末廣正美デザイン事務所

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日当山侏儒どん物語(1)

2011-11-08 13:46:34 | 侏儒どん物語
「カラスとキジ」★カラスも使い方次第
 当時、日当山にはたくさんのカラスがいました。田畑を荒らしたり鶏の卵を盗んだり、しまいには庭先においてある作物までも被害が出てしまうほどで、村人はほとほと困り果てていました。
 そこで、侏儒どんさあに相談しました。
「侏儒どんさあ、カラスを退治するよか方法を教えてください」
「このままだとカラスが増えて、被害がひどなる一方です」
「なんと、カラス退治とな!ふーむ・・・そしたらな、ドンコビッ(カエル)を沢山捕まえることだな」
「え!ドンコビッですか?」
「そうじゃ、どっさい(沢山)捕るんだ!」
 侏儒どんに言われたとおり、村人たちは肥タゴ(桶)に数杯捕まえ、それを囲炉裏で干ぼか(火にあぶる)して焼酎瓶にいれ、ドンコビッの焼酎漬けを作りました。
 侏儒どんは出来たドンコビッの焼酎漬けを、カラスが悪さする畑にばらまくように指示を出しました。
 すると、大きな松の木やら隣の杉林とどこからともなく黒いカラスの集団が表れ、ドンコビッの焼酎漬けをどんどん食べ始めました。
 半時ぐらいたつと、カラスがあっちにころり、こっちにころりと転がっています。「かかれ!今だ!」侏儒どんの声がかかると、田んぼの畦に隠れていた村人たちが一斉に攻撃を仕掛け捕まえてしまいました。
 焼酎漬けを食べたカラスは酔っ払って動けなくなっていたのです。
「侏儒どんさあ、おかげさあでずん杯とれもした。もうこれでカラスも悪さはしないと思います」
 明日から安心して野良仕事ができると、ニコニコ顔で喜び合いました。
「ところで、このカラスのことですが、どうしたらいいでしょうか?」と、またしても村人たちは侏儒どんに相談しました。
「そのカラスをわしに全部くれぬか」
「あんだけのカラスをどげんなさるおつもりですか?」
「港市場に売りにいこう!」
「誰もこうもんはおりませんよ」
「欲張りで悪知恵がはたらく者が大勢いる所ですよ」
 侏儒どんは、かねてから港市場の町では品物を高く売り付けたり、あくどい事を働いたりと悪い評判を聞きつけていました。
「おまえたち!事を成すには自信と誇りと勇気を持て、という教えを知っているか。自信と誇りと勇気のうち、どれがないのじゃ」
「へえ、その三つともありません」
「なに!三つともないのか、こりゃ、やっせんぼ(意気地なし)だな」
 そんならわしが、カラス売りの自信をさずけるからと作戦会議をはじめました。
 秋晴れの澄みきったある朝、村人は侏儒どんに教わったように、青竹の先にキジ鳥をくくりつけ、ぶら下げました。
 カラスは一羽ずつワラづと(藁を編み物を包むようにしたもの)に包んで皆で手分けして持って出かけました。
 港市場に着くと、欲張りな商人がいる店通りを
「カラスはいらんかね!まるまる肥えたカラスはいらんかね!安くしとくちゃわ!」と大きな声で回りました。
 すると、キジ鳥をぶら下げた村人の一行を見つけた欲張りそうな商人が言いました。
「あのカラス売りはキジをカラスと言っているが少し馬鹿じゃないのか。よし、安くで買い取ってやろう」
「どこの人か知らないが、そのカラスはいくらだい!」
「はい、安いですよ!十文ですが」
「それは安い、買った、買った」と言ってキジを取ろうとしました。
「先に、お代をいただきます」と言ってお金を受け取り、ワラづとの中からカラスを取り出して渡しました。
 商人は驚いて言いました。
「これじゃないぞ、わしは青竹に下がっているのを買ったんだ」
「いいえ、これはキジという鳥ですよ」
「あなたは、カラスはいくらだ、安い、買った」と言われましたね。
 欲張り商人は「しまった!」と思ったがもう遅かったのでした。
 侏儒どんはこの「キジとカラス」の話を、お殿様にも、侏儒どん宅を訪れる人々にもよく語っていました。
 その度に「わたしは悪知恵を働かせとか、案内に用心しろとか、他人を疑えとか言っているのではありません。ただ、自分で考える人間、自分が信じるものを正しく選び、それを主張する勇気のある人間になりなされと言っているのです」と語ったといいます。


 10月のウォーキングの距離は262,948歩で約158kmになりTOTAL8,349kmとなりました。
米国本土に到着するにはまだまだです。
今、夢の中でイルカの伴走を受けたりクジラに出会ったりしています。

建築士と建築家

建築士と建築家は基本的に違います。