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NO.142857のブログ

天城越え

16日

■先日観た「鬼畜」の本を読もうと思ったが本棚になかった。捨てたらしい。たくさんあった松本清張の本は3冊しか残っていなかった。

■映画「天城越え」を観た。石川さゆりの歌にもなっているし、いったいどんな峠なんだろうか。映画の当時は獣が普通にいそうな雰囲気だったが、今でもそうなんだろうか。

■家出をした少年が天城峠を越える道中で女と出会い、道をともにするが、女は商売女で途中で遭遇した流しの土工に体を売り、それを見た少年は土工を殺す・・ということが事件の30年後に回想される話だが、問題はその動機だった。

■本棚にあった3冊のうちの1冊「黒い画集」にこの「天城越え」が収録されている。あらためて読んでみた。

■映画では殺人の動機として性的な衝動が強調されており、少年が土工をメッタ刺しにした理由もそういうことで説明されている。しかし、原作では「自分のしたことが知れるといけないと思って」そうしたのだった。

■原作では動機は複合的だ。少年は性的に未熟だが、それ以前に人生に未熟だった。彼は自分の街から出たことがなかった。だから天城峠の先に「他国の恐ろしさ」を感じて、途中で引き返してきたのだった。そして殺した流しの土工はこれまで見たことがない存在であり、「他国の恐ろしさを象徴」していた、というわけだ。いろんな動機が彼を恐ろしい行為に導いたのであり、性的な衝動ですべてを説明しようとするのは無理があると思う。

■商売女の役は田中裕子。とてもよかった。

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