短めで日付ギリギリですが、いい夫婦の日話。
冬の兆しのひんやりとした空気も、自分をしっかり抱きかかえているあたたかな腕の中までは入って来られない。焚き火にあたるよりも、日だまりに佇むよりも、もっともっと癒しと生命力に満ち溢れたぬくもりをくれるこの場所。ミミは、より濃い陰影と煌めきを湛える瞳で、その腕と体の主の、愛しい者の顔を見つめた。
カーテン越しの淡い明かりが、彼の寝顔をほのかに照らしている。その精悍な顔は今、安らぎと慈しみに満ちていた。最愛のものを抱いている者に特有のその表情は、彼が生きてきた千の倍以上の歳月の峻厳や苦悩もひととき削ぎ落として、無垢な少年の頃の面影さえ垣間見せた。
心から安堵している。大切な宝物が、無事に自分の中にある。それが凄く幸せで堪らない。そんな寝顔を見つめていたら、いつも心配をかけてばかりなことにちくりと心が疼いて、ミミはイザヤールの肩口に、いっそう頬をすり寄せた。
自分ではそんなつもりは無いけれど、無茶ばっかりしちゃってごめんなさい。・・・でも、何があっても絶対、最後まで諦めたりしないから。あなたが永久に逢えないところに行ってしまったと思っていた、心が半分死んでしまったようなあの日々でさえも、あなたは私の光だった。あなたの遺してくれた思い出、あなたの背中を追っていた日々の思い出が、悲しみの中でも、私に道を踏み外さず生きる力をくれた。・・・そんな光であるあなたのところに、絶対に戻るんだからと思っていれば、どんな危機も頑張って切り抜けられる、大きな力になるんだから・・・。
ミミは、そろそろと顔を上げて、彼を起こさないようにそっと、唇に唇で触れた。するとイザヤールは、微睡み状態だったのか、いっそう彼女をきゅうと抱きしめ、眠っている者特有のいくらか不明瞭な声で呟いた。
「大丈夫だ・・・何があっても、おまえを守る・・・」
ミミは花が開くように微笑み、間もなく彼女もまた、幸福と安堵に満ちた寝顔になった。〈了〉
冬の兆しのひんやりとした空気も、自分をしっかり抱きかかえているあたたかな腕の中までは入って来られない。焚き火にあたるよりも、日だまりに佇むよりも、もっともっと癒しと生命力に満ち溢れたぬくもりをくれるこの場所。ミミは、より濃い陰影と煌めきを湛える瞳で、その腕と体の主の、愛しい者の顔を見つめた。
カーテン越しの淡い明かりが、彼の寝顔をほのかに照らしている。その精悍な顔は今、安らぎと慈しみに満ちていた。最愛のものを抱いている者に特有のその表情は、彼が生きてきた千の倍以上の歳月の峻厳や苦悩もひととき削ぎ落として、無垢な少年の頃の面影さえ垣間見せた。
心から安堵している。大切な宝物が、無事に自分の中にある。それが凄く幸せで堪らない。そんな寝顔を見つめていたら、いつも心配をかけてばかりなことにちくりと心が疼いて、ミミはイザヤールの肩口に、いっそう頬をすり寄せた。
自分ではそんなつもりは無いけれど、無茶ばっかりしちゃってごめんなさい。・・・でも、何があっても絶対、最後まで諦めたりしないから。あなたが永久に逢えないところに行ってしまったと思っていた、心が半分死んでしまったようなあの日々でさえも、あなたは私の光だった。あなたの遺してくれた思い出、あなたの背中を追っていた日々の思い出が、悲しみの中でも、私に道を踏み外さず生きる力をくれた。・・・そんな光であるあなたのところに、絶対に戻るんだからと思っていれば、どんな危機も頑張って切り抜けられる、大きな力になるんだから・・・。
ミミは、そろそろと顔を上げて、彼を起こさないようにそっと、唇に唇で触れた。するとイザヤールは、微睡み状態だったのか、いっそう彼女をきゅうと抱きしめ、眠っている者特有のいくらか不明瞭な声で呟いた。
「大丈夫だ・・・何があっても、おまえを守る・・・」
ミミは花が開くように微笑み、間もなく彼女もまた、幸福と安堵に満ちた寝顔になった。〈了〉
いらっしゃいませこんばんは☆浄化と微笑ましい頂きました!ありがとうございます☆
今回イザヤール様サイドの心理描写出していませんが、彼の方も同じ想いとのご慧眼、嬉しいです♪
ほわわ〜、感謝と愛を籠めて薔薇の花を贈るというだけでもロマンチックなのに、本数にもきちんと意味が籠められていて、しかもその意味をお互いにきちんと知っているなんて・・・!さすがお二人、ステキすぎますです、もう〜☆
おおお、その上なんとお二人の幸せ未来エピソードまで!!きっといい意味で変わっていないであろうますます仲良しなお二人の様子と、ものすごいラブラブっぷりにちょっぴり呆れながらも暖かく見守っているお子さんたちのほのぼの情景が目に浮かびます♪
本数にもここまでそれぞれ細かく意味があるなんて、ほほう、勉強になるなあ☆二人の薔薇の本数を合わせて意味が完成というのがなんてしゃれているのでしょうvvv
イザヤール「何でも今日は日頃の感謝や愛の言葉を込めて薔薇を贈る日と云われてるそうなんだ。いつも言葉や態度で表してはいるが、たまにはこういうのも良いのではと思って買ったんだが受け取ってくれるか?」(5本の薔薇の花束を差し出す)
女主「まあ!ありがとうございますっ。………イザヤール様は薔薇の本数の意味をご存じなのかしら(ボソッ)」
イザヤール「うん?何か言ったか?」
女主「いいえ。では来年からは私も薔薇を贈りますね」
十数年後のいい夫婦の日
イザヤール「女主」(10本の薔薇の花束を差し出す)
女主「ありがとうございます。では私も」(花束を受け取り、イザヤールに1本の薔薇を渡す)
イザヤール「1本の薔薇…。『あなたしかいない』だったか」
女主「あら。よく分かりましたね」
イザヤール「あれから毎年贈っているからな。それにお前から貰う花の本数がいつもバラバラだから何か意味があるのかと思ってちゃんと調べたさ」
女主「ではあなたと私の薔薇、合わせたらどうなるか分かります?」(イザヤールの手にある薔薇と自分の薔薇をそっと重ねて笑いかける)
イザヤール「『最愛』、だろう」
女主「ふふ、正解です」
女主達のやり取りを少し離れた場所から見つめる子供達
(母さん達本当に仲いいよね…。サンディねえさんの話だと恋人のときからこんな感じだったらしいけど)
(両親が仲いいのは嬉しいことだけど…。世間でいう熟年夫婦のはずなのに、なにこの新婚夫婦みたいな甘酸っぱい空気)
ちなみに薔薇の本数での意味は
1本→あなたしかいない,一目惚れ
5本→あなたに出会えた事の心からの喜び
10本→全てがいとおしい
11本→最愛
となってます。