そらいろの種 

~児童期・思春期の子を持つ親の会~
お気軽にご参加ください。

第3回講座 子どもたちに伝えたいこと Part2 ~地域から見た子ども達~ (12/14)

2005-12-16 | 活動スケジュール
講師  共育ひろば主催 牧岡 英夫氏

地域福祉に30年近く携わってこられ、「地域、暮らしを作っていく主人公になれるところ」を作りたいという思いで、『共育ひろば』という、年齢や立場を越えた地域人たちの溜まり場的な居場所を昨年発足されました。
今回は、先生ご自身のこれまでの経験とコンビにで働いた経験などを通して、今の世の中、特に地域の中で子どもたちがどう育つのかとうことについて話をしていただきました。

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(1)コンビニが子どもの生活を変えた!

●「食」について
 コンビニに来る子達は・・・
 ①塾前腹ごしらえにに寄る子達
 ②昔の駄菓子屋さんのイメージで、あれこれ選びながら買っている子達
 ③塾が終わる9時~10時頃、お腹がたまる物を食べる子達

今は、家族そろって夕食をとるうちは少なくなった。
「孤食」「個食」が増えている。食の文化、食の意味を伝える場面が失われていく。食事とは、文化を伝える大切な場であり、それがなくなるのは悲しいことである。

●「居場所」として
夏はコンビニに涼みに来る子が多い。コンビニにたむろする子は3~5名で来て袋菓子を食べて、座り込んでいる。居場所がない彼らにとって、学校と家との間の「労遊間」として、コンビニは、大切なコミュニケーションの場であり、そこで過ごす時間は大切な時間となっている。

やりたいことが見つからない子どもは、手本となるような大人も見あたらず、これからの人生に漠然と不安を抱いている。その不安の中で、誰かと一緒にいたいという気持ちを支えてくれるのが、携帯である。いい意味でも、悪い意味でも、携帯が子どもたちの心の支えになっているのも事実。携帯でお互いを励ましあい、潤滑油となっている。

以前勤めていた本屋に小1の女の子と4歳くらいの男の子が毎日来て、閉店までずっと本を読んでいた。夜の仕事をする母親がいない夜、こうして誰かに見てもらえる場所に来て安心感を得ていたようだ。


(2)子どもの成長に必要なこと

子どもたちが成長するのに必要なことは、生活の技術を身につけることである。
ちょっとした工夫をするだけで、解決することはたくさんある。物事を多面的に見る力、考える力、そして実行する力もその技術である。
それは、ひとつの体験から丁寧に広げていく中で学んでいくものでもあるが、ちょっとしたコツさえわかれば解決する場合もある。そのコツを教えてあげるのも大切な大人の役目である。

もやもや、むかつくという気持ちをピタッとくる言葉で表現することも技術である。問題を抱えている子は、それができない。自分の気持ちを自分の言葉で表現することの手伝けをしてあげることが大切。

子どもたちは与えられた環境の中で、たくましく生きている。
行き場のない子どもたちに行き場を与えることも大切であり、それは地域の中で、大人がどんどん子どもたちに声をかけるなかで、実現していくのかもしれない。

地域の中で、大人たちが子どもたちを育てる・支えることが今強く求められている。
自分の子どもを大切にするとともに、子どもの友達も大切にしよう。子どもは見ていてもらえるという安心感があると、孤独感はなくなる。万引きも知っている人がいたら、やる子はいない。ちょっとした子どもとのやりとりを地域の中で小さい時から続けていくことが、失われたコミュニティーを取り戻すことにもつながり、子どもの心の成長にはとても大切なことである。

山古志村で子どもたちが村の人達のために、コンサートを開いた。子どもたちから逆に大人たちは励まされた。子どもたちが本来持っているこうした力を大人は信じてあげたい。
そして、年齢や立場を越え、地域の中でできることをやっていこう。

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地域福祉を専門にして、街づくりを提案してこられた観点から、お話くださった内容は、昔は当たり前のような光景を再び取り戻そうといった感じが伝わってきました。子どもがいて、大人がいて、高齢者がいて、障害者がいて、お互いが自然に交わり、それぞれに役割があって、励ましあい、支えあえる地域社会――そのような地域で育った子どもたちは健全な成長をしていくように思います。それはとりもなおさず、家庭の中にも言えることです。子どもたちにも家事を手伝わせ、家族の一員としての役割を担ってもらうことがまず第一歩であるような気がしました。

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次回は、1月15日(日)公開講座です。「子どもが望む親って? ~親子のかかわり~」について、お話を伺い、みんなで考えたいと思います。是非お友達もお誘いあわせの上、お越しください。初めての方は、「公開講座について」をご覧の上、申し込みください。

第2回講座 「今どきの子どもたち Part1」 ~学校から見た子どもたち~ (12/1)

2005-12-01 | 活動スケジュール
講師 矢崎淳子先生(スクールカウンセラー)

第2回の講座は、スクールカウンセラーとして中学校と病院でご活躍中の矢崎先生をお招きして、学童期・思春期の子どもたちの心について、お話を伺いました。簡単にその内容をご紹介します。
            
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子どもというのは、赤ちゃんの時に安心できるベーシックトラスト(基本的信頼関係)が親子で築かれその土台を踏まえ、そこに第3者が入り、少しづつ社会性を身につけていく。

学童期は、自分の思い通りにならないことがあるということに気がつくときで、学校という場は「社会で生きていくのに必要な学習、勤勉、責任」を身につける場である。楽園のようなところにばかり子どもを置いていては、子どもは社会の中で生きてはいけない。小さな風邪をひきながら、小さなけがをしながら、大病や大怪我を防ぐ人間関係の免疫力を付けることが必要である。

思春期になると、自分自身に目が向くようになり、アイデンティティが芽生えてくる。自分とは何か、他人との関係、親からの自立する気持ちが芽生えるようになる。
球に光を当てると、光のあたる部分と影となる部分がある。この球を人間に例えると、明るい部分は自分でも「意識」している部分で、影の部分は「無意識」の部分である。実は「意識」の部分というのは氷山の一角で、「無意識」の部分は海の下にたくさん沈んでいる。そしてその「無意識」の中にこそ、人間のエネルギーが混沌と詰まっているのである。ところが、その「無意識」の部分がどんどん大きく膨れていくと、いずれ破裂してしまう。この「意識」と「無意識」の間に橋をかけてあげるのがカウンセラーの役割である。(それって、親の役割でもありますよね?)
この「意識」・「無意識」のすべてを含む自分の全体性に気がついていくこと(気がつかせてあげること)が大切なのである。

今の子どもはちょっとしたことですぐ傷つきやすい。だからこそ、トランプや将棋、鬼ごっこやかくれんぼといった遊びやゲーム、そしてたくさんの集団の中における経験や体験はとても大切である。転んで傷ついても、いずれかさぶたができて、治っていくものだ。子どもたちはたくさんの遊びを通し、人とふれあう中で、対人関係のさじ加減を身につけていく。多少の壁にぶつかりながらも、その経験を通してはじめて自分の力で乗り越えていける子になるのである。

子どもが弱っているときは、相手を批判したり、忠告したり、説教をしてはいけない。いくら正論を言ったところで、逆効果である。コミュニケーションは、「呼吸」と同じ。まずは吐くだけ吐いて、吸う――これが大切! 吐き出してしまわないと、入れようとしても何も入らない。本当に親として伝えたいことがある時は、まず子どもに吐くだけ吐かせてあげよう。そして、子どもが平常心――つまり、ひとつのことが心を占めていないときに、親としての思いを伝えてあげることが大切なのである。

学校で子どもたちは、頑張っている。人間関係にも気を使っている。だから、家では、のんびりと休んで、エネルギーを蓄えることが必要なのである。

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1時間半のお話の後、参加者の質問などに答えていただきました。
先生のお話をお聞きして、その子のためと思って先回りをして手を焼くことが、いかにその子をだめにしているか・・・、自分の足でちゃんと生きていける子どもは、温室の中では決して育たない。たっぷりと太陽の光にあたり、風や雨、雪、台風などさらされながら、育っていくのかもしれない――。たくさんの経験と体験がとても大切であることをしみじみと感じました。

前回親としてのいろんな思いを吐き出した私たちですが、今日の先生のお話はまさに、
自分達が吐き出したものをちょっとは冷静に見ることができ、その上で子どもを育てる上で必要な栄養分を吸わせていただきたような気がしました。
次回の講座が楽しみです。では、12月14日に・・・!

今日の講座に参加いただいた方、またこの活動に関するご意見のある方、ご自由にコメントください。講座内ではなかなかゆっくり話ができないことなども、この場で意見交換ができたら・・・と思います。[コメント]の横の数字をクリックすれば、書き込みができます。お気軽にどうぞ!