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One Step ~ 橋本新企画公式ブログ

36)赤羽の片隅から~無料弁当雑記

5/13(木)

無料弁当44個+お菓子+乾パンなどの非常食などを21:30から出して23:00頃に弁当完パケ。非常食は残アリ。小雨降る夜。弁当つくり隊のうち何名かは取りに来られない高齢のホームレスの元へ配達に行った。その他のスタッフに弁当配布を任せ、私は一昨日の夜と同じように路上脱出第一号の彼を探しに、夜の街へ出た。

路上脱出第一号の彼(ニュース映像の最後にアパートが決まったと報告に来た彼)は、しばらく顔を見ていない。酒びたりになっているという目撃情報アリ。支援者によると、ケースワーカーと病院に行く約束を数回すっぽかし、保護費のほとんどを酒に溶かしたという話。

警告が出ていて、数日後までに自分で病院を予約し、行かなければならない。数日あるとはいえ、タイムリミットは近い。支援者から「今夜めぐりやに来る予定なので、見かけたら連絡下さい」とメールがあったが30分経過しても来ない。半月ほど前に街で遭遇したスタッフに、何故来ないか問われた彼は「情けなくてあわせる顔が無い」と言った。

彼のアパートの窓は暗かった。目撃情報のあった近くの公園や近所のコンビニを探すも見当たらない。彼の立場になって考える。金が無いはずなので、繁華街で飲んでいることは考えにくい。ダメ元で、アパートに戻って、部屋を訪問することにした。カーテンの無い窓は相変わらず暗い。

階段を上がり、チャイムを鳴らしてみると、ドタバタと動く音。ドアが開くと寝起きのような姿の彼。久々に会うことができた。「あっ、テツオさん…」「早く着替えて、店に行きますよ」「自分、体調が悪くて…」「いいから着替えて」待ちあわせのことなど全く覚えていないよう。店までの道すがら近況を聞く。酒を買う金すら無く、食事もとっていない。

「自分はダメな人間です」「ダメでもいいですけど、食事をとらないと力出ないですよ」「…はい」家に食料も無く、水を飲んで生きてきたと言う。以前に公園で見知らぬ方に物乞いをしていたのを聞いているので、どこまで事実かは分からないが、確かに体調は悪そうに見える。店に連れ帰り、支援者と面談。病院に行く日が決まった。

「お願いがあります、入浴券もらえませんか?」数日後に病院に行く際に、清潔にしておきたいのだと言う。必ず病院へ行くことを約束して、一枚あげることにした。弁当とお菓子をセットした袋を渡し、明日からまた弁当を取りに来るよう伝えて別れた。何度も裏切られてきた。その度に何度も心配し、何度も助けてきた。

「そんなヤツ、ほっとけばいいんだよ」と元ホームレスのばぁちゃんは厳しく突き放す。(口では厳しく攻めながらも、彼女は実は誰よりも面倒見がよく、優しい)

彼は「悪い」のでは無く「弱い」のだ。弱った人が必死にもがいている途中なのだ。私以外のスタッフも、弁当を配るだけでなく、幾人かの方と交流し関わり始めている。私たちは困窮者支援の専門家では無いし、知識があるわけでもない。時間的にも、金銭的にも、飲食店にできることは限られているが、今後も困っている方の心に寄り添っていきたい。



(5/14のTwitterより 一部修正)
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