ここ数日、天安門事件20年について書こうとして、忙しさにかまけてぐずぐずしている内に、妙なニュースが飛び込んで来ました。鳩山さんが韓国を訪問され、李明博大統領と会談し、まるで次の選挙では政権交代を実現して、自分が次期総理大臣になるかのような図々しいパフォーマンスだったようです。クリントン国務長官が野党党首(当時の小沢さん)と会談したいと申し入れたのは、麻生さんにとって屈辱的ではあったにせよ、相手あってのことであり仕方ありませんが、今回は野党の党首が、日本は今は政局不安定ですがとわざわざ他国にのこのこ出かけて暴露しているようなもので(実際にはアメリカはじめ皆そう思っているので、追認したに過ぎないですが)、日本国の体面を考えない軽率な行動(端的に言うと、何故、今のタイミングで?)は、私には俄かに信じられません。
余計なことを言わなければ良いがと思っていたら、ちょっとアブナイ場面がいくつかあったようです。
一つ目は歴史問題に関して。過去を直視する勇気を持つ、すなわち一部には過去の侵略行為や植民地化を美化する風潮もあるが、私たちはそのような立場は取らない、私たちは過去の歴史を直視する勇気を持っている、と李大統領に大見得を切ったのだそうです。勇気をもつのは勝手ですが、いや、それは勇気と言うより、国民の代表である政治家が自国の歴史に対する正当な評価を行なえない、やや偏向した無責任さであり(と偏向扱いすると、その逆もまた真、すなわち偏向になってしまいますが)、歴史観ですら国益の手垢にまみれる(特に東アジアの)国際政治の現実に目をつぶる純情さが仇にならなければ良いがと思うのですが、結果として国益の観念が稀薄な野党根性が抜けないとするならば、李大統領としても、野党党首の言うことで話半分としたか、あるいは将来やりやすくなるだろうとほくそ笑んだことでしょう。こういった軽はずみな発言は、日本の叡智を結集した官僚をバックにした政権党ではあり得ないことであり(別に官僚を弁護するつもりはありません、半分はイヤミです、ケネディ政権時代を描いた“The Best and the Brightest”という本がありました)、逆に組織的しがらみがない野党に欠ける危うい点であり(村山談話もそうでしたね)、日本国の将来がちょっとおもんばかられる点でもあります。
二つ目は、鳩山さん持論の友愛の精神に関して。友愛精神が戦争ばかりしていたフランス、ドイツを最終的に戦争のないEUという組織にまで高めた、東アジアにおいてもそれが決して不可能ではないと考えている、まず日本と韓国が協力していくことが大変重要で、そこに中国も仲間に入り、必要なら米国に仲間に入ってもらい、東アジアの共同体、アジア太平洋の共同体構想が重要な発想だという持論を、李大統領に披露したのだそうです。理念としては結構で、恐らく総論で反対する人は少ないと思いますが、現実の対応が難しいから、苦労が絶えないのです。つい最近も、北朝鮮の核実験の際に日本と北朝鮮の関係を、フランスとドイツの関係に例えたようですが、もし北朝鮮を他の三ヶ国と同列に扱っているとしたら、ちょっとその無神経さを疑います。表向きの議論としてはともかく、裏でちゃんと本音の議論が出来ているのか。評論家じゃあるまいし、まさか政治家に現実的な視点がないとは思いたくもなく、これもまた野党根性の危ういところです。
そして三つ目、李大統領が「鳩山代表は日韓関係や在日韓国人問題で進んだ認識を持っている」とにこやかに語りかけた場面で、大統領としては、定住外国人への地方参政権付与に賛同している鳩山さんから何らかの言質を引き出そうとしたのではないかと産経新聞がコメントしていました。鳩山さんの会談後の答弁によると、在日参政権については直接的な会話はなく、李大統領からは、在日韓国人に対して大変理解を示してくれていることに有難うという言葉があっただけ、ということのようですが、将来、政権党として国家運営の進路を決めていく立場を覚悟されるのであれば、くれぐれも慎重にと願いたいですね。
保守本流のご先祖様を仰ぐ政治家一家の四代目にあたり、深慮があってのことだと思いますので、私の下衆なコメントはこのあたりで控えます。
余計なことを言わなければ良いがと思っていたら、ちょっとアブナイ場面がいくつかあったようです。
一つ目は歴史問題に関して。過去を直視する勇気を持つ、すなわち一部には過去の侵略行為や植民地化を美化する風潮もあるが、私たちはそのような立場は取らない、私たちは過去の歴史を直視する勇気を持っている、と李大統領に大見得を切ったのだそうです。勇気をもつのは勝手ですが、いや、それは勇気と言うより、国民の代表である政治家が自国の歴史に対する正当な評価を行なえない、やや偏向した無責任さであり(と偏向扱いすると、その逆もまた真、すなわち偏向になってしまいますが)、歴史観ですら国益の手垢にまみれる(特に東アジアの)国際政治の現実に目をつぶる純情さが仇にならなければ良いがと思うのですが、結果として国益の観念が稀薄な野党根性が抜けないとするならば、李大統領としても、野党党首の言うことで話半分としたか、あるいは将来やりやすくなるだろうとほくそ笑んだことでしょう。こういった軽はずみな発言は、日本の叡智を結集した官僚をバックにした政権党ではあり得ないことであり(別に官僚を弁護するつもりはありません、半分はイヤミです、ケネディ政権時代を描いた“The Best and the Brightest”という本がありました)、逆に組織的しがらみがない野党に欠ける危うい点であり(村山談話もそうでしたね)、日本国の将来がちょっとおもんばかられる点でもあります。
二つ目は、鳩山さん持論の友愛の精神に関して。友愛精神が戦争ばかりしていたフランス、ドイツを最終的に戦争のないEUという組織にまで高めた、東アジアにおいてもそれが決して不可能ではないと考えている、まず日本と韓国が協力していくことが大変重要で、そこに中国も仲間に入り、必要なら米国に仲間に入ってもらい、東アジアの共同体、アジア太平洋の共同体構想が重要な発想だという持論を、李大統領に披露したのだそうです。理念としては結構で、恐らく総論で反対する人は少ないと思いますが、現実の対応が難しいから、苦労が絶えないのです。つい最近も、北朝鮮の核実験の際に日本と北朝鮮の関係を、フランスとドイツの関係に例えたようですが、もし北朝鮮を他の三ヶ国と同列に扱っているとしたら、ちょっとその無神経さを疑います。表向きの議論としてはともかく、裏でちゃんと本音の議論が出来ているのか。評論家じゃあるまいし、まさか政治家に現実的な視点がないとは思いたくもなく、これもまた野党根性の危ういところです。
そして三つ目、李大統領が「鳩山代表は日韓関係や在日韓国人問題で進んだ認識を持っている」とにこやかに語りかけた場面で、大統領としては、定住外国人への地方参政権付与に賛同している鳩山さんから何らかの言質を引き出そうとしたのではないかと産経新聞がコメントしていました。鳩山さんの会談後の答弁によると、在日参政権については直接的な会話はなく、李大統領からは、在日韓国人に対して大変理解を示してくれていることに有難うという言葉があっただけ、ということのようですが、将来、政権党として国家運営の進路を決めていく立場を覚悟されるのであれば、くれぐれも慎重にと願いたいですね。
保守本流のご先祖様を仰ぐ政治家一家の四代目にあたり、深慮があってのことだと思いますので、私の下衆なコメントはこのあたりで控えます。