吹く風ネット

通り雨

通り雨、犬といっしょに
夏、背中を濡らし
大きな雲が頭の上で
黒く染み込む

息を詰まらす
にわかな夜の中を
走ってきた雲が光を放ち
大地を震わす

 ついさっきまでの太陽の中
 ぼくは影を落とし
 座り込んでの手探りの中
 もう戻ってはこない

 傘をさせる人は笑いなさい
 深い水たまりの中で
 車で行く人は急ぎなさい
 あの雲を越えて

通り雨、ぼくと似た人が
黒い喪服を濡らし
降り続く雨はまた轟々と
影を滲ます

 高校を卒業した年(1976年)の夏に書いたものです。ハッキリしない部分があったため、所々書き換えています。

 ここに登場している犬は、親戚で飼っていた犬です。飼い主である伯母が、急遽入院した祖父に付き添うことになったため、うちで預かることにしたのです。
 昼間、その犬を散歩に連れて行っている時に、突如あたりが暗くなり、雷鳴とともに大雨が降り出したのです。今で言うゲリラ豪雨ですね。

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