「短歌って、こんなのでいいのか」と思ったものだった。それまで啄木の短歌といえば、学校で習う「東海の小島の磯の〜」くらいしか知らなかった。学校で習うということは、小難しい解釈が付いてくる。それが啄木を遠ざけた。
歌集で読む啄木は、愚痴と嘆きのオンパレードで、その当時のぼくの心に響いた。そして、
「愚痴なら負けるもんか」
と、詠んでみたのが、この間ここに上げた『サラリーマン哀歌』だ。
今日はその続きです。
「そうなると、わかっていたよ」と言う男
わかっていたなら早く言え馬鹿 !!
見知らぬ町を、旅するような感触があるから
こんな仕事でも勤まる
「返す返すも惜しいヤツだ」と人が言う
惜しいヤツなら神が捨てぬわ
人生の初心者マークが外れない
「若くていいね」と人は言うけど
時間外、皆が帰った仕事場で
とある上司の悪口を言う
終電を待つ人たちの群れの中
体操しているおじさんがいる
その上はゴマをする人、
その下は能のない人、
力ある人
席上でまともなことを言いし人
二、三ヶ月後、草むしりする
上の顔を窺い、部下を罵倒する
この人もただのサラリーマンかな
情熱をかける趣味など見当たらず
何の因果か、お経など読む
ひととおり人の批判をした挙げ句
自分の自慢話する馬鹿
今夜、彼の送別会だと伝え聞き
夜間会議を招集する人
これもまた夢に至る布石だと
自分自身を納得させる日
休みとは何のためにあるんだろう
明日のために寝だめする日