
兵庫県佐用郡佐用町にある大型放射光施設。播磨科学公園都市の中核施設。名称の由来はsuper photon ring 8 GeV。光速に近い速度にまで加速された電子が磁石により進行方向を曲げられたときに発生する、強力な電磁波(主に軟X線から硬X線までの波長領域)を利用した実験が可能で、国内外・産学官の研究者に公開されている。和歌山毒物カレー事件や警察庁長官狙撃事件の捜査に必要な微小分析にも利用された。施設の運営は、施設者である独立行政法人理化学研究所から委託された財団法人高輝度光科学研究センターにより行われている。
SPring-8施設配置図。桃色の箇所が実験施設。右側の円形の施設が放射光を発生される中核の蓄積リング棟。左側の横に長細い施設が国家基幹技術であるX線自由電子レーザー施設SACLA(さくら、SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)。
正門近くにある放射光普及棟の展示室。放射光やX線自由電子レーザーの仕組みや研究成果が紹介されている。
1974年に東京大学原子核研究所(当時、東京都保谷)が建設した世界初の電子蓄積リングSOR-Ring。素粒子実験を目的に建設されたが、放射光実験にも利用された。1997年に退役した後、SPring-8に展示用として移設された。
ウシ・ロドプシンの構造モデル。たんぱく質の一種で、目の網膜にある視物質。放射光を利用することで、このような大きな分子の構造を解くことができる。
写真の横方向に広がる建物が蓄積リング棟。電子が8億電子ボルト(8 GeV)に加速され、周長1436メートルの円形加速器に蓄積される。標高341メートルの三原栗山(写真中央の丘のような盛り上がり)のまわりに蓄積リング棟がある。
蓄積リング棟のA2番扉。外周に13個のこのような扉がある。A2と表示された扉は大きな荷物を搬入するときに使用し、通常は、写真では隠れて見えないが、右側の小さな扉より入る。さらに中の実験室に入室するにはICタグによる認証が必要となる。
蓄積リング棟内部。左側の壁のように見えるものが円形加速器で、リングの接線方向(写真奥方向)に62本のビームライン(放射光の取り出し口とそれに連なる実験装置)が設置されている。反対の右側には実験試料の調製などを行う実験準備室が並んでいる。窓がほとんどないため、内部に滞在していると昼夜の区別がつかない。
中央管理棟。事務部門やSPring-8に所属する研究者の居室がある。中央管理棟の前にあるオブジェは、八卦の「震」の図形を意図しているらしい。
食堂。休日夜間に関係なく加速器が運転されるため、休日を含む毎日朝昼夕営業している。周辺には食堂や売店がないため、職員や滞在者の生命線。
研究交流施設管理棟。フロントや滞在に必要な共用設備がある。
研究交流施設滞在棟(ゲストハウス)。SPring-8に滞在して放射光実験をする研究者のための宿泊施設。4つの滞在棟に240室の居室がある。
研究交流施設滞在棟(ゲストハウス)の居室。ホテルのシングルルームに相当し、利用料は1日2,000円。
中央管理棟バス停。ウエスト神姫(神姫バスの子会社)のバスが構内まで乗り入れる。最寄りの相生駅まで40分、平日は1時間に2本、土日は1時間に1本運転されている。
相生駅に到着したウエスト神姫のバス。
西日本旅客鉄道相生駅の南口。山陽新幹線のひかりとこだまが1時間にほぼ1本ずつ停車する。