不動産ウォッチャーの日記

経済・金融・不動産・・・その他もろもろを気楽に語る

消防法

2007-10-30 06:20:00 | 不動産
 
建築基準法以外にも、建物はさまざまな法規制の対象となっています。

そのひとつが、消防法です。

消防法のリスクに関連する大事件として記憶に新しいのが、2001年9月に死者44人を出した新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災です。

この雑居ビルは、火災が起こる以前から消防署の査察で消防法違反を指摘されていましたが、ほとんど改善されていませんでした。消防法では、二方向への避難口の確保が義務づけられていますが、この雑居ビルは室内階段が一箇所で狭かった上、三階から四階にかけての階段が荷物置き場のような状態になっていたため、大惨事を招いたと言われています。

非常階段の通行不能は、消防活動の妨げにもなりました。また、おかれた荷物が障害となり、防火扉が作動しなかった階もあったようです。
 
火災から約二年後には、ビルのオーナーおよびテナント関係者が消防法および業務上過失致死の疑いで逮捕されました。
 
筆者の友人も、「おちおち歌舞伎町で遊んでられないな」としみじみ申しておりました・・・。
 
謹んで、犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
 
 

新耐震設計基準

2007-10-25 06:09:56 | 不動産

最近は、耐震強度偽装の再発防止を図るため、一定規模以上の建物について、専門機関による構造計算書の再チェックの義務づけや、建築士などの罰則強化を柱とする改正が行われ、大変な影響をおよぼしています。

何ヶ月も建築計画が狂うケースが続出し、新規着工件数が激減するなど、目に見える影響が出てきました。景気への悪影響が懸念され、「官製不況」と言われ始めています。

現在の耐震基準の基礎となったのは、1981年6月に導入された新耐震設計法です。

新耐震設計基準は、78年の宮城県沖地震の際に、当時の建築基準法で設計・建設された建物の倒壊・崩壊が相次いだことを受け、人命を確保するために法律を大改正したものです。

この基準をクリアした建物は、震度六程度の地震でも、建物にある程度の損害が発生しても倒壊・崩壊は起こらず、人命を確保できる程度の被害ですむとされています。また、震度五程度の地震に対しては、建物の機能を保持することができるとされています。

これは重要な基準となりました。今も、「新耐震基準を満たしているかどうか」は、建物の価値を大きく左右する問題です。つまり、1981年以前の建物は「旧耐震基準」ということになります。


法改正や新基準の導入で「既存不適格」になることも

2007-10-21 06:18:59 | 不動産
 
違法建築は、建設・竣工している段階で守らなければならない法律に違反している建築物のことですが、既存不適格は立てた時点では合法だったものが、その後の法律改正や新基準の導入などによって現在では不適格になった建物のことを指します。

新耐震基準が導入されるまでの耐震基準のことを旧耐震基準と呼んでいますが、この旧耐震基準で立てられ、かつ、新耐震基準にそぐわない建築物は「既存不適格」となります。

既存不適格になったからといって、ただちに壊す必要はありません。ただし、一度壊すと同じ使用で建てることはできなくなります。

既存不適格の建物は、その分、どうしても資産価値が低くなってしまいます。
 
「1980年以前」ということは、築30年弱のものまでが旧耐震基準で建てられたものということです。
 
ただし、旧耐震時代の建物でも、耐震補強をして新耐震基準に適合すれば問題ありません。なかなか進まないのが現実ですが・・・。
 

時代の変化とともに建築基準法も改正される

2007-10-12 06:02:46 | 不動産
 
建物はいろいろな法規制を受けています。建物が合法か維持法かなど、建築物などの規制のベースとなる法律が建築基準法です。

建築基準法は1950年に制定された「建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準」を定めた法律ですので、文言どおり「最低基準」です。したがって、それだけをクリアすればいいという性格の法律ではありません。また制定以降、容積率・道路斜線制限・日影規制など、時代の変化とともに規制の内容も変化しています。

2003年には、シックハウス症候群が社会問題化したことを背景にシックハウス規定が導入されました。

シックハウス症候群の原因のひとつが建材・家具から発散するホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物です。

法改正によって、このホルムアルデヒドの発散速度に応じて等級を区分し、等級ごとにさまざまな対策を義務付けることになりました。発散量の多い建材は使用が規制されています。安全性が最も高い“F☆☆☆☆”(エフスターフォー)の建材などには、使用制限がありません。
 
最近は、耐震強度偽装の再発防止を図るべく、規制が強化されて大変な影響をおよぼしています。


東京都庁舎の修繕費は凄いらしい

2007-10-05 05:52:36 | 不動産
 
一般に、建物の寿命は60年程度といわれていますが、歴史的な建造物を除くと寿命いっぱいまで使用し続ける例はあまりありません。具体的な統計数値はありませんが、最近の建物の平均寿命は20~30年程度になっているのではないでしょうか。

日本の分譲マンションの歴史は40年くらいですから、仮に40年で建て替えると、建物の一生にかかる費用のうち、当初の建築費用は20%程度にすぎません。残りの80%は維持管理に要する費用なのです。

建物の維持管理にはコストがかかるという好例が東京都庁舎です。

東京都庁舎は建設費1569億円で1991年に竣工しました。以来、約16年の時を経ていますが、年間の維持管理費が約52億円かかるので、東京都は17年間で総額約832億円のコストを支払っていることになります。

また、建物・設備の劣化が進行しているため、今大規模修繕を行うと、1000億円以上の費用がかかるそうです。

なにせ、かの偉大なる丹下健三氏の芸術的デザインだけに、普通の建物とはワケが違う。外壁は凹凸が多く、精巧な造りになっています。その分、修理にも費用がかかります。
 
「バブルの塔」も正念場を迎えているということか・・・。