本当に夢に向かって飛ぶ少年そのものだった。
この作品、舞台化してくれないかな。もちろん義くん主演で。
そして、河村さんはファントムへ変身。クリスティーヌはAKANEさん。
この『オペラ座の怪人』もすごくよかった。
河村さんの怪人がとてもいい。
私の理想の怪人はキーヨ(今井清隆さん)だけど、隆一怪人もありだなと思った。
AKANEさんが河村さんと溶け合い、「歌え、私のために!」という怪人の声に操られてどんどん歌い上げていく。すごい迫力、最後の高音の高いこと!4オクターブの声をもつというけれど、本当にすごい。(低音も大好き!)
AKANEさんがソロ曲を歌い、女性陣のコーナーへ。
2人の会話がAKANEさんのぼけぼけに安蘭さんがつっこんで、本当に仲が良くて微笑ましい。
デュエット"For Good"もその2人の絆が表現されていた。
安蘭さんと河村さんがそれぞれ歌い、全員が登場してレントから"Seasons of Love"。
レントで涙した感動が蘇る。
全員がすごくいい笑顔で歌い、聴衆も幸福になる瞬間。
そして、安蘭さんと河村さんがデュエットをしてSUPER DUETSはジ・エンド。
でも聴衆がそれで許してくれるわけがない。
アンコールの拍手とともにもう一度出演者が登場し、"Seasons of Love"を歌ってくれる。最期に簡単なあいさつをして(でも面白い)出演者は舞台袖へ戻っていく。
でも、聴衆は物足りない。再びアンコールの拍手とともに安蘭さんと河村さんが登場し、短いけれども楽しいお話をして今度こそ本当に終幕。
本当に楽しくて、「ミュージカルっていいな!」と改めて思わせてくれる素晴らしいコンサートだった。
そもそも義くん目当ての下心で行ったはずだった私が、この6人でまた再演して欲しいと思うくらいに。
安蘭さん。さすが元宝塚男役トップ。素晴らしい張りのある力強い声。高音も低音も自由自在にあやつる歌唱力。
河村隆一さん。私はLUNA SEAを知らないし、その後ソロ活動をしていたことも知らなかった。ただ、最近舞台に出ていることを耳にしただけだ。
正直言って、こんなに歌がうまいとは思わなかった。もっとロックシンガー特有の喉を締めあげるような高音で歌うのかとおもっていた。 ところが、オペラ風に歌い上げたり、時にはミュージカル風にと、幅が広い。嬉しい驚きだった。
AKANE LIVさん。前から好きだったが、このコンサートで大ファンになって、ファンクラブに入り、アルバムもDVDも大人買いした。美貌と才能を両方もつ稀有な人だ。元宝塚だったのを知ったのは最近だ。どうして辞めたのかは知らないが、このあまりにも日本人離れした美し過ぎる容姿では、ちょっと宝塚では難しいと思う。(宝塚ファンの人ごめんなさい。)もちろんばっちり踊れるし歌える。これからも舞台で活躍してほしい。LIV MOONのライブに一度行ってみたい。
そして義くん。この仕事を最初は即断ったらしいが、受けてくれて本当によかったと思う。義くんは、他の人と自分の実力差に気のりがしなかったようだが、出演しようと決めた後は相当努力したのだろう。全然負けていなかった。
「あの人、踊れるし、いい声ねえ。」と周囲の人たちが話しているのを何回も聞いた。容姿、踊りは文句なし。存在感もある。華があってとにかく目立つ。歌もここ数年本当に上達したと思う。音域は広がり、声もよく伸びる。ビブラートができないのが不思議でならないが、ミュージカル界での地位を着々と築いていると思った。
義くんが、私の大好きな今井清隆さんや、ザ・ミュージカル山口祐一郎さんや、大重鎮市村正親さんや鹿賀丈史さんのようになる日がくるのが楽しみでならない。