私小説 続・ファミリーストーリー(青春自衛隊)
(登場人物・場所などはすべて架空です)
(画像はCopilot による架空の合成イメージ)
あらすじ(ファミリーストーリーから):
向田久美(むこうだ くみ、75歳)の孫(向田淳平:むこうだ じゅんぺい、19歳)は、ふと立ち寄った金座古書店(きんざ こしょてん)で何気なく買った古い統計学の本の著者(三名金作:さんな きんさく)が、お祖母ちゃん(久美)の父であり、淳平の曽祖父(ひいじいちゃん)であることを知った。
そして、
淳平は自分のヒストリーに興味を覚え、久美お祖母ちゃんの語る曽祖父が生きた昭和の平凡な一庶民の青春を知ることになった。久美お祖母ちゃんがアトリエと呼ぶ台所の食器棚兼書棚には“永久保存”の札の貼ってある父の著書が数冊あった。
ある休日に奈々子が、
“お義母さんの永久保存の札が貼ってある本の中に、こんな革張りの手帳があったよ・・”と言って、久美の前に差し出した。
いきなり、久美がその手帳をひったくった・・、
奈々子
あっ・・!
と驚いたような奈々子の表情に、久美はハットしたように、
あっ・・ごめんね・・、お父さんの秘蔵版なんよ・・。
奈々子
お義母さんにも秘密があるんじゃね?
久美
そりゃ~、お互いにあるじゃろう・・
奈々子
私には秘密なんか・・ないけんね・・
久美
良彦(奈々子の夫)に知られたくないこともあるじゃろう・・?
奈々子
そりゃ・・
そこへ、2階から淳平が降りてきて、“なにゆうとん・・”、
久美
ひいじいちゃんの“手帳”が出てきたんよ・・、
淳平
大学の図書館で調べたら、“三名金作”の本が何冊かあったで・・、パラパラと見ただけじゃけど・・「統計で最も美しい分布はNormal Distribution(正規分布)」だと強調しとったわ。
久美
統計学に、ちょっとは興味あるん?
淳平
まだ先のことは、ようわからんわ・・
と言って、2階の自分の部屋に上がっていった。
入れ替わるように、父である良彦が2階から降りてきて、
夏休みが長くとれそうじゃわ
奈々子
じゃ~、奈良の大峰山に行かない・・?
良彦
俺の車で行くか・・、
奈々子
私は登れんのじゃろ・・?
良彦
降りてくるまで、洞川(どろがわ)を観光しときんさい・・
奈々子
え~、一人になるん・・、
良彦
2~3時間で降りてくるから・・ええじゃろ・・?
奈々子
わかったわ・・
と言って、奈々子は少しむくれたが、“お義母さんも行けばいいのに・・”
久美
何言うとんね・・私にそんな元気があるわけないじゃろ・・
奈々子
仕方ないな・・、淳平達が登っている間・・お土産さがしでもするわ。
そこで、久美の父がのこした日記をもとに、「昭和という名の青春」を生きた“三名金作”の人生を「私小説 青春自衛隊」として紹介しよう。