地域力

哀愁を誘う胡弓の音が泣けてくるような情景と共に心を打つ！
越中八尾のおわら風の盆が始まり、１万数千人の狭い町に１２万人も観光客が来る。
今朝の新聞の大きな写真からは、哀愁というより騒々しさが伝わってくる。

観光客頼りの町に１２万人が来るのだから、逃がす手は無いがどう考えても独り占めはできない。遠く離れた県内全域も大いにおこぼれに与かっているらしい。へき地のタクシー会社も長距離お買い上げでニコニコ顔だった。

しかし考えてみてください。１２万に見せるほどの踊りはそれなりに大変です。
町内にそんなに大勢の踊り手がいるわけが無い。富山市に合併された言わば過疎の町だ。おわら観光が頼みの綱といえ、数日で３６０日分稼げるわけでもない。

八尾から砺波に嫁いで３０年にもなる女性は、毎年休暇願いを出して踊り手として里に戻る。踊り手だけではない、１２万人も来れば日頃は想像も付かない事が起きる。全てに人手が足りなくなる。今年は土、日も重なるから気兼ねの程度は低いが、来年は平日ばかりで苦しいだろう。
この日のために休暇を残し、故郷の為に雨でも風でもひたすら踊る。嫁いで３０年にもなる出身者を呼び戻すパワーはおわらにはある。

わが地域の獅子舞は、若者の減少と社会経済情勢の窮屈さで、継続そのものがかなり難しい状況にある。
若者の意識と言うより老壮年層の意識が軟弱で、地域を守るという気概が無さ過ぎる。若者は『会社休めない！』で片付けてしまい、大人も仕方ないと言ってしまう。
地域に貢献して地域で頼られてこそ会社の役にもたち、会社のイメージも上がるはずが、日頃から自信の無いお荷物社員は休む事が一番の罪悪と勘違いをする。
休暇願いに渋い顔をする上司も、何がしかのお荷物的存在だからそういう顔をする。
経営者はそんなバカでは無い、地域へ積極的に出る者こそ会社の役にも立つ事を知っている。

１１月の４日の菊祭りに我地の獅子舞がアトラクションとして出場する。
たまには若者も一般住民も気合を入れなければ、民族芸能、文化は衰退消滅する。