
桜かずきワールドが、いきなり冒頭から炸裂します!
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北風が吹き荒れる中、コートの裾を手で押さえながら駅へと急いでいた平山優亜《ひらやまゆうあ》は、目もまともに開けられぬまま、感覚だけで道を歩いていた。
こんな日に友人と約束してしまった事を、ひどく後悔した。だが、小学校時代からの友人である片瀬百合《かたせゆり》との約束だ。すっぽかしたなら、後からどんな嫌味を言われるか分からない。付き合いも長い分、互いには言いたい放題の二人だった。
(失敗した……。こんな日にスカート穿くなんて……)
顔を顰めながら、優亜は心の中でぼやいた。
手を離したら、一気に舞い上がってしまいそうなスカート。公衆の面前で下着を晒す事になるのは目に見えている。
こんな時、思う事は一つだった。
――もっと可愛い下着でも着けておくべきだった……と。
(百合と会うくらいで、下着までオシャレしないし……)
心の中で呟いて、更に険しく顔を顰めながら、もうすぐ着くであろう駅へと急いだ優亜だった。
一度足を止めて、風に背を向け目を開けた優亜は、辺りの景色を眺めて駅までの距離を確かめる。もう直ぐで着くなと、もう一度向かい風に向かって足を一歩出した時、物凄い突風に煽《あお》られ、優亜は短く悲鳴を上げて再び足を止めた。
その時だ。
いきなり優亜の背中に誰かが立った。それに気付いて慌てて振り向いた優亜は、見知らぬ男に目を見開いた。
男は、腕で自分の顔を風から守りながら、険しい顔をして優亜と目を合わせてきた。そして息を吸ったかと思うと……、
「こんな日に、ピラピラしたスカートなんて穿いてんなっ!! バカ!!」
と、怒鳴りつけた。
いきなり怒鳴りつけられて目を丸くした優亜は、長身の男を見上げながら瞬き繰り返す。あまりにいきなりで、状況を把握できずに放心していると、裾を押さえていた手が一瞬緩んだ。
「やっ……!?」
「テメェッ馬鹿だろっ!!」
ブワッと一瞬で舞い上がったスカート。そのスカートを男が慌てて下ろして、優亜の腰周りを抱き締めた。
(ちょっ……、手っ……手ぇっ!? お尻触ってるって!!)
スカートを押さえてくれているのはいいが、丁度お尻の下で手を組んでいる。それが優亜の羞恥を限界にした。
「あのっあのっ!! だっ……大丈夫だから! すいませんでした!!」
思い切り男の胸を押し返して走りだした優亜。必死に裾を押さえながら、駅まで全速力で走りぬけた。
残された男は、風を腕で遮りながら、サッサと逃げた優亜の姿を見送る。ただ、その表情は呆れたように瞼が落ちていた。
「……前だけ押さえりゃいいってもんじゃねーっつのよ……」
押さえている前は勿論無事だが、後ろは見事にスカートが翻っていた。
(純白って、意外と萌えかもしれねぇ……)
思わずニヤケそうになる口元を押さえた男、二ノ宮要《《にのみやかなめ》は、同じく駅に向かって歩き出した。
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(「Thank you!」より)
ふりマン!フリちん!!でも平気、っていう肝っ玉でないと、
こんなステキな男女は、描きたくても描けませんねぇ。
桜かずきワールドの真骨頂です。
フリちん、ふりマンなんて、あたしには無理無理っていう人も、
ありがとう、サンキュー、と横目で見てみると、人生面白いかも。
編集部のパソコンの、この作品のフォルダネームは、「パンツ女」、です。
作品タイトルは、桜かずきさんが付けた『Thank you!』ですが、なにか問題でも?
連載が始まりますので、応援よろしくお願いします。
編集部
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北風が吹き荒れる中、コートの裾を手で押さえながら駅へと急いでいた平山優亜《ひらやまゆうあ》は、目もまともに開けられぬまま、感覚だけで道を歩いていた。
こんな日に友人と約束してしまった事を、ひどく後悔した。だが、小学校時代からの友人である片瀬百合《かたせゆり》との約束だ。すっぽかしたなら、後からどんな嫌味を言われるか分からない。付き合いも長い分、互いには言いたい放題の二人だった。
(失敗した……。こんな日にスカート穿くなんて……)
顔を顰めながら、優亜は心の中でぼやいた。
手を離したら、一気に舞い上がってしまいそうなスカート。公衆の面前で下着を晒す事になるのは目に見えている。
こんな時、思う事は一つだった。
――もっと可愛い下着でも着けておくべきだった……と。
(百合と会うくらいで、下着までオシャレしないし……)
心の中で呟いて、更に険しく顔を顰めながら、もうすぐ着くであろう駅へと急いだ優亜だった。
一度足を止めて、風に背を向け目を開けた優亜は、辺りの景色を眺めて駅までの距離を確かめる。もう直ぐで着くなと、もう一度向かい風に向かって足を一歩出した時、物凄い突風に煽《あお》られ、優亜は短く悲鳴を上げて再び足を止めた。
その時だ。
いきなり優亜の背中に誰かが立った。それに気付いて慌てて振り向いた優亜は、見知らぬ男に目を見開いた。
男は、腕で自分の顔を風から守りながら、険しい顔をして優亜と目を合わせてきた。そして息を吸ったかと思うと……、
「こんな日に、ピラピラしたスカートなんて穿いてんなっ!! バカ!!」
と、怒鳴りつけた。
いきなり怒鳴りつけられて目を丸くした優亜は、長身の男を見上げながら瞬き繰り返す。あまりにいきなりで、状況を把握できずに放心していると、裾を押さえていた手が一瞬緩んだ。
「やっ……!?」
「テメェッ馬鹿だろっ!!」
ブワッと一瞬で舞い上がったスカート。そのスカートを男が慌てて下ろして、優亜の腰周りを抱き締めた。
(ちょっ……、手っ……手ぇっ!? お尻触ってるって!!)
スカートを押さえてくれているのはいいが、丁度お尻の下で手を組んでいる。それが優亜の羞恥を限界にした。
「あのっあのっ!! だっ……大丈夫だから! すいませんでした!!」
思い切り男の胸を押し返して走りだした優亜。必死に裾を押さえながら、駅まで全速力で走りぬけた。
残された男は、風を腕で遮りながら、サッサと逃げた優亜の姿を見送る。ただ、その表情は呆れたように瞼が落ちていた。
「……前だけ押さえりゃいいってもんじゃねーっつのよ……」
押さえている前は勿論無事だが、後ろは見事にスカートが翻っていた。
(純白って、意外と萌えかもしれねぇ……)
思わずニヤケそうになる口元を押さえた男、二ノ宮要《《にのみやかなめ》は、同じく駅に向かって歩き出した。
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(「Thank you!」より)
ふりマン!フリちん!!でも平気、っていう肝っ玉でないと、
こんなステキな男女は、描きたくても描けませんねぇ。
桜かずきワールドの真骨頂です。
フリちん、ふりマンなんて、あたしには無理無理っていう人も、
ありがとう、サンキュー、と横目で見てみると、人生面白いかも。
編集部のパソコンの、この作品のフォルダネームは、「パンツ女」、です。
作品タイトルは、桜かずきさんが付けた『Thank you!』ですが、なにか問題でも?
連載が始まりますので、応援よろしくお願いします。
編集部