シドニーの風

シドニー駐在サラリーマンの生活日記です。
心に映るよしなしごとをそこはかとなく書き綴ります…祖国への思いを風に載せて。

シドニー近郊の街(1)Artarmon

2008-11-03 21:32:42 | シドニー生活
 ノース・シドニーにArtarmonという、ちょっと地味な町があります。
 隣町のChatswoodという、如何にも賑やかそうな名前の町は、チャイナタウンと噂されるほど中国人が多く、平屋や低層マンションが一般的なノース・シドニーにあっては場違いなほど派手目の高層マンションがいくつか建ち並び、駅前にはWestfieldの巨大なショッピングモールもあって、いつも賑わっています。また別の隣町のそのまた隣のNorthbridgeというちょっと澄ました響きの名前の町は、東京マートというシドニー随一の日本食料品店があったり、鳥居先生という日本人のお医者様が開業していらして、日本人御用達の街として有名です。そんな町に挟まれた格好のArtarmonという、なんだか下町の風呂屋の三助か木っ端役人の使用人のような名前の町は、如何にも霞んでしまいそうですが、なかなかどうして、Artarmonの駅を降りて目抜き通りとは反対側の、裏口と行った方が判りやすいところに、小さいながら日本食料品店があり、ラーメン屋があり、また古本屋があり、さながらリトル・トーキョーだかミニ日本人街のようで(と言うと大袈裟過ぎて、実際には数軒固まってあるだけ)、私的には大ヒットであります。
 ここの古本屋は、勿論、大きくはありませんが、日本から持ち込んだりシティの紀伊国屋で仕込んだ和書を売ってはまた別の古本を買い求めるなどして、使いまわしが出来るので重宝します。勿論、小さいだけに期待通りの本がある保証は何もなく、こんな鄙びたところで期待する方が土台無理というものですが、諦め半分でぶらっと立ち寄ると、意外な本に出会って、これはこれで幸せだったりします。
 先日、見つけたのが阿川弘之さんの「山本五十六」でした。以前から、それこそ10数年来、いつか読みたいと思っていた海軍提督三部作「米内光政」「山本五十六」「井上成美」の一つで、中古にしては比較的きれいで擦り切れた風ではなかったので、つい買い求めてしまいました。新潮文庫上下二巻で5.4ドル。感想はいずれ紹介したいと思いますが、日本にいるのと大いに違って、基本的に日本語に飢えていますので、週末にじっくり本を読む時間を取るようになるのは海外駐在員に共通の傾向だそうで、まさに海外ならではのささやかな喜びと言えます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿