物語のお蔵

短編から、長編のオリジナル小説のたまり場。(版権物もちょこちょこ)更新は遅め。

キサラギの陰陽録

2013-02-15 04:09:39 | あやかし陰陽録
※※※※※ あてんしょん!!!! ※※※※※

この小説はZynga様のアプリケーション『あやかし陰陽録』の二次創作です。
主人公がオリジナルな上に、オリジナル設定、オリジナルの人物が出てきます。一応ストーリーに添った形にしたい所なのですが、万両は何章か進めてしまっていて会話もうろ覚えという有り様です。所々違うかもしれません。

はっきり言いますと、自己満足な小説です。
しかし、周りにプレイしてる人いないし、『あやかし陰陽録』を知ってもらえるきっかけになれたらと思って書くに至りました。


ありえないと思う方はUターンをお勧めします。
まあ、暇つぶしに見てやるよという方はこのままお進みください






◇序章◇

この世には霊力を持つ人間が存在する。彼らは「陰陽師」と呼ばれ、この世の均衡を保つ役割を果たしている。
そもそも何故陰陽師が生まれたか?
この世には人間以外の意志を持つ力が存在する。


壱、妖魔(ようま)

弐、神霊(しんれい)

参、九十九神(つくもがみ)


である。
彼らは強大な力を持ち、この世の理を覆す可能性を秘めている。この三つ力とこの世の均衡を保っているのが陰陽師なのだ。
そんな陰陽師を束ねるは、京都に本拠地を置く「陰陽院」という。

三つの力と陰陽師は時に協力しあい、時に衝突している。

その事実は歴史の裏側にあり、一般的に知られてはいない…




***

「只今をもってお前が“キサラギ”を襲名する事となる。」

父上は病(やまい)で弱った身体からそう私に告げてきた。

「…御役目、立派に果たして見せます。」

そう私が応えると父上は満足そうに微笑んだ。

***

場所:東京駅前

「ふわあ!ここが東京ですか…。何やら人がごった返していて、にぎやかだなぁ。」

通勤前のラッシュ時なのか、スーツを着た人々が行き交ってゆく。

「カガミ知っていますよ、こういう状態を『ふはは、見ろ!人がゴミのようだ』と言うんですよね。この間の金曜ろーどしょうで観ました!」

ふふん!と少女はつぶやいた後、がっくりと肩を落とした。

「…こんなこと言ってる場合じゃないですね。早く『キサラギ殿』のお住まいに向かわなきゃなのに…。東京、複雑怪奇です…。」

少女は懐から一枚の紙を取り出した。
住所が書いてあるその行き先は…目白。

「うーん…目白駅にはどうやって行けば…?…あ、あの人に聞いてみようかな?」

携帯電話をいじっている女性に声をかけてみた。

「あのーすみません。目白駅にはどうやって行けばいいのでしょうか?」

「……」

「あのーカガミに目白駅への行き方を教えてくれませんか?」

「……」

反応は無し。まるで少女が見えていないかのようだ。

「んー…そうでした。カガミは他の人には見えないんでしたね。うっかりうっかり☆」

聞くことを諦め、少女は地図を片手に歩き出した。


***

場所:目白・キサラギ邸

趣のある日本家屋。庭には沈丁花(じんちょうげ)の花が咲いている。
この家の主、キサラギは縁側で日向ぼっこをしてくつろいでいた。
空は晴天。まさにお昼寝日和…

「キサラギ!昼を食べてから寝ると、身体に悪いとあれほど言ったのに!」

バンッ、と襖を開けてキサラギに牽制チョップを食らわせたのは
猫耳…ではなく、狐の耳を生やした青年だった。
ぐえ、と、うめき声をだし、キサラギは我に返った。

「はっ!みたらし団子!」

「…何の夢を見ていたのか。キサラギ、食っちゃ寝は駄目だと言っただろう!?」

「うー…銀はオカンみたいなこといつも言うよね。」

「だ・れ・が・オ・カ・ン・だ・と」

と、今度はギリギリとキサラギのポニーテールを引っ張った。
痛い痛いハゲる!!とキサラギが悲鳴を上げた所で手を離す。
彼は銀(ぎん)。キサラギの式神である。
本来ならば、あるじに従順なはずなのだが…どうやらこの二人は変わった関係らしい。
そう言えば、とキサラギが銀を振り向いた。

「陰陽院から来る子って確か今日来るんだよね?」

「そうだな。予定ではそのはずだ。…しかし、遅い気がする。」

「ねーねー銀、迷ってるのかもしれないね?迎えに行った方がいいかな?」

「行き違いになるかもしれないからあまり動かぬ方がいいのではないか?」

そっか…と答えたものの、やはり心配でソワソワする。何か自分に出来ることはあるだろうか…?
「あ」とキサラギの頭にアイディアが浮かんだ。

「ねえ、銀。その子の名前って…」


***

場所:東京のどこか


「うう…完璧に迷子です…。ここはどこなんでしょう…」

進めば進ほどゴールに遠ざかっている気がする。日も落ちてきて、気持ちはさらに暗くなる。

「カガミはここで力尽きてしまうのでしょうか…?お腹も空いてきました…」

路地にうずくまりため息をついていると、目の前に小さな花びらが落ちてきた。

「わぁ、きれい、」

そっと手を伸ばすとふわりと手のひらにおさまる。するとかすかに花びらから霊力を感じ取った。

「花びらから…どうして…?」

疑問に思っていると花びらがひとりでに漂い始めた。ふわふわと移動していく。

「あっ!待ってください!」

カガミは慌てて花びらを追いかけた。




細い道を通り、橋を渡って、花びらを追いかけ、歩き続けること約一時間。
カガミは一軒の家へとたどり着いた。花びらはその家の庭へと移動していく。
恐る恐るカガミは足を踏み入れた。
不思議な感覚がカガミを包んだ。今までの東京の町はどこか空気がくすんでいる感覚があったが、この家の敷地内に入った瞬間それが無くなったのだ。

(…ゴクリ)

カガミは庭の方へと進んだ。
人がいた。先ほどの花びらを手にして、カガミの方を向いた。

「君がカガミちゃん?」

「はっ、はい!カガミです!」

「初めまして!私がキサラギだよ。よろしくね!」

夕日が彼女の銀髪を橙色に染めている。不思議な雰囲気のするキサラギからカガミは目が離せなかった。


***

場所:キサラギ邸


「キサラギ殿の術のおかげで無事たどり着くことができました!ありがとうございます!改めまして、陰陽院から来たカガミです。これからキサラギ殿にお仕えする事になります。どうぞよろしくお願いします!」

「よろしくね、カガミちゃん!私は陰陽師のキサラギだよ。そして私の隣にいるのが…」

「銀と名乗っている。妖魔の管狐(くだぎつね)という種族だ。キサラギの式神をつとめている。」

「よ、よろしくお願いします!」

「ねえねえカガミちゃんは妖魔?神霊?九十九神?」

「カガミは鏡の九十九神です。あるじのお役にたてるよう頑張りますね!」

そう言うとキサラギは目を輝かせた。

「銀、聞いた?“あるじ”だって!“あーるーじー”!何ともいえない響きだねぇ…。ねぇ、銀も“あるじ”って言ってみてよ!せーのっ、“あるじ”!ほい、一二の三はいっ、あーるー…」

「言わないからな」

ピシャリと断られた。なんだか仲の良い友達みたいだとカガミは思った。
同時に、仲間に入りたくなった。

「カガミのことはカガミってよんでください!」

「りようかーい!カガミ♪カガミ♪」

「あるじ♪あるじ♪」

「はぁ…、キサラギが二人に増えるなど、今日は厄日か…?」

(新しい所でやっていけるか不安でしたが、心配はいらなかったみたいです。カガミは頑張ります!応援してくださいね、師匠!)

これから始まる毎日にカガミは心を弾ませていた。
誰も予想だにしなかっただろう。この後、東京に起こる異変を……



◇序章・終◇