諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

霞沢岳

2014年01月04日 | 雪山
霞沢岳
 
ルート:霞沢岳西尾根
日時 :12月28~30日
メンバー: Ktoさん、U山、K鍋夫妻(試)
 
年末に西尾根から霞沢岳に行ってきました。
寒波のため、頂上からの大展望は得られませんでしたが、
適度な悪天とラッセルに程よい冬山の刺激を味わいました。
 





28日
 雪
 
この朝、諏訪組はK鍋車で出発し新島々のセブンイレブンでKtoさんと合流。
そこから坂巻温泉まで行って駐車する(¥500/日)。
寒波の小雪が舞う中、寒さに震えながら荷分けを済ませ、そこから車道を歩いて約40分で釜トン入り口に到着。補導所に計画書を提出して釜トンの暗闇に歩を進める。















<釜トン入り口>

漆黒の闇に点在する位置表示の照明をたよりに歩くこと約30分で出口に到着。
前回、冬の釜トンを歩いた約10年前はトンネルを出た後に少し登りが残っていたが、
今回はほぼ登り切るところまでトンネルが延長されていて、その分、雪道の登りが減ったので楽になったように感じた。


<釜トン出口>

坂を下り、砂防工事事務所入り口を右に折れると間もなくして西尾根に上がるトレースを発見。
ありがたくトレースを辿り、尾根筋に乗ってからワカンをつける。


<ワカン装着>

尾根筋には結構急な斜面があって、ラッセルの苦闘ぶりが感じられたので、直に先行パーティーに追いつくだろうと思っていたが一向にその姿は現れない。
 
12時をまわり、大きな急斜面を2つほど超えたところで、幕営予定地の2000m付近の平坦地に到着。
丁度、先行の二人組パーティーがテントを張っているところで、彼らのお陰で、今日は随分と楽ができた。トレースのお礼を言ってその一段下にテントを設営する。
しばらくすると、3人パーティーが登ってきたが、彼らは更に上に登って行った。
 
この晩の炊事は100均グッズが大活躍。折り畳み漏斗、折りたたみ水筒は以前からのおなじみだが、それらに加えて、今回はシリコーンおたまを試してみたところ、おたま部分を潰して運べるのでなかなか具合が良い(当然、おたまとしての機能も問題なし)。
その他の100均グッズとしては洗濯ネットを整理袋として使ってみたりしたが、その気になって探せばまだまだ色々と山で使えるものが見つかりそうだ。


<100均グッズ>

この晩は一晩中上空を強風が吹き抜ける音がして、寒い夜であった。
 
坂巻温泉 7:20 ~ 釜トン入り口8:00 ~ 西尾根取り付き9:10 ~ 2000m付近テン場12:20
 
 
29日 晴れのち雪
 
昨晩の天気予報で、この日は午後から冬型が強まるとの事だったので、(一応)計画書に記載しておいた南尾根縦走は中止して西尾根をピストンすることにする。
 
が、テントの外に出てみると、予想外の好天で、昨日は風雪のカーテンで見えなかった焼岳や穂高の稜線が木の間越しに見え隠れする。
 
テン場から急斜面を一登りすると昨日の3人パーティーがテントをたたんでいるところで、その先から3パーティーが相前後しながらのラッセルとなる。
時折現れるトラバースや急斜面は息が上がる全力ラッセルとなるが、それ以外は意外と雪が少なくてスムーズに標高を稼ぐことができた。


<樹林帯>

核心部の岩場手前まで登ると樹林の背も低くなり、季節風が吹き抜ける尾根筋にはナイフリッジが形成されていて、いよいよ冬山らしい雰囲気になってきたが、空模様は悪い方に進んでいて、先ほどまで見えていた焼岳や穂高の稜線は寒気に伴う笠雲の中に入りつつあった。


<ナイフリッジ>

核心部とされる岩場は、安全を見て上部の雪稜も含めて3Pロープを出したが、岩場というよりは、急峻な斜面といったほうが正確で、足並みの揃ったパーティーなら登りにロープは不要である。
ちなみにラッセルを一緒にやった3人パーティーは時間切れのためか岩場手前から下山し、彼らに代わってこの日初めて見る2人組が後続してきた。
 
雪稜を抜けた平坦地は風が強く、ここでKto-K鍋旦那ペアを待っていたらK鍋妻が寒さを訴えたので防寒着を着てもらう。
後で話を聞いたら、行動中は終始寒さがつきまとっていていつリタイアを申し出ようかと悩んでいたとか。この日、K鍋夫妻はともに、ビレイの静止時間や風に対して、防寒の点ではかなり貧弱なレイヤリングだったようで、これは、それをチェックし忘れた我々ベテラン組のミスでもある。こういった経験者が当然のこととして実践しているノウハウ部分については、経験の浅いメンバーがどういう状態にあるか注意深く観察しなければならないと感じた次第である。


<核心部を抜けたところ>

ロープを解いたあとは、強風の吹き抜ける岩混じりの広い尾根筋を辿ること約20分ほどで頂上に到着。


<頂上手前>

あいにく頂上はガスの中。廻りを見回しても白一色で何も見えなかったが、この強風の中よく頑張ったねと皆で握手を交わす。


<頂上>

下りは岩場の下降で先行パーティーが詰まっていて30分ほど待たされる。
3月のS原さん達はここをロープをつけずに下ったとのことだが、雪の少ないこの時期は懸垂で下るのが無難だと思う。岩場最上部のハイマツの懸垂支点から50mダブルいっぱいで安定したコル状まで下る。
懸垂支点のハイマツの枯れ木は、かなりぐらぐらしていて怪しげな状態なので、今後行く人はそれなりの備えをしていったほうがいいだろう(我々はバックアップをとって様子をチェック)。


<岩場の下降>

下りながら眺める南尾根は長くラッセルもきつそうで、それなりの心構えがないとトレースは難しそう(今回は西尾根ピストンで正解)。逆に言えば、ラッセルを楽しみたい向きには好ルートになるかもしれない。
 
2100m付近には、この日上がってきたパーティーのテントが二つほどあったが、トレースがなければそこまで上がるのは夕暮れ間近になるだろう。
3月にS原さん達が張ったJP上の地点というのも多分ここいら辺なのだろうと思う。
 
テント帰着は15:50。
K鍋夫妻はラッセル、冬のロープワーク、強風と初めてづくしの一日にもかかわらず、よく頑張ったと思う。この日の行動で冬山のいろいろな要素を体験できたと思うので、その経験を次の山登りに活かしてもらいたい。そうすれば、今回の山行はその目的をほぼ達成できたと思います。
 
テン場7:00~頂上12:00~テン場15:50
 
 
30日 雪のち晴れ
 
今日は、下るだけなので好きなだけ寝ていようということで目を覚ましたのが7時半。
朝食と撤収をゆっくり済ませ、さあ下ろうと歩き出そうとしたら今朝下を出たパーティーが上がってきた。ずいぶん早いですねと時計を見ればすでに10時前。少しゆっくりしすぎたかなと下り始めたら1時間もしないうちに西尾根取り付きに到着。どうりで昨日のピストンが長かったわけだ。
 
今日も天気はパッとしないが、林道に出るころから青空が顔をのぞかせて、それをバックにした焼岳が美しかった。


<焼岳>

そこから先も調子よく下り、坂巻温泉に昼前に到着。
日程、行動ともコンパクトにまとまった良い山行でした。
 
テン場9:50~取り付き10:40~坂巻温泉11:50


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1 コメント

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Unknown (S原)
2014-01-08 18:54:27
3月と違って年末は雪が不安定そうで、ラッセルあり強風ありで冬山らしくて良いですね~。K鍋さん夫妻、寒かったでしょうが、これに懲りずにご一緒しましょう。
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