リーマンショック以来、土壌汚染調査がぱたっと止まったが、今年の中位から動きが出て来
た。
この土壌汚染調査の目的は、前にも書いたが土地売買が主である。土壌汚染調査が
増えるという事は土地売買が活発になってきた証拠だといえる。
わが社も同様に土壌汚染業務が増えてきている。その中で縁あって外資系企業の土壌汚
染調査に携わる事が出来た。この外資系企業の仕事を通じて、アメリカと日本の
土壌汚染調査の実施方法、取り組み方の大きな違いについてご紹介したいと思う。
日本の場合、土壌汚染対策法という法律に基づいて実施せねばならないのに対し
アメリカでは企業が独自のスペック(仕様書)を持っているのだ。
☆調査地点の決め方の違い。
日本の場合、敷地全体を10m又は30mの格子状を作成し、10m四方または30m四方
の中で1か所のサンプリングをして分析を行う事となる。
これに対しアメリカ企業の場合は、有害物質がどの地点で使用されているか、どの経路で
有害物質が漏洩して地中に浸透しているかを検討して調査地点を決定するのだ。
この大きな違いについては大変な驚きである。
☆現場作業での取り組みの違い。
土壌汚染調査の現場作業としては分析に供する土壌のサンプリングを行う事である。
このサンプリングは一般的にはボーリングマシーンを使用して行っている。
この時のサンプリング作業員について違いがあった。
アメリカの場合は作業員の安全を守る為に防護メガネ、耳線、手袋着用が
義務付けられている。日本の場合はヘルメット、長そで作業服、安全靴は当たり前だが
このような事までしないのである。すなわち、日本のやり方は作業員の安全については
あまり重きをなしていないと考えられる。
☆その他の違い
サンプリングされた材料、ボーリングによって発生する泥水、その他使用した材料を
各各ドラム缶に厳重保管する事である。
この段階では土壌材料は分析されていないので汚染の有無については判明されていない
にも関わらず、土壌汚染ありきで厳重管理される。
日本に於いては分析後汚染が判明されれば厳重に取り扱うが、その他については
まったく管理されないのが現状なのだ。
アメリカでの安全管理の徹底ぶりには驚かされる。
☆ボーリング孔埋め戻し材の違い
土壌をサンプリングした後、ボーリング孔に円柱状の空洞が生じる事になる。
この空洞を埋戻す材料は日本の場合セメントミルクでで充填する方法が
一般的であるが、これに対しアメリカ方式はセメントミルクでは有害物質である
六価クロムが微量ながら溶出してしまうと考えセメントともう一種類を混合して
埋設するのだ。汚染を拡散しない対策として大いに感心した。
☆土壌汚染分析項目の違い
国内の分析項目は、土壌汚染対策法では、ベンゼン等の揮発性有機化合物
が11項目。ヒ素等の重金属が10項目。PCB等の農薬が5項目の計26項目
が定められている。
これに対し、アメリカでは日本の分析項目はもちろんの事、放射線物質等の
10項目からなる分析項目があるのだ。
これらの項目については民間の分析機関では国内で全くニーズが無い為
分析装置を所有していないのが現状である。したがって全項目を分析できる
海外に分析用土壌試料を空輸便で送るのである。
外資系企業の日本国内での土地売買にかかわる土壌汚染分析項目に
ついては、日本における土壌汚染対策法が全く通用しない事に改めて
思い知らされた次第です。
今後は日米の環境基準の差異が土地取引に於いてトラブルの続出する
懸念材料にならなければと危惧しています。