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新米親父土木建築コンサル社長のつぶやき

50代にして会社を起業した
土木建築コンサルタントの社長。
専門分野である環境・プラント調査等
会社経営の苦労等。

地下水汚染改良工事の問題点

2010-09-26 18:37:41 | 日記
  今回は、土壌地下水汚染の改良工事についての問題点に触れてみたいと思います。
  テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物質(VOC)で汚染された
  地下水の改良工事について考えてみます。

    地下水汚染改良工事とは、地下水に溶出したVOCを除去する工事である。
  VOCを除去する工法には、
  微生物で分解する工法、
  地下水をくみ上げて地下水に溶け込んだVOCを気化させる工法があるが
  今日まで実施された工法はVOCを地下水から気化させる曝気工法が主流となっている。

  これらのVOCの主な用途は、クリーニング店や金属等の洗浄剤として使用されたもので
  ある。
  このVOCの主な特徴は、揮発性が高く水よりも重いという事である。水よりも重い為
  このVOCが一旦地中に浸透していくと地下水中に波及する為、深くまで汚染が拡大する
  事となる。さらに地下水の流れに伴い汚染が拡散されていく事となる。
  
  この改良工事として、汚染された地下水をくみ上げてVOCの揮発性の特徴を利用した
  VOCを曝気する工法が採られる。

  このため、汚染された地下水を浄化する為には大量の地下水をくみ上げる事が必要とな
  る。その結果、次の問題点を引き起こす事になる。
 
  ①地下水位の低下により広範囲に渡って地盤沈下現象を引き起こす。
  ②地下水を長期間くみ上げる事は、つまり遠く離れた汚染された地下水をも引き寄せて
    汚染を拡散する結果となっている。

  上記①について、もう少し詳細に考えてみよう。皆さん東京下町のゼロメートル地帯と言う
  言葉を聞いた事があると思います。これは、地表面の標高が海水面より低い地域の
  事を示します。この原因は、高度成長期に大量の地下水の汲み上げにより地盤沈下が
  生じて海水面より低くなっているのです。
  
  この沈下が生じた地盤に水を大量に注入しても地盤は隆起しません。すなわち、
  一旦地盤が沈下しますとどんな事をしても元の地盤高には戻らないという事です。
  くみ上げる量にもよりますが、広範囲に於いて沈下が起きる事により、建物
  の傾斜、地下埋設物の切断等の悪影響を引き起こすのです。

  次に②に付いて考えてみたいと思います。
  何年か前に某ハム工場で使用履歴の無いVOCが確認され製品の出荷が
  長期間停止された事は記憶に新しい事と思います。

  これは、この工場が長期間井戸水を利用する事により、どこかの遠い所での
  VOCにより汚染された地下水を引き寄せた結果と言えるのです。
  すなわち、汚染を拡散させた結果と言えるのです。

  以上、大量の地下水をくみ上げる改良工事については、事前検討及び
  沈下、変位等監視モニターが最も必要である事を強く要望したいのです。


   尚、沈下、変位等監視モニターにつきましては次回、詳細に説明いたします。

土壌汚染の問題点 其の2(ガソリンスタンドの土地売買)

2010-09-23 13:25:40 | 日記
   今回も土壌汚染問題がいかに土地売買を阻害しているのかを考えてみたいと
   思います。

   今回は、ガソリンスタンドを例にとって考えてみたいと思います。

   ここ最近は、少子化、車離れによりガソリンの販売量が低下傾向にある事は皆様
   ご存知の事と思います。

   その結果、全国各地でSSの閉鎖が相次いで起こっています。このSSの経営は
   個人経営と石油メーカーの系列経営とに分かれています。
   昨今、特に問題になっているのが個人経営者です。

   昨年度の民主党の事業仕訳まで、SSの閉鎖後の土壌調査、及び解体については
   補助金制度があり、この制度を利用して閉鎖が可能でした。

   昨年の事業仕分でこの補助金制度が廃止になったのです。
   環境に優しく対応していくと掲げたあの民主党が土壌汚染調査等の補助金制度を
   廃止にしたのです。

   この結果、困ったのが上述したように個人経営者なのです。
   特に東京都の場合、SSを閉鎖する場合、土壌汚染調査結果を都に報告するとを
   条例化されているのです。

   経営が苦しいから閉鎖するのですから調査する費用も無いので閉鎖しようにも
   出来ない状態になっています。

   東京都はこの調査に対する補助金制度は有りません。
   余談ですが20年以上前からSSを営業している場合(10数年まえから地下タンクは
   二重タンクに義務化されているので油漏れは無いと考えられる)は
   大半が地下タンクの腐食により油が漏れているのです。

   油汚染の場合、重金属と異なり地下水の流れに伴い移動がおきます。
   つまり、汚染が拡大されて行くのです。
   この様に油汚染された土地を売却する場合、汚染を除去して売却しなければ
   なりません。

   この除去工事には大変びっくりする様な費用がかかります。都心の様な地価が高い所で
   は、この除去費用は算出できますが、都心から離れたところでは、地価が安い為
   汚染除去費用が出ない事になります。

   このため個人経営者としては、SS跡地を売りたくても売れない状況になるのです。
   その間も油汚染は拡散していくのです。このような状況を見過ごす訳にはいきません。

   民主政策のばらまき予算が何の役に立っているのでしょうか?少しでも上述した様に
   環境補助制度を復活させる事が環境に優しい対策でしょうし、土地売買も活性化
   していくのではないでしょうか。

   皆様にもこの問題に関して少しでも興味を持って頂き真剣に考えて頂きたいと思います。




   
   


土壌汚染の問題点 其の1

2010-09-21 18:09:30 | 日記
   今回は、土壌汚染問題について考えてみたいと思います。
   
  土壌汚染調査の大半は、土地売買に伴う調査です。これは、土地を売る側が
  土壌汚染調査を実施して汚染の有無の確認結果を土地を買う側に示す事である。
  
  土壌汚染調査の進め方としては、先ず地歴調査(土地利用履歴)を実施する。
  この地歴調査とは、過去の航空写真、住宅地図、登記簿謄本等、既往資料に基づいて
  土地の利用履歴すなわち有害物質の使用履歴を調査するものである。

  この調査の結果、有害物質使用履歴が無ければ土壌汚染については、白と言う事になり
  汚染については何も問題なしとなる訳である。
  
  しかしながら、土地取引は、安い金額で無い為 念には念を入れてい言う事で
  次のステップである。

  表層土調査を実施するケースが大変、多くなっている。
  この調査の結果、ヒ素、鉛等の有害重金属が大半確認される事となる。
  
  この理由として上記の地歴調査の大きな欠点。すなわち、土地造成に伴う盛土が
  地歴調査では全く読み取れないのだ。

  ヒ素、鉛等の重金属が確認されているのは、この盛土が大半である。
  しかも、これらの重金属の濃度は環境基準値をわずかに超過したものが大半である。

  また、この重金属の経歴を調べると大半が自然由来の物であることが分かった。
  
  自然由来によるものである事が解っても土地売買が上手くいかなくなるケース
  多く見受けられる。

  自然由来による重金属でも土壌汚染と判断するのはいかがなものでしょうか?
  あまりにも、土壌汚染に対して過敏になっているのが現状です。

  人間が社会生活を営むという事は自然由来の重金属や宇宙からの放射線等の
  有害を思われているものとの共存の歴史なのです。

  このような、あまりにも誤った解釈を早く行政が(環境省)是正しないことには、
  土地取引がなかなか進まない現状を見ますと日本の経済にとっても損失と
  なっている事は明らかです。

  皆様はいかがお考えでしょうか?
  早期に是正される事を祈って止みません。



建設関連業務の入札

2010-09-20 10:49:21 | 日記

    私は4年ほど前に某大手土木建設コンサルを自主退職し環境業務を主体とする
    会社を数名で設立し現在に至っています。

   関係者の方々に日々感じた事をお伝えしたいと思いブログを始めました。  
   
   今回は入札状況について皆様と考えたいと思います。

   10数年前までは、官民問わず特命あるいは随意契約という契約方式が成立して
   いましたが、今ではこの語は死語に近い言葉となっており、ほとんどが競争入札方式
   がとられるようになって来ています。
   
   その結果、皆様と同様、私もびっくりするほどの低価格落札が頻繁に生じています。
   ここ最近の役所の場合、予算の3割程度で落札されているのです。
   どうしてこう言う結果が続くのでしょうか?
   予算の3割ではどう考えても業務を実施する段階で赤字業務と解ると思うのですが。

   なぜ役所は、この入札を認めるのでしょうか?
   なぜなら、どこかで手を抜かないと業務は実施できないと思います。

   役所の入札に対し良識ある民間の場合ですと必ずしも1番札を落札するとは限りません。
   なぜなら、1番札の業者が仕様書を全く理解していない(項目内訳漏れ)ということで
   外されるケースが多いのです。

   ここ最近は、役所でも予定価格の80%を最低ラインと設定している所が増えましたが、
   予定価格を公表すれば皆が予定価格の80%に集中するのは自明の理であります。

   この場合は、予定価格を公表すべきではありません。
   皆さまどう思われますか?
   
   本当に良い仕事を遂行していく為には、それなりの費用がかかる事は当然だと思います。
   今は、デフレだからしょうがない、価格破壊は当たり前と思っていると会社は勿論の事
   日本の技術沈没が始まります。

   それよりも、技術差別を付ける為の技術を磨くことに専念した方が良いのでは
   ないでしょうか。
   
   次回は、環境土壌汚染業務について考えてみたいと思います。