和泉市当局者は、全国的にはまだまだ少数例である市立病院に指定管理者制度導入をおこなったごく一部の市を視察して、それを「先行市の例」として指定管理者制度がうまくいっているかのように市民に説明をしています。市長の責任も重大です。自ら十分な検証も行わずに、「いい制度だから、早く決断する」と、強引な進め方を後押ししています。
しかし、何度も言いますが、指定管理者制度導入の全国例は多くありません。しかも、その後の経過などまだ全国的な教訓を引き出せるほどの十分な実績はないといわなければなりません。それは、総務省調査結果からも明らかです。そんなにいい制度ならこぞって全国で進むはずだからです。そうでないのは、何か問題があるからです。
わたしたちがつかんでいる情報では、だとえば京都府・M市民病院では、市長が指定管理者に予定していた医療法人が医師確保の困難などから突如「辞退」を申し出、病院運営が困難に…。
愛媛県・S病院では医師数は減少したままで医療再建は不透明に…。
愛知県・M市民病院では、指定管理に申請していた法人が医師・看護師確保困難等を理由に辞退申し出、診療条件を下げて再公募、病院規模を縮小、現行医療水準維持の方針を大幅変更に…。
富山県・H病院は、看護師不足で病床を縮小。
岐阜県・T病院では看護師不足で病棟一部閉鎖のまま。医師についても医療法人からのローリングでころころ変わる事態に…。
などなど問題事例が続出しています。運営形態を変えるという問題はそんなに簡単な問題ではないことが明らかです。
また、救急医療の再開が重要であることは言うまでもありませんが、和泉市立病院でも準夜救急を来年度から実施できるよう計画していることや、そもそも泉州地域が府内の2次医療圏の中でもっとも医師不足が深刻な地域であることは客観的に見て明らかであり、和泉市立病院だけで解決できる問題でないことも見ておかなければなりません。
和泉市の近隣同規模の民間病院を見ても5割程度のしか救急受け入れはできておらず、指定管理者制度にすれば、急に救急が再開できるようになるとは考えられません。仮に救急が一部再開できたとしても、その分他の診療科目や不採算医療にしわ寄せされることになりかねません。