びわ湖・勝手気ままな日々!

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千日回峰行-Ⅲ

2016年05月15日 | 先人の足跡に学ぶ

 千日回峰行は、初めの百日の後、二年目と三年目は同じく百日間連続で、

無動寺から東塔、西塔、横川の三塔をめぐって下山し、

日吉大社に参拝して再び無動寺に登るという、山上山下七里半の行程を歩く、

三月末の不動明王の縁日という決まった日から二百日に増え、

五年間で七百日歩く。

道中の約二六〇ヶ所の拠点で祈りを捧げながら真言を唱えて歩く。

祈りを捧げる場所は、相伝であり、地図があるわけではない。

先輩から一度教授され、それを繰り返すことで覚えるという。

初めは、草履での歩き方にもなれず、回峰するのに八時間を要するが、

慣れてくると六時間で回ることができる。

草履は、山道を歩きを慣れていないと概ね一日でつぶれてしまう。

しかし、百日歩くために支給される草履は八〇足。丁寧に歩きなさいと

いう暗黙の教えなのである。また、真夜中の山道を照らすために、

懐中電灯を使うこともあるが、慣れてくると小田原提灯が最適であるという。

懐中電灯は遠くまで照らすことができるので、便利そうに思うが、

実際に遠くを照らす必要はない。近くを照らすことで十分であり、

もっとも蝋燭の値段より安価なのである。そして、五年間、七百日の回峰が終了する

と、回峰行の中でも最大の難行といわれる九日間の「堂入り」が行われる。

九日間、断食、断水、不眠、不臥、不臥とは横たわらないということで、

真言を唄え続けるのである。この行が終われば、生身の不動明王といわれ

る大阿闍梨となり、信者の方々に生き仏として拝まれるようになり、

今までの自利行(じりぎょう)から、化他行(けたぎょう)に移行する。

要するに、ここからの行は、自分のためでなく他の人々を救済するために行うことを

意味するのである。六年目は京都の赤山禅院までの往復が加わり、

一五里を百日間歩き、最後の年となる七年目は、初めの百日は京都大回りと呼ばれ

る行程二十一里を歩き、残りの百日は、初めの山上山下七里半に戻して、

千日の行を終えるのである。

成安造形大学准教授 加藤賢治 近江学研究所副所長 

 

 


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