いつか深海に逃げ込み隊

日々、色々なことに追われながら深海に逃げ込みたいと考えてる

リセットのラストチャンス

2021-12-07 | キャリア
特別、こだわり抜いて買い物をする方ではない。

だけど、手放したり、捨てたりとなると、急にモノ悲しい感情が生まれてくる。


例えば、歯ブラシはもう半年も使っているし、口のところが欠けた湯呑もずっと使い続けている。
このアウターは、安売りで購入したバーゲンセール品なのに、もう5年以上は着ている。


要するにモノ持ちが良い方なのだ。


でも中には新しいモノを購入して、以前のモノを使わなくなったモノもある。


例えばバイクのヘルメットはそんなモノのひとつだ。


そもそもバイクのヘルメットなんか「被れ」という法律があるから購入したようなモノで、安ければ安いほど望ましかった。

メイドインチャイナの聞きなれないメーカーの激安ヘルメットを被っていた。



あるとき、人数合わせで参加したつまらない合コンで出会った女の子とつきあうようになった。


彼女はクリスマスの日に僕に新しいヘルメットをプレゼントしてくれた。


日本のメーカーのきっと5万円以上はするやつだ。


こんなに高価なモノを人からもらったことはなかった。

デートやお出かけを一緒にするとき、彼女が僕の激安ヘルメットを被り、タンデムすることがあった。

見るからに軽そうで弱そうなヘルメットだったので、彼女に申し訳ない気がした。

彼女は「自分で運転する訳ではないのでこれで十分」だといった。


だけど、それはどうしても悪いような気がしていた。


僕は少しづつ貯金をした。
自分一人のときは食事をできるだけ我慢し、新しいモノを買わないように努めた。


そしてとうとう2年後に同じメーカーの色違いのバイクヘルメットを彼女に買ってあげることができた。


それは去年の話だ。  



無意識に集めたモノや集まってきた人、自分の周りは全て虚構なのだと強く思った。


とにかく現状をリセットしたかった。


それは人間関係だけなく、環境全てにおいて。


リセットしたいと強く願っていた。


それしか何も生まれることはないように思った。




なのに、歯ブラシや縁の欠けた湯飲み、たいしたことのないモノさえ、ザッと捨てるのに胸が痛んだ。



ほとんどゴミ当然なものばかりの中で、唯一彼女からもらったヘルメットだけが高く売ることができた。



彼女のことはあまり好きでは無かった。


それは、合コンで出会ったころから、今まで変わらなかった。


「将来性を描けない僕のもとで、このまま一緒にいさせてはよくない」と罪悪感を抱えていた。



でも別れるときはとても切なくて苦し過ぎた。




自然と今の自分を育ててくれていたモノや人が愛おしいと思った。


世間から見たら僕は排他的過ぎて信用がない人に映るだろいう。


だから僕が人生でできるリセットはこれで最後だと思う。

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