【談話】派遣法大改悪法案の廃案を力に安倍「雇用改革」ノーの声をひろげよう
本日、衆議院が解散される。安倍政権が成長戦略の目玉に位置づけ、臨時国会では最大の対決法案とされた労働者派遣法の大改悪法案は二度目の廃案となる。世論と共同の前進が勝ち取った廃案であり、今後の運動の足掛かりとなる成果として確認したい。
全労連は、「臨時的・一時的な業務に限定する」という大原則を外す許されざる大改悪だと厳しく批判し、その成立を阻止するため、雇用共同アクションなど労働団体の共同を前進させ、全国各地で宣伝や議員要請などの活動を強めてきた。10月29日と11月12日には主要な労働団体が国会議員会館前に勢揃いする状況もつくられた。マスコミでも地方紙を中心に、「不況を招く経済対策」などという批判がひろがった。こうしたなかで勝ち取った廃案である。
審議経過をみても、衆議院厚生労働委員会での実質審議がはじまる前に、与党である公明党から修正案が出されるなど、異例の展開となった。公明党がいったん提出した修正案は、「臨時的かつ一時的なものが原則であるとの派遣法の趣旨を考慮することを規定する」、「新法施行後の……労働市場の状況を踏まえて……新法の規定について速やかに検討を行う」としており、我々が「生涯ハケン・正社員ゼロ法案だ」と批判してきた法案の問題点が、与党内でも懸念されていることを物語るものだった。また、塩崎厚労大臣の国会答弁も混乱したが、これらは同法案が「欠陥法案」であることを示すものにほかならない。
本日の衆議院解散は、7~9月期のGDP速報値が-1.6%と前期につづいてマイナスになるなど、アベノミクスの破たんが誰の眼にも明瞭になるなかで、世論と共同の前進に追い込まれてのものである。
そして、グローバル大企業偏重の経済政策では経済は回復しないということが明確になったといえる。今必要なことは、賃上げや雇用の安定、中小企業支援や社会保障の拡充などによって、働く人々や庶民の懐をあたため、内需を拡大して景気をよくすることである。
均等待遇原則の確立すらなく、低賃金の使い捨て労働をあたり前にする労働者派遣法の大改悪法案は完全撤回すべきであり、通常国会に再提出することは断じて許されない。
また、今回の廃案を力に、働く人々や庶民を犠牲にして、グローバル大企業が世界で一番活動しやすい国づくりをすすめる安倍「雇用改革」に反対する世論と運動をさらにひろげていくことが求められている。
全労連はそのために全力を尽くし、労働組合や市民団体、広範な方々との共同をいっそう前進させていく決意である。また、来る総選挙を「安倍政権の雇用破壊にノー」の審判を下す絶好の機会としていく呼びかけをひろげていく。
2014年11月21日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久