雑記

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古い楽器との対話

2016年09月26日 18時49分02秒 | 雑感
 大変マニアックな話になるが、ファゴットには近代以降発明されたドイツ式と17世紀からの流れをくむフランス式がある。今は音も大きく扱い易いとされる前者が世界中で圧倒的に優勢である。

 ごくごく少数派である後者のフランス式ファゴット(以後フランス流にバソンと呼ぶ)の古い楽器となると、一部のオーセンティックな演奏家たち位外では実際の演奏に使用されることはほとんどないのではなかろうか。

 そういった類いの古い楽器にめぐりあい演奏することがしばしばある。と簡単にいっても元来が「気難しい」とされるバソンの古いものである。しかもとても演奏に使えるようなコンディションではない代物。かなりの時間と根気を持って修復(修理ではなく)をしなければまずまともな音にはならない。

 そのような楽器たちの過去のありようを推し量りながら修復を進める。持ち主に愛され、ともに華やかなスポットライトを浴びていた楽器もあれば、長い間、納屋か倉庫にしまい込まれていたものもある。楽器から発せられるメッセージに心を向けるとそれはおのずから見えてくるものだ。

 修復しつつ演奏してみると、「私、この曲知ってるよ」といわんばかりに、滑らかにメロディーをなぞっていく楽器もある。そうかとおもえば音が出ること自体を喜んでいるかのように破天荒になってしまう楽器もある。 自分の場合「自分が安心してオーケストラで使えるレベル」を修復、調整の到達点としているので、こういった楽器は音楽を奏でるにはもう少し時間かかかる。

 今週はまた、次の楽器がやってくるらしい。さてどんな出会いになるのやら。

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