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新米親父土木建築コンサル社長のつぶやき

50代にして会社を起業した
土木建築コンサルタントの社長。
専門分野である環境・プラント調査等
会社経営の苦労等。

土壌汚染調査に於ける日本とアメリカの実施方法の違い。

2010-11-22 17:37:12 | 日記

 リーマンショック以来、土壌汚染調査がぱたっと止まったが、今年の中位から動きが出て来
 た。
 この土壌汚染調査の目的は、前にも書いたが土地売買が主である。土壌汚染調査が
 増えるという事は土地売買が活発になってきた証拠だといえる。

 わが社も同様に土壌汚染業務が増えてきている。その中で縁あって外資系企業の土壌汚
 染調査に携わる事が出来た。この外資系企業の仕事を通じて、アメリカと日本の
 土壌汚染調査の実施方法、取り組み方の大きな違いについてご紹介したいと思う。

 日本の場合、土壌汚染対策法という法律に基づいて実施せねばならないのに対し
 アメリカでは企業が独自のスペック(仕様書)を持っているのだ。

 ☆調査地点の決め方の違い。

 日本の場合、敷地全体を10m又は30mの格子状を作成し、10m四方または30m四方
 の中で1か所のサンプリングをして分析を行う事となる。
 これに対しアメリカ企業の場合は、有害物質がどの地点で使用されているか、どの経路で
 有害物質が漏洩して地中に浸透しているかを検討して調査地点を決定するのだ。
 この大きな違いについては大変な驚きである。

 ☆現場作業での取り組みの違い。

 土壌汚染調査の現場作業としては分析に供する土壌のサンプリングを行う事である。
 このサンプリングは一般的にはボーリングマシーンを使用して行っている。
 この時のサンプリング作業員について違いがあった。
 アメリカの場合は作業員の安全を守る為に防護メガネ、耳線、手袋着用が
 義務付けられている。日本の場合はヘルメット、長そで作業服、安全靴は当たり前だが
 このような事までしないのである。すなわち、日本のやり方は作業員の安全については
 あまり重きをなしていないと考えられる。

 ☆その他の違い
 サンプリングされた材料、ボーリングによって発生する泥水、その他使用した材料を
 各各ドラム缶に厳重保管する事である。
 この段階では土壌材料は分析されていないので汚染の有無については判明されていない
 にも関わらず、土壌汚染ありきで厳重管理される。
 日本に於いては分析後汚染が判明されれば厳重に取り扱うが、その他については
 まったく管理されないのが現状なのだ。
 アメリカでの安全管理の徹底ぶりには驚かされる。

 ☆ボーリング孔埋め戻し材の違い
  土壌をサンプリングした後、ボーリング孔に円柱状の空洞が生じる事になる。
  この空洞を埋戻す材料は日本の場合セメントミルクでで充填する方法が
  一般的であるが、これに対しアメリカ方式はセメントミルクでは有害物質である
  六価クロムが微量ながら溶出してしまうと考えセメントともう一種類を混合して
  埋設するのだ。汚染を拡散しない対策として大いに感心した。

 ☆土壌汚染分析項目の違い
  国内の分析項目は、土壌汚染対策法では、ベンゼン等の揮発性有機化合物
  が11項目。ヒ素等の重金属が10項目。PCB等の農薬が5項目の計26項目
  が定められている。
  これに対し、アメリカでは日本の分析項目はもちろんの事、放射線物質等の
  10項目からなる分析項目があるのだ。

  これらの項目については民間の分析機関では国内で全くニーズが無い為
  分析装置を所有していないのが現状である。したがって全項目を分析できる
  海外に分析用土壌試料を空輸便で送るのである。
  外資系企業の日本国内での土地売買にかかわる土壌汚染分析項目に
  ついては、日本における土壌汚染対策法が全く通用しない事に改めて
  思い知らされた次第です。

  今後は日米の環境基準の差異が土地取引に於いてトラブルの続出する
  懸念材料にならなければと危惧しています。

 


 

 

 


スーパー堤防事業廃止に思う事。

2010-10-31 10:44:48 | 日記
  今回の事業仕訳でスーパー堤防の建設廃止が決まった。皆様もご存じの事と
  思います。この廃止の理由は、昭和62年以降、約7000億円もの巨費を投じながら、
  進捗率は5・8%と低く、完成までになお400年かかるという事だ。

  このスーパー堤防とは、堤防から市街地側に200~300m盛土をし、決壊しない様に強
  化する「高規格堤防」と定義されている。
  200年に一度の大雨で川の水が堤防を越えても被害を最小限にと止められるとされてい
  る。
  スーパー堤防の対象は、人口が密集する海抜0m地帯である首都圏と近畿圏の
  大河川が対象である。
  
  このブログで前回まで日本の護岸が危ないと警告して来たように、堤防を強化する事は
  護岸と同様、日本の国土はもちろん生命や財産を守る重要構造物と考えている
  からだ。
  海抜0m地帯の堤防が一部でも決壊したとすると、またたく間に人口密集地が
  水浸しになる。水の勢いは想像を絶する程強いのだ。

  確かにスーパー堤防の事業費は個人的にも高いと思う。
  この理由は堤防から市街地側に200~300m盛り度するからである。

  ここで、高機能堤防の必要性について考えてみよう。
  ①スーパー堤防の機能として200年に一度の大雨に耐え得るとあるが、この機能に増し
    さらに巨大地震に耐え得る機能を今以上に追加する。
  ②水浸した場合の都市機能は完全に麻痺する。その場合の経済的損失は計り知れない。
    ただ単純に事業費が高いからとの理由で廃止に追い込む事は短絡的である。
    目先の事で判断するべき性質の問題ではないだろう。
  ③ なぜ、200~300mも盛土をする必要性があるのかは疑問である。
     また、最近の温暖化によるゲリラ豪雨の発生により想像を絶する水位の上昇
     についても再検討する必要もあるのではないか。

  堤防の機能をシンプルに考えれば、巨大地震に対して決壊しない事、
  大雨に対して河川の水が堤防を越えない事である。
  現在の技術を結集して、巨大地震や大雨に耐え得る安価かつ工期短縮堤防の
  強化策を再検討する事も重要だと思う。
 
  廃止、廃止との派手なパフォーマンスを見せつけるのではなく、地味な国民、
  国土を守る作業こそ、第一義として速やかに行うべき事と思う。

日本の護岸が危ない。其の2

2010-10-23 09:38:59 | 日記
  前回は日本の護岸背後に空洞が生じある日突然、陥没が起こるという大変危険な
  状況である事について報告しましたが、今回はさらに深く考えてみたいと思います。

  巨大地震が発生した場合について考えてみたいと思います。
  日本の工業地帯の大半が海を埋め立てて造成された地盤で、大変若い地盤である為に
  非常に強度が弱いという特徴を有しています。

  すなわち、地震が起こると弱い砂地盤では液状化が発生します。さらに、護岸背後に空洞が
  ある場合、液状化した砂は弱い空洞に向かって移動します。この現象を一般的に
  側方流動と言います。この側方流動は、最近の巨大地震では平成7年に起こった
  阪神大地震の時にポートアイランドの人工島や震源地付近の護岸が最大8mも海側に
  向かって移動した事で有名になった現象です。

  この護岸移動の結果、各企業の船が接岸が出来ずに、大打撃を受けた事は記憶に新しい
  事と思います。
  また、護岸背後には、石油や化学品等の危険物タンク、配管がある場合には、側方流動の
  結果、倒壊、破壊現象が起こります。

  その結果、油や有害物質が海に拡散し汚染が拡散する事になるのです。
  
  護岸と言うと、とかく軽視されていますが、国土を守り汚染拡大、各種構造物までを保護
  している大変重要な構造物である事を皆様に認識して頂きたいのです。
  前回述べたように、地方自治体に予算が無いので護岸改修が出来ないのでは
  近い将来、必ず起きる巨大地震対策は出来ないという事を改めて認識痛いと思います。  

日本の護岸が危ない。

2010-10-16 18:25:02 | 日記
  日本の工業地帯の大半が臨海部。すなわち、護岸部に接して林立している。
  これらの護岸が完成したのが高度成長期の時代で既に40年が経過している。

  護岸形式としては鋼矢板護岸、ケーソン護岸、重力式護岸と様々である。
  この中でも鋼矢板護岸は、施工が簡単であり、安価の為、全国各地で採用されている。

  しかしながら、塩水と接する為、浸食のスピードが早い欠点を有している。
  この対策として、電気防食という対策を実施しているが、大変、施工費用が高い為
  なかなか実施されていないのが現状である。

  その結果、潮位付近に鋼矢板が腐食して穴が空くという現象が多発している。
  この穴から護岸背後の土壌が海側に時間をかけてゆっくり流失しています。
  また、その流失スピードは台風等により空洞が加速されて形成されます。

  護岸背後は一般的にコンクリートやアスファルトで覆われていますので、見た目では
  それがある日突然、道路の陥没などにより発覚します。

  余談ですが、護岸背後意外でも道路が陥没したというニュースを見て記憶として残って
  いると思います。この原因の大半が、水道管、下水管の亀裂から水が流出し、徐々に
  土砂を流出した結果で、護岸の流出と全く異なる訳ではないのです。

  護岸に戻りますが、以上述べたように空洞化現象が全国の護岸にどんどん発生して
  います。これらの護岸の所有者はほぼ9割方が県の所有であり、民間企業が勝手に
  修復する事ができません。それで、民間企業が県に修復等を依頼しても現在の全国の
  県は財政難で全く余裕がなく、取り合わない現状です。

  国や県は国民や企業を守る義務があるにもかかわらず、全く手を付けていません。
  すなわち、見て見ぬふりをしています。今の子供手当のばらまき予算を少しでも
  この護岸空洞化対策に向けてはどうでしょうか?
 
  この対策は国民の生命を守ることはもちろんの事、国土を守ることにもなるのです。
  皆様にもこの対策に関してじっくり考えて頂きたいと思います。  

地下水汚染改良工事の問題点 其の2

2010-10-03 10:52:46 | 日記
  前回記述しました地下水汚染対策(VOC)工事に伴う事前検討、地盤沈下、地盤変位等
  の監視モニターの必要性について考えてみたいと思います。

  事前検討とは、地下水を単位時間どれくらいの地下水量を汲み上げるかにより地下水位
   の低下がどの範囲まで影響を及ぼすかを検討するものである。
  地下水位の低下量は、場所場所により異なる。すなわち、ボーリング孔より汲み上げる地
  点が最も地下水位は低下し、ボーリング孔より離れるに従って地下水位の低下量は
  放物線状に小さくなるのです。

  地盤沈下量は、地下水位の低下量によって異なります。すなわち、地下水位の低下
  量が大きいほど、地盤沈下量は大きくなります。(ここでは、詳細は省きます)
  
  また、この地盤の沈下の仕方(沈下スピード)は、砂質土と粘性土では全く異なりま
  す。砂質土のような砂っぽい土は、地下水位の低下後短時間で沈下が終了しますが 
  粘性土のような粘着性のある土では、沈下がなかなか終了しません。
  すなわち、長い時間をかけて地盤沈下が進む為大変厄介なのです。

  以上、述べたように地下水位が少しでも低下すれば、沈下は必ず起きます。
  この地下水位低下時間にもよりますが、地下水位低下量、地下水位低下時間と
  地盤沈下量は密接な関係にあるのです。

  地下水位の低下により、地盤沈下量は理論的には算出する事が出来ます。
  しかしながら、地層構成の複雑さや地盤が砂質土か粘性土かによる理論計算の不確実
  性が含まれます。

  その為、理論計算と実際の沈下現象については、誤差を含む事になります。
  この誤差を是正する為に、地盤沈下量及び地盤変位について測定すなわち
  これらの監視が必要になって来る訳です。

  今までのVOC(揮発性有機化合物)による地下水汚染改良工事の失敗例を
  見てみますと、大半が上記の監視モニターを行わずして、ただ地下水を汲み上げ
  続けてVOCを除去する事だけに専念して施工してきた結果、2次被害である
  周辺構造物の沈下、傾斜及び埋設管の切断等の被害を起こす事になりました。

  注: また、監視モニターを行うだけでは十分とは言えません。このモニター結果を
     施工に反映する事が最も重要です。

  このような、被害が生じたのは、地盤沈下と地下水位の関係について全く理解
  していなかった結果と言えるでしょう。
  また、これらの施工を管理する役所の方々の経験不足と言わざるをえない現実が
  あります。

  今後は、行政の方々がもう少し地下水に対する知見を増やして地下水のコントロールに
  対し、真剣に取り組んで頂きたく思います、
  最後に、地下水を低下させれば必ず、地盤沈下は起き、どんな事をしても元には
  戻らない事を皆様もご理解下さい。