記事の一部にネタバレを含んでいます。ご了承ください。前回は、能年さんの美しさについて書かせていただきましたが、
今回は、コミカルな演出について触れさせてください。
ネット上の感想を見た印象では、コメディの要素は全くない暗い映画、と思っていましたが、
なかなかどうして、あちこちにクスッと笑えそうな描写が数多く散りばめられています。
菊池の小屋に上がり込んだ美由紀。矢継ぎ早に語りかけますが、菊池は口数も少なく、挙句は逃げるように小屋から出て行ってしまいます。
一人取り残された美由紀は、居づらそうにきょろきょろ、そわそわ。
「動物は殺したら食べられる。人間は殺したら捕まるけど。……冗談だよ。」菊池がまさかのブラックジョークをかますのですが、美由紀には通じなかったみたいで、
あたりは静まり返り、鳥の鳴き声だけが響いています。
美由紀に友人が無理矢理ついてきて、小屋の前で無言で立っています。呆気にとられた菊池が、美由紀を見つめたまま固まっている様子が可笑しいです。
小屋の前で魚（？）を焼きながら、「人とうまく話ができなくて」と打ち明ける美由紀に
「俺も人だけど」ととまどう菊池。
「そうですね」と菊池の顔を覗き込む美由紀
菊池、「鹿とおんなじか？」
無骨な菊池が、冗談を言ったりツッコミを入れたり、美由紀にだんだん心を開いていく様子が、
コミカルでしかもとても興味深いです。
ちなみにこのあと美由紀は、
『そう言えばどうしてなんだろう』という感じで菊池の顔をあらためて見直し、
素直に話が出来ている自分がちょっとうれしくなったのか、
かすかに笑みを見せます。
細やかな感情の変化が見事に出せているシーンだと思います。ユーモラスなシーンは他にもまだいくつかあるのですが、僕の感性がおかしいのかな？
でも、語り出すと切りがないので、今日はこの辺で。
(^^ゞ
